百万に一つの偶然
☆STEP 1
ロイ・ヴィカーズの短編。短編集のタイトルにもなっています。迷宮課シリーズ。「なかったはずのタイプライター」もオススメなので、ぜひ短編集丸ごとどうぞ。
ちょっと普通のミステリとは違い、ノンフィクションみたいなテイスト。名探偵の推理ではなく、捜査員の執念が呼び込んだ運や、犯罪者にとっては不運としかいいようのない綻びの露呈がきっかけに事件が解決するリアルな感じは異質といえば異質。
では、英訳作業に入りましょう。
まず「百万」はミリオンでしょう。百万長者はミリオネア。売上百万枚はミリオンセラー。スペルは【million】だったはず。確かLを重ねた気がします。
ただ「百万に一つ」を意味する英語のことわざのような表現があって、そこに「百万」という語がないのならば、いくらLが一つだったか二つだったか悩むだけムダなのですが。
そして「偶然」。だいぶ悩んで「もしかしてアクシデントじゃないか」と思いつく。カタカナ語として日本で日常的に用いられるアクシデントという語は「突発的な出来事」という意味でしょう。それも望まないトラブルの色あいが強い。とりあえず「偶然」は【accident】ということにして「百万に一つ」に戻ります。待てよ、Cは二つでいいんだよな。はい、戻ります。
戻りましたが……タイムアップ。
☆STEP 2
というわけで……
“The Accident One of Million”
……で、どうでしょうか?
☆STEP 3
正解は……
“Kill Me, Kill My Dog”
……でした。
これは無理だろう。
悔しいので日本語訳の表題作のタイトルではなく、短編集自体のタイトルを調べたところ“Murder Will Out”でした。うーん……
ちなみに名詞「偶然」は【accident】であってました。他に【chance】にも「偶然」の意があるそう。へぇ。
そして「百万」は【million】であっていました。珍しくスペルミスせず、そのぶん大外ししました。
☆おまけ
やはり落ち着かないのでGoogle翻訳で「百万に一つの偶然」と入力して英訳したところ、“One in a million coincidences”とでました。【coincidence】は手元の辞書では「同時発生、同所共存」や「(偶然の)一致、暗合」とありました。
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