あるスパイの墓碑銘

 ☆STEP 1


 エリック・アンブラーの名作スパイサスペンス。スパイ小説は名タイトルが多い印象があります。

 英訳作業に入りましょう。

 まず「スパイ」。これは過去にも出てきたような気がしました。【spy】でしょう。厄介なのはこれに「ある」がくっついていること。ただのスパイではなく、あるスパイなのです。この「ある」がタイトルの美しさ、詩的さ、叙情みたいなものに利いているのでここはきっちり訳したいものです。

 確か「ある日」は【oneday】だったはず。いや一つの単語ではなく【one day】とわけるんだっけ、と悩む。一応「ある」は【one】ということにする。

 今回最大の難所は「墓碑銘」。これ、たぶん、高校までの英語の授業で出てきていないだろうなぁ。エピ、エピなんちゃらとかって言わなかったっけ……

 エピローグは違うしなぁ……

 タイムアップです。




 ☆STEP 2


 というわけで……


 “The Epigram of one spy”


 ……で、どうでしょうか?




 ☆STEP 3


 正解は……


 “Epitaph for a Spy”


 ……でした。


 なるほど。【epitaph】。調べると間違いなく「墓碑銘」でした。他にも「〔人に、事件などを〕思い出させるもの」の意味も。【epigram】は「(機知を含む)警句、短い風刺(詩)」とのこと。

 ちなみにすぐ下に【epithalamium】と【epithalamion】というのがあり、これは「祝婚歌、結婚を祝う詩」だそう。

 ちなみにちなみに「墓標」は【grave marker】だそう。

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