黄金虫
STEP 1
初回なのでポオを取り上げます。そもそも、作者名の表記からして、ポー、ポウ、ポオとさまざま。「黄金虫」は暗号モノの短編です。タイトルの読み方もいろいろあるのが面白いです。私はなんとなく「おうごんちゅう」で通していますが「こがねむし」にも馴染みがあります。
さて、英訳作業に入りましょう。「黄金」はgoldなのでしょうが、「黄金色の、黄金色をした」という意味でしょうから【golden】でしょう。
問題は「虫」。パッと浮かんだのはバグなのですが、スペルがあやしい。Bugなのかbagなのか。そして、バグというのは毛虫やシャクトリムシみたいな形状の連中のことを示すんじゃなかったっけ、と心配に。作中で登場するのは甲虫、カブトムシなんです。
カブトムシとくれば、ミステリ好きにはヴァン・ダインの長編が思い浮かびます。そうか、【scarabe】か、と。
STEP 2
というわけで、
Golden Scarabe
で、どうでしょう?
STEP 3
答えあわせをしましょう。正解は
The Gold-Bug
でした。
おぉ、最初のでよかったんかい。Theは必要だったけれど。
調べると【bug】で昆虫でした。ちなみにスカラベは綴りが間違えていて、正しくは【scarab】。Eはいらなかったのです。ですので、ヴァン・ダインの作品は“The Scarab Murder Case”。そして、「カブトムシ」は【beetle】でした。スカラベとカブトムシの違いがよくわからなかったのですが、どうやらスカラベには古代エジプトの宝飾品という意味があるよう。カブトムシを模した宝飾品ということでしょうか。『マルタの鷹』に出てくる鷹みたいなもんか。そういや、ヴァン・ダインの作品で現場となったのはエジプト博物館で、そんなようなお宝も展示されていたような……
ちなみに「毛虫」は【caterpillar】。おぉ、ドラクエのモンスターでいたぞ。なぜ【gold】で【golden】でないのかみたいなところは、深堀りしません。
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