第5章 花嫁たちの夜明け
【第4章終わりのこれまでのあらすじ!】
私、メラクル・バルリット。
大公国の聖騎士。
そうは言っても、大公国の聖騎士といえば由緒正しき品行方正な騎士の中の騎士として一目置かれているのよ。
さて、そんな私が悪逆非道の汚名を持つ王国のハバネロ公爵を暗殺に向かい、見事に返り討ちにあってメイドにされたわ。
うん、分かってる。
ツッコミどころ満載よね。
品行方正どうしたとか、メイドってなんだとか。
色々事情はあんのよ。
かいつまんで言うと、邪教集団と繋がりのあった聖騎士団長パールハーバーの奸計に乗せられて、ハバネロ公爵を暗殺しようとしたけど。
それをゲーム設定とかいうよく分からない記憶を持ったハバネロが事前に察知して、私を助けてくれたってわけ。
このハバネロなんだけど、実際と噂が真逆。
婚約者の姫様、ユリーナ・クリストフを蔑ろにしているどころか溺愛してるし。
領民を苦しめてるどころか生活の改善のために毎日一生懸命仕事してるし。
そんで私が直撃取材。
あんた結局、どっちが本当のあんたなの、とね。
するとハバネロは言ったわ。
人は見たいものを見る。
そうでなくても、立場や場所によりあらゆる見え方は違うと。
言われればそれはそうなんだけど、それに気付かず考えもせず、私はハバネロを暗殺しようとまでしていたのだ。
メラクル反省。
反省ついでに姫様泣かせたら、世界を救えと条件つけておいた。
いやまあ、なんか流れで。
それからしばらくして王国と帝国の大戦が勃発したわ。
あの手この手と事前準備をしていたハバネロが見事、帝国を撃退。
流れで私も救国の英雄になってしまったわ。
……王国の。
私、大公国の聖騎士ダッタヨネ?
戦争が無事に終わって浮かれていたら、ハバネロから衝撃的な告白。
残念だけど……ゲフンゴフン、愛の告白じゃなくて、ハバネロはもうじき処刑されてしまうんだって、へー……。
なんで!?
処刑間近のハバネロ。
でも大公国に反乱の兆しありということで、自分の立場も
反乱の首謀者はなんと邪教集団の力を借りた聖騎士団長パールハーバーだった。
その頃、姫様はハバネロへの愛を自覚してハバネロの元へ駆けつけようと、ガーラント公爵の追っ手を振り切り、ガーラント公爵領から公都へ帰還。
あっ、ちなみにハバネロのやつ、姫様にあんなに想われていること知らないから。
ハバネロらしいなぁと私は思ってしまう。
ようやく再会した姫様とハバネロ。
だけど世界はあまりに残酷だった。
ハバネロは本当に詰んでいたのだ。
姫様の運命を変えるため、人の限界を超えた未来を知る力、ゲーム設定の記憶。
その記憶を得るためにハバネロは自らの脳を酷使した。
……そして目覚めぬ(?)眠りについてしまった。
迫り来る悪魔神復活というタイムリミット。
世界を救う手段として、世界の意志を1つにまとめるためにハバネロはメラクルアイドル化計画を進めていた。
いや、冗談じゃなくて。
要するに悪魔神を倒すための旗頭を私に託そうとした。
そんなの無理!
……とまあ、そんな状況だったはずなんだけど。
うん、結局、何がそうなってどうなってんの!?
女神って何なの!?
リュークって誰!?
邪教集団ってどうなったの!?
ハバネロを苦しめる記憶のあの黒髪の乙女って誰!?
今更だけど魔導力って、魔神って、モンスターとかゲーム設定の記憶って!?
そもそも……、ハバネロっていつ目覚めるのよぉぉおおおおおおおお!?
……さっさと起きなさいよ、寝坊助。
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