第3話 遡行 そして始まり 2223年10月
授業が終わると俺たち3人は一緒に下校することにした。歩道を並んで歩いていると夜風が話し始めた。
「ねぇ、私たちもうすぐ中学生だね」
「そうだな。実感とか全く湧かないけどな」
「中学生になったら何がしたい?」
「えぇ、別に何もないけどなぁ」
「えーつまんねぇ奴~」
テリスが話に入ってきた。
「テリスは何かあるの?」
「んー、内緒だな」
「はぁ?なんだよ。じゃあ、夜風は何かある?」
「私は3人でこうして登下校してたいなぁ」
「別に中学生関係なくね?」
「ねぇ、ほんとに何も無いの?」
「えー、世界征服とか?知らんけど」
「はぁ?なんだよそれー」
「ちょっと真面目に答えなさいよー」
「そう言われてもなぁ……」
その瞬間、突然激しい眩暈に襲われる。
「っ!?」
「え?だ、大丈夫!?」
「どうした!?」
「はぁ、大丈夫……うわっ!!」
眩暈で前が見えなかったせいか、唐突に目の前に現れた男性にぶつかりそうになる。
「あぁ!すみません!!」
男はしばらく俺の方を無言で見つめていたがすぐに立ち去って行った。目深に被ったフードのせいで表情が良く分からなかったが、怒っているわけではなさそうだったのでひとまず安心する。
「ほんとに大丈夫?」
夜風が心配そうに覗き込んできた。
「もう大丈夫だよ」
「ホントに?今朝は寝坊してたし疲れてるんじゃない?」
「んー、そうかもなぁ」
本当に何だったんだろうか。
「ま、大丈夫だよ、行こうぜ!」
するとテリスが何か独り言を言いだす。
「そういや僕も先週目眩でぶっ倒れそうになったな……」
「なんだそれ?まさか何か感染症?」
「いやいや、なわけ」
3人で再び歩き出す。その時、突然周りが暗くなったような気がした。そして——
ドオォォォーーーーン!!!!!
後ろの方で突然、爆発音にような音が鳴り響いた。
「っ!?」
振り返って見ると遠方で煙が上がっている。
「なんだ!?」
テリスも驚いた表情をしている。
「ねえ……空が……」
夜風が震える声で言った。俺とテリスも空を見上げる。
「「えっ!?」」
空が絵の具ような真っ赤な色で染まっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます