第59話 ホワイトデー
来年は俺も3年生、つまり受験生だ。
カナタとの時間を割いて、勉学に勤しまなければならない。
はぁ……憂鬱だなぁ。
なんで高校生活って3年なんだろう。
幸せな時間に限って苦痛な時間よりも早く過ぎてしまう。
辛いなぁ。
親からも教師からもよい大学に行くことを期待されている。
まったく、一度好成績になるとずっとそれを維持しないと内申点に響くからな(溜息)。
そんなことはともかく、俺はカナタから愛情たっぷりのチョコレートをもらったので、お返しを考えなければならない。
どんなお返しをしようかな。
おっぱいチョコよりインパクトのあるチョコレートを作ろうとすると、よほどのプロか、下品すぎるチョコしかできないし、男の下品なチョコなんて誰がもらいたくなるんだよって話。
たまには普通にうまいプリンとクッキーをつくるか。
カナタの家に行って俺は普通にプリンとクッキーの入ったおしゃれな袋を渡す。
「はいよ、バレンタインのお返し」
「あ……ありがと……その……開けてもいい?」
「いいぞ」
「わぁ……これ、本当にソウタが作ったの?売りものみたいだよ!」
「そうか」
「私てっきり媚薬入りの変な形をしたチョコかとおもったよ」
「さすがにそこまで食べ物で遊ぶつもりはないわ!」
「そ、そうだよね……うん」
「どうした、早く食べろよ」
「……本当になにも変なもの入ってないよね」
「いやならやらん」
「わかった、ごめん、ごめんなさい~、だから返してぇええええ」
「まったく、このむっつりさんめ」
「うぅ、今回ばかりは何も言い返せない」
「カナタ」
「なぁに?」
「……いつもやりたい放題させてくれてありがとうな」
俺はそっぽを向いて頬を指でかじる。
「………………」
「なんだよ、なんか言えよ」
「アハハ、ソウタは可愛いね」
「なっ――――――」
「アハハハハ」
「てめぇカナタアアアアアアア」
「きゃあああああ♡」
俺はカナタと追いかけっこした。
こんな日がいつまでも続くことを祈りながら俺はカナタといちゃつくのだった。
そして俺達は新たな春をむかえる。
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