第33話 映画館デート その2 前編

 夏にカナタが主演を務めるアニメ作品が公開されるので俺は変装したカナタと一緒に、それを見に行く。


 俺は人目があるのと、結構本気のカナタの「やめてよね!」があったので俺は今日くらいセクハラは自重しようと思った。


 変な男が近づいてこないよう、俺はボディーガードのように、立ちふさがる。


 まぁプライベートは自由でいいらしいので特にマネージャーとかついてこないそう。


 男の人と付き合っていることは話しているかって?


 いやだなぁ、そんな大スキャンダル、言ってるわけないじゃないですか。


 だが、待てよ。


 よくよく考えてみろ。


 カナタが一言、事務所に一言俺のセクハラを告発してみろ。


 俺、社会的に死ぬんじゃね?


 今更気づいたのかよという誰かの声が聞こえてきそうなほど、俺はさぁっと血の気が引いて動揺する。


 「どうしたの、ソウタ?」。


 上目づかいでウィッグをつけて、髪をいつもより長くしたり、化粧を少し濃くした完全美少女のカナタが首を可愛らしく傾げる。


 「い、いえ、なんでもありません」 


 俺は、突然敬語になる


 「なんで、敬語?」


 「い、いえ、あの、今更ながら自分のしてきたことをお、思い直しまして……」


 「そ、そう……でも今更あやまらなくていいよ」


 「え……」


 「そういうの含めて全部、好きだから」彼女は天使のような微笑みを浮かべる。


 「えっ?」


 思わず聞き返してしまった。


 「い、今のなし!早くいこっ!」俺の手を引く彼女の耳は赤かった。


 「お、おう……」


 そして俺は劇場版アニメを見に行ったのである。


 続く!


 

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