第32話 雷雨の夜 その2
カナタの体は柔らかくていい匂いがした。
たとえるならそうだな……陽だまりのようなにおい。
思わず、俺は深呼吸。
目が覚めるわ、こんなん。
「落ち着いた……?」
「それはこっちのセリフだ、雷はまだ、怖いのか?」
「し、仕方ないでしょ」
「まぁ、誰にでも怖いものはあるからな」
数分間、身じろぎするカナタの体温を感じる。
すると意を決したようにカナタは「……よしっ」といって小さくガッツポーズ。
俺は首を傾げる。
「ソウタ……好き」
「!?」
「フフッ驚いた?ソウタの腕ってたくましいね」
ひそひそ声で彼女は俺の耳元で話す。
「…………」
「だぁいすき」
そういってカナタは俺の肩の近くに頭を置いてそこから手を伸ばして頭を撫でる。
「よしよし、頑張ったねぇ」
「…………」
「てれちゃって、可愛い」
「…………」
「えへへ、幸せ……」
「…………」無言で幸福感に酔いしれる。
「えっと」赤面してうつむく彼女。
「続けてくれ」
「あ………うん」
甘々なセリフを思いつく限り言って胸を押し当てるカナタ。
さすがにやばいなぁ。
「もうそろそろASMRいいよ、ありがとう、カナタ」
「う、うん」
俺が寝返りを打とうとしたその時、カナタは「待って!」という。
「どうし……んむぅ」
俺はカナタにキスされた。
「お、おやすみ!」
急いで寝返りを打つ彼女のお腹に手をかける。
「なぁ、なんでキスした?」
「し、しらない」
「なんで?」
「しらないってば、バカバカバカ!うぅうううううううう」
可愛いなぁ。
やがて、俺とカナタは爽やかな朝を迎えた。
幸せだなぁ。
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