第25話 やっぱ我慢できない

 祭りを終えて、俺とカナタが石階段を降りると彼女はつまずきそうになり俺は慌てて彼女を抱きとめる。


 胸越しに伝わる彼女の体温。

 

 ルージュの塗られた唇。


 彼女の頭髪から香る女の子特有の甘い匂い。


 恥じらいのある表情。


 バクバクとなる心臓。

 

 本能が叫ぶ。


 俺は、彼女に顔を近づける。


 そして彼女は仕返しとばかりにふぅっと優しく息を吹きかける。


 「えへへ、これでおあいこ――――んむぅ!?」


 俺は貪るように彼女の唇を奪い、舌を絡める。 

 

 ぷはっと唇を離しては、二人の口から涎が線をひき、やがて落ちる。

 

 「はぁ、はぁ、ちょっとま―――んゆぅ!?」


 また俺は彼女の唇をむさぼり、尻を揉む。


 「~~~~~~っ」声なき声で悶絶し彼女は力なく両手で俺の肩を叩く。

 

 また唇を離す。


 「俺のどこが好きなんだ、カナタ」

 

 「ふぇ、いきなりそんな―――あむぅううううう!?」


 キスをして唇を離し、再び問う。


 「どうなんだ」


 あうあうといいながら彼女は小声で答える。


 「優しいところとか」


 キス、そして唇を離す。


 「身長が高いところとか……」


 キス、そして唇を離す。


 似たようなやり取りを数回した後、俺は彼女を抱きしめる。


 「ううぅうううううううう」


 彼女はパニックになったのか、俺の肩に自分の頭をこすりつける。


 「ごめん、我慢できなかった」


 「………………別に、ソウタならいいよ」



 ――――もう、普通の関係じゃいられなくなる。


 それを実感した夏だった。


  


 

 

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