第15話 バカップル

カナタが体調を崩したらしい。


仕事でのストレスと俺のセクハラによるものだろう。


だが、本人は気にしていないという。


本当にいい子だなぁ。


俺は果物をもって、お見舞いに行った。


「カナタ、体調はどうだ……辛そうだな」


「ソウタ……来てくれてありがとう」


「ほい、学校のプリント、後輩から渡されてな」


「うん、ありがとう」


 そういって、せき込む彼女の背中を俺はさする。


「何か、欲しいものはあるか?」


「うんと……ゼリーが食べたいなぁ」


「よしきた」


「ほれ、食べさせてあげるよ」


「えっわるいよ、そんな」


「遠慮するな、ほらあーん」


「あ、あーん」


「よしよし、よくたべられまちたねぇ」


「うぅ、バカにしてぇ」


「すまん、カナタが可愛いからな、つい。それじゃあ、俺はこれで……あと、手紙を渡しておく、後で読んでおけ」


「あっうん」

 

 ※ ※ ※

 

 カナタはソウタが書いた手紙を読む。


 そしてカナタは一人泣きながらクスリと笑った。


 「下手な絵……それにこんなに私の出演したアニメの感想を書いてくれるなんて……」


 彼女は手紙を自分の胸に置く。


 「幸せ……」


 カナタがふと、窓の外を見降ろすと、ソウタが手を振って口パクで何かを喋る。


 そしてカナタはこう口パクで答えた。


 「私も大好き~!」


 バカップルである。


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