第34話 やはり長引く大統領選、予想どおりの第三波襲来

 大統領選はバイデン氏が勝利したようだ。当たり前だが、トランプ氏は不服申立てだか、裁判だか、数え直しを請求やら、持てるカードを使える限り使っていたから、長引いていた。四年前と同じように揉めている。

 アメリカらしいなと思う。


 もう夫が〇〇〇ニュースを見る時は私はヘッドフォンして音楽やスポーツ配信のアーカイブを観るようにしたり、逆に夫がヘッドフォンで観るようにしていたから何をどう報じていたか知らない。

 だが、陰謀論やその日のニュースを解説を語るYouTuberチャンネルを見ていたのは予測が付いた。


 そして「コロナウイルスは風邪の一種というのなら風邪と同じく夏場は少なく、冬は増える。加湿器などの備えはすべし」と前のお話に書いたように、私はマスクの備蓄やアルコールの買い足しをしていたが、当たって欲しくない予測が当たり、第三波が寒くなると共にやってきた。


 二回目の緊急事態宣言が発令されたが、前回に比べて危機感が薄れているのは明らかであった。

 酔っ払った女子大生と思われる人達が顎にマスクを引っ掛けてギャハハと大声で笑っているのを駅で見かけたり、時短要請された時間ギリギリまで開く居酒屋も歓声で賑やかだったからだ。


「時短にすればいいってもんじゃないんだ! クソが」と夫は相変わらず毒づいていた。

 私個人としては飲食店が悪いのではなく、客のマナーの問題だと思う。孤独のグルメのように孤食ならこの時はなんとかなったが、入った店で大騒ぎしているグループがそばにいたら無意味だし怖くて入れない。

 ちなみに今(令和三年五月時点)は変異ウイルスの影響で孤食でも感染リスクは高いらしい。


 騒がない大人な態度の飲食ができればいいのだろうがよっぽどの高級店ではない限り無理だろう。


 私も第三波が来る前にと、観客上限一万人に緩和されたスタジアムで指定席観戦をしたが、無意識に声が出てしまう。例えばシュートがバーに当たって外してしまった時などは思わず「ああーっ」とため息混じりに声を出してしまったし、選手がファウルで倒されたら「ああっ!」と思わず叫んでしまった。

 後ろの席のおばあちゃんも声を上げてしまうの予測してたようでマスクの上にタオルマフラー当てて飛沫を飛ばさないように涙ぐましい努力をしていた。

 全くしゃべらないとは意外と難しいものだ。


 仕事も行政文書持ち出しの特例措置が整い、最初こそは在宅勤務があったが仕事の滞留が酷くなったために一週間で形骸化した。

 電車の混み具合も変わらなかったから、他の企業も似たようなものだったのだろう。


 ワクチンはようやく米のファイザー製薬やモデルナがmRNAワクチン、英国アストラゼネカ社がベクターワクチン、中国シノバック社と四社が開発し、治験効果を公表していた。

 先の三社が九十%台の効果、シノバック社だけ五十%台と公表していた。


 当時、感染者が爆発的に増えていたアメリカは当然自国のを採用するとして、南米地域がシノバック社を採用していたのは少し不思議であった。五十%であっても少しでも感染爆発(オーバーシュートは言い慣れない)を抑えたかったのかなと思う。


 日本でもファイザー製薬と政府が交渉して国民全員分のワクチンを確保すると聞いて安心した。優先順位も妥当だし、基礎疾患無しの六十五歳以下の私達は一番最後になるが、予防を続けることだ。

私はTwitterでフォローしている峰宗太郎氏の「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」(峰宗太郎・山中浩之著 日経BP日本経済新聞出版本部)を買って読んでいた時、夫は言った。


「俺はワクチン打たないからね」


 もはやへそ曲がりとしか思えないことを言い出したとその時は思った。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る