第17話 マスク攻防戦は続くも連敗

 令和二年の梅雨も明けて本格的に暑くなったこともあり、不織布マスクが尽きたあとは完全にノーマスクになっていた夫。

 なんとしても着用させようとする妻。

 二人の攻防戦はまだ続いていた。


「GUNZEから夏用マスク出たよ。あなたの分も買う……」


「要らないよ」


「まだ言うか」


 いろいろ分かってきたのに頑なにノーマスク。職場でもそれは変わらないようで、〇〇課の人にこっそり聞いたら「確かに付けてないですね」と情報も得ていた。しかし、規則では無いので強制はできない。


「意味無いよ。コロナも騒ぎすぎだよ」


「飛沫を飛ばさないのが目的でしょうが」


 食い下がるとお約束の反論。


「喋らないから平気」


「同僚が感染してて吸い込んだら?」


「そんなことないよ。考えすぎ」


「お主が考え無さすぎ。じゃ、アベノマスク来ても付けないのね」


「いや、それは着ける」


「ほほう、言ったな。じゃ、アベノマスクは譲る」


 しかし、届いてもグダグダ言って結局今も未開封のままである。


 まさか、マスクをすると死ぬ病気なのか?

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