6【詩集】詠月

想像

想像して

小舟を漕いで夜明け前の海に出る

オールが水圧をはね返している

その音

遠ざかっていく陸の匂い

すぐにやってきた早朝の匂い


逃げ出すように往くのさ

凪いだ海の真ん中へ


想像して

海面から身を震わせて飛び出すトビウオ

ひれを翼にして飛んでいる

その気配

潮の流れに身を任せる

日の出はもう遠くない


生き急ぐように往くのさ

荒れた海の真ん中へ

もっと先にある夢の在り処へ


想像して 

二つの青の隙間から太陽が顔を出してきた

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