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幼少期、夏を過ごした

あの故郷に 

蝉の声は聞こえない


雨は香りの糸を消し、

傘は背に涙を滴らせる


夜蛙、雨音、紙の擦れ

耳障りな衣擦れ、鼻啜る

六畳間には寝息だけ


掌に雨粒が落ちる

弾けて、仄かに朝の匂いがする

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