帰る蛙は顧みる

踏み出す足が怖いのだ 断崖に立っている僕だ

雨の散弾銃が覆う 

頭上で花が散っていく


命の価値を幾らか定めて生きた人生だ

僕を散弾銃で撃った思い出すらも値踏みした 

 

花に歌えば 瞳に雫

陰で暮らせば 雨の音

ひがんだ夜空はひとえに沈む

洗い流せば 雲の上


雨上がりの街を歌を歌って歩いた ララッタラ、タラッタ

涸れたアスファルトの逃げ水を追った


揺れる陽炎よ 僕に誓って

水面下で蒸した藍よ 空に落ちてゆけ


命の味を幾らか品分けした人生だ

空を憂の色で覆った思い出の味は苦いかな


雨上がりの街を歌を口遊んで歩いたんだ タラッタ

欠けた思い出を埋めていくように


咲いた花束よ 僕に誓って


春に歌えば 瞳に雫

夏を暮らせば 鈴の音

秋の風は偏に歪む

冬を越せば歩き出す


雨上がりの水溜まりを跳んで歌った ララッタラ、タラッタ

欠けた思い出を埋めていくように


揺れる陽炎よ 僕に誓って

白んだ紫陽花に落ちた僕の涙よ 色付いて

いつも通りの明日を越えてゆけ

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