クリシェ

拝啓。あなたへ送る花束だ。


いつもの夜にいつもの言葉を書いている。

僕の惰性だせいでインクと紙切れを消費し続けている。

一体何をしているのだろう。


思い出話はたくさんだ。

夢も金もの夏も、

花火も夜の静けさも、

背景の雨音すら聞き飽きて、

僕はこれから何を書けばいいのだろう。


そう考えては枕を濡らす。

スニーカーを汚す。ピックを落とす。

なあ、笑えよ。笑ってくれよ。


一体何をしているのだろう。

僕は筆を執った。


再掲。あなたへ送るはなだ色。敬具。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る