第7話・・・マザコン? いや、シスコンです
翌日。見慣れたベッドの中で目を覚ましたわたしはほっとした。寝台脇で控えていた侍女のララから昨日のことを聞きだすと、わたしはアーサーと会っている中、突然気絶し慌てたアーサーがララを呼んだと言う事だった。
「アーサーさまったら、リズが死んでしまう。早く、医者を呼べなんて言うものですからお嬢ちゃま方を巻き込んで大騒ぎでしたよ」
「そう。迷惑をかけたわね」
ララが遠い目をする。恐らくアーサーの慌てぶりに、妹達が便乗したに違いない。妹達は十三歳。五つ子で早くに母を亡くした事で、成人した今も母親代わりだったわたしにべったりになってしまっていた。
「喉が渇いたわ。何か飲み物でももらえるかしら? ララ」
「はい、ただ今、お持ちいたしますね」
わたしの為の飲み物をもらいに食堂へ向かおうと、ドアを開けたララは「きゃっ」と、短い悲鳴をあげた。その先にいたのは器用にも五段に重なり合った妹達で────。
「あなた達、何して──」
「お姉さま。大丈夫? 具合はどう?」
「気絶してたから心配したの」
「アーサーがオロオロしてた~」
「びっくりしたよ」
「アーサー泣きそうだった」
同じ顔した五人がわあっと寝台の上のわたしに抱きついて来た。揉みくちゃにされて病人どころではない。わたしと同じ色の暁色の髪に緑色の瞳をした、成人を向かえる前の幼い顔が五つ並ぶ。赤ん坊の頃から面倒を見て来た側としては、もう可愛い過ぎて堪らない。ぎゅうっと皆を抱きしめようとしたら、どさくさに紛れて胸に触れてきた手があった。
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