5話 お前、性格悪いって言われるだろ‼



それからあっという間にレイラおれが王宮へ住む手配が整えられた。それも王子様が来てから次の日の朝には迎えの馬車がウチに来た。ジェバ〇ニも真っ青の早さだよ。


父親もいきなりの王子からの申し入れに最初は目を白黒させて驚いていたが、断ることが出来るはずもなく母親と一緒に娘を嫁に出す親の顔つきで泣きながら見送ってもらった。

俺が転生してから数日しか会話をすることがなかったがいい両親だったように思える。


「ご両親と離れるのは寂しいですか?」


一緒に馬車に乗っていた王子が俺に聞いてくる。


「うーん、転生前のレイラの記憶がないからなあ。俺にとっては数日前にいきなりできた両親だからよくわかんねえ。ただ、いい人達だったよ」


「……そうですか」


「なあ、あのさ。いきなり王宮に住むって大丈夫なのか?」


「問題ないですよ。父上も母上も喜んでいます。母上は特に娘ができるようで嬉しいとおっしゃってましたよ」


とにっこり微笑む王子に何か違う思惑が見え隠れするのは気のせいか?


「そ、それならいいけどよ。あ! あの件はちゃんとできているんだろうな!」


王宮に俺が住むにあたって条件を出していたんだよな。


「……ああ、『侍女は若くて美人を!』でしたっけ。まったく、前世のあなたはどんなに女性に飢えてたんですか。…王宮で犯罪まがいのことはされないようにご忠告致しますよ」


「はあ? そんなこと俺がすると思っているのか!?」


全く心外である!


「今までのあなたの言動で疑う余地はないと思いますが?」


「そんなことはしない!」


「それならいいです。ああ、あとその話し方は王宮ではしないようにお願いしますね。普通の振舞うようにしてください」


「ほほう…」


なら、令嬢らしからぬ行動をしたら婚約候補から早々に外されるのではないのだろうか。


「じゃあさ、俺がお前の婚約者に相応しくないと思われたら婚約もなかったことにできるんじゃないか?」


しばらく美人の侍女さんたちに目の保養させてもらったら婚約者に相応しくない態度をとって破棄してもらえばいい。

俺って頭いいっ!!


「……なんででしょう? あなたの考えていることがわかる気がします。しかしあなたが思っているようなことしたら悪魔付きと言ってこの国随一の凶悪な魔術師にお渡ししますから。まあ、生きて出られることはないでしょうね」


「くっ!! 卑怯な! だが俺は悪魔付きじゃないと言えばいい!!」


「ははは、公爵家令嬢と一国の王子の発言はどちらが重いですかね?」


「くそ、お前、性格悪いって言われるだろ!!」


「あはは、私ほど品行方正な王子はいないと言われますよ」


「どこかだ!!」


昨日から思っていたがこいつとは気が合いそうにない。だが、現状では俺が不利なのはわかる。

まあしばらくはこいつの言う通りにしておこう。レベルを上げて俺自身の力で生きていけるまでは。



「ああ、そろそろ着きそうですよ」


王子の言葉で窓の外を見るとでっかい城が見えてきた。


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