戦闘チュートリアル!

そういえば今の姿を説明しておこうと思う。鳥人種type 卵になった僕は、卵の殻を身体に纏ったヤバそうな人物になっていた。まぁいずれカッコいい成鳥になれるだろうから目をつぶっておこう。




「あ、そうそうそう言えばプレイヤーネームを聞いてなかったワン。どうするワンか?」




戦闘チュートリアルはこっちでするワン!なんてダッキーに言われて、彼(?)の後を着いて行く途中にダッキーはそう問いかけてきた。


なんとなく流してたけど確かにプレイヤーネームは大体ゲームの最初につけるものだよね…




「うーん、じゃあライトにするよ。」




圧倒的本名プレイ…! 故郷でも地球でも、何故だかわからないけど僕の名前は光人ライトだ。元々地球では珍しい名前ではある一方で、ゲームではありふれた名前だから大体いつもゲームでもこの名前にしてる。




「オッケーわかったワン。ライト改めて宜しくワン! 」


「うん、宜しく! 」


「あっ! そう言ってる間に着いたワン! ライトには、ここでモンスターと戦って貰うワン! 」




到着したのは、大樹から少し離れた所にあるストーンサークルだった。なんかあるなって、さっきから気になって居たんだよね。




「戦闘チュートリアルでは、僕が【召還】で《草狼》を呼び出すワン。ライトにはそれと戦ってもらうワン! 」


「チュートリアルってことはアドバイスとかも貰えるんだよね? 」


「当然だワン! 今からスキルの使い方を教えるから、わからないところがあったら気軽に聞いて欲しいわん! 」




始めての戦闘、ワクワクしちゃうね!僕はダッキーに向き合い、説明を待つ。




「まず、攻撃には二種類あるワン! 物理攻撃と魔法攻撃だワン。」


「あっ、そこら辺は大丈夫だよ。これでも僕、いくつかゲームはしてるからね。」


「了解だワン! スキルは発声することで発現するワン! 一度使うと再使用するためには時間が必要だから、注意するワン!」




ふむふむ。このゲームは声に出すことによってスキルが発動するタイプなのか。クールタイムもある、と。




「思考ではスキルは発動しないの? 」


「始めたばっかのプレイヤーにはできないワン! この世界でのスキルは、クエストの報酬、レベルアップ、プレイヤーの行動が主な入手方法だワン! だから、今は無理だけど、練習すればいずれできるようになるワン! 」


「なるほどね、頑張ってみるよ! 」




行動でもスキルが手に入るのか! これは色々想像が捗るなぁ。何気ない行動でもちょっとお得になるのは嬉しいよね!




「それじゃあ次行くワン! 弓兵見習いが最初に持っているスキルは【強弓】だワン。スキルを発動した後一撃の威力を高めるワン!」


「ふむふむ。なるほど。」


「あと通常攻撃っていうただ弓を射るだけのアレもあるワン。通常攻撃は威力は高くないけど、クールタイムも無いワン。」


「ふむふむ……そういえばスキルを使用するのにMP的なものは使わないの?」




そう、さっきから疑問だったのだ…僕は今の今まで自分のステータスを見ていない。HPやMP、STRやINTなどがまったくわからない。




「あーー!完全度忘れだったワン。ごめんワンー! 『ステータス』って念じれば見れるワン! 」


「ダッキーうっかりが多いね……そもそも存在してないのかと疑いだしてたよ。さてさて、それじゃぁ…『ステータス』! 」




――――――――――――――――


PN.ライト 【鳥人種】《type 卵》


Lv.1


Job.《魔法使い見習い》 sJob.《弓兵見習い》


HP 10


MP 15


SP 15




STR 5


INT 7


TEC 8


AGI 2


VIT 5


LUC 3




スキル


【強弓】【火矢】


――――――――――――――――




おぉ! 目の前にウィンドウが出現する。




なるほどなるほど…ステータスの合計は30みたいだね。器用さと賢さが高いから、種族や職業を参考にするみたいだ。




「ステータスは確認できたかワン? SPは物理のスキル、MPは魔法スキルで使うワン! 時間経過で回復するワン! 弓の威力や命中率はTEC(器用さ)に依存するワン。でもリアルでもやってるとちょっと上手くなったりするワン! おんなじように、魔法はINT(賢さ)に依存だワン!」


「了解!STRは筋力で物理、AGIは素早さ、VITは頑丈さ、LUCは幸運……クリティカルで大丈夫かな?」


「大丈夫だワン! 説明は以上だワン。なにか質問はあるかワン? 」


「大丈夫だよ! 」




あぁ、この世界は本当にすごい。ダッキーなんて、人間以上に会話がスムーズだ。過ごしていて1mmの違和感も無く、"世界"に立つことができる。




「それじゃあライトにこれ、〔見習いの弓〕と〔見習いの矢〕×20をあげるワン! 器用さが5あがるワン! あと、弓と矢がないと弓兵はただの人だワン! でも、道具は今回はあげるけど、次からは自分で手に入れて欲しいワン! 」


「了解! これを装備して……準備完了っと」


「それじゃあ【召還】っと。頑張るワン!」




ダッキーがそう言いストーンサークルから出ると共に、光が集まって弾ける。そして次の瞬間緑色の狼が現れた。




あぁ、とてもワクワクする。僕は帰って来たんだ。この場所闘いへ。




さぁ、戦闘開始だ!




「【強弓】! 【火矢】!」




魔法使い見習いの最初に覚える魔法が火矢で本当によかった。相手は草狼、よく燃えそうだ。




矢筈はしっかり凹んでいる。僕にできる"闘い"は一つだけ。




魔法を弓につがえれば、強弓で威力が上昇した赤い矢にエフェクトが纏わり付き、白く輝き出す。


"魔法弓術コレ"ができるゲームは今まで存在していなかった。でも僕は"コレ"を捨てることができなかった。でも…ここならできる!




一つ息を吸うと共に、狙い澄まされた赤を放つ。白き赤は吸い込まれる様に、こちらを伺う狼の眉間に突き刺さり…




「ふぅ…」




吸った息を吐けば前方で火柱が上がり、ポリゴンが爆発した。




『Lvが2に上がりました スキル【眉間打ち】【魔法弓】【精神集中】を手に入れました 称号初戦の完封者《二の打ち要らず》《ダッキー驚愕》を獲得しました。』




ファンファーレが鳴り響く。






この世界で……僕は闘争に帰還した。

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