第4話 一路平安

「仲間、ができるみたいだけど、その仲間も私みたいな姿なのかな?」


「あ、貴方のその姿…椎茸!」


私の後ろで声がした。

振り返ると、自分より小さいキノコ、なめこがいた。

「あ、なめこ!?」

「貴方も神に姿を変えられたんですね。」

「う、うん」

「1人では色々と心細いですものね、私も連れていってくれませんか?」

「い、いいけど……」

急展開すぎん!?

でも、こんな可愛い子(なめこ)が仲間になるなら嬉しいな


『"なめこ"がなかまになった』


「それじゃあ…おぶってください。」

「へ? おぶるって、おんぶ?」

「はい!」

「ちょ、ちょっと何言ってるかわからないなぁ! おんぶとか…ちょっと歩くスピードが落ちるよ!? ちょっと歩こうよ!!??」

「でも、私、足が痛くって、」

「ええ……」

「あ、いいです、もう。貴方がそんな酷い人だったなんて思いませんでした。」

「へあっ!? ちょ、ちょっと!」

「そんな養豚場の豚を見るような目でこっちを見ないでよ!!」

「ごめんなさい、私はこれで…」

「あ…………」





しょうがなく私は彼女をおぶることになった。


「ふふっ、ありがとうございます〜」


あれ? 私、いいように扱われてないか?


「それより、私椎茸嫌いなんですよね、臭いし、食感が気持ち悪いじゃないですか〜」

「あ"あ"ん!?」

「ふふふ、冗談ですよ〜」



……絶対本気で思ってるんだろうなぁ………………









「ふう、村についた〜」

「この村は、シカムの村っていうんだね」

「あ、シカムの村にはドーマ神殿がありますよ。きっと転職できますね!」

「なんか周りの人からジロジロ見られてる気がする…………」



「ここがドーマ神殿、教会がでっかくなった、って感じだね。」


「ん? なめこと椎茸? 私の仲間他にいたというのか!」


再び後ろから声がした。

振り返ると、細長くて痩せているエリンギがいた。

「え、エリンギ?」

「ああ、私はエリンギだが……君たちもここに転職に来たのか?」


「だ、誰かー!!」


突然大声で誰かの助けを呼ぶ声がした。

私はなめこちゃんと、エリンギの人と3人でとりあえず声がした方向へ向かう。


「どうかされました?」

声がした方向には、1人の男性が倒れ込んでいた。

さらにそこに1人の女性が駆け寄ってくる。おそらく夫婦だと思われる。


「は、畑の野菜が…」

「ぬ、盗まれたんだ。」

「ああ、あなた、なんてことでしょう………なんとかしてください!! 勇者様!」

「ふっ、野菜は私たちが取り返してみせますよ!!」


「おお、しいたけ殿は頼りがいがあるな! 私はエリンギ、仲間になってくれ!」

『"エリンギ"がなかまになった』


といい飛び出したものの、

私はなめこをおぶって思考停止状態で盗賊が逃げていったという西に向かって歩いていた。

エリンギは私に気さくに話しかけてくれるが、陰キャの私は

「あ、はい…」

「そうっすね……」

みたいに相槌を打つだけだ。

気がついたら私の背中でなめこが寝ている。

誰か、この状況をなんとかしてくれ。


そう、強く願った時、


「あっ! お前らのその姿…」

私たちの前にはひらたけの姿があった。


「ひ、ひらたけ!!??」

しかもそのひらたけの背負っていた鞄からは明らかに獲りたてと思われる野菜がはみ出していた。

「どうせお前らも神に選ばれし者、勇者なんだろ、だが、残念ながら私は盗人だ。」

「なっ! なぜ神に選ばれたというのに悪に手を染めたんだ!」

エリンギがすかさず喝を入れる。

「この姿だとな、食べ物を買えない!!」

「店に入れば変な目で見られるし、畑を耕せなくて給料を貰えない!」

「妹たちを養っていけないんだよっ!」


うわぁ……………


場が微妙な空気に包まれた。

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