第2話 心機一転

う、ここは?


私は『ぼうけんのしょに"てんせい"します』

という文字を見てから画面が真っ白になって、気がついたら知らない場所にいた。


「ここは………教会?」

「おはようございます。勇者様。」

「へっ!?」


振り返ると、この世の人とは思えないほど美しい女性が立っていた。

サファイアのような輝きを持つ瞳に、亜麻色の髪色のロング髪をハーフアップにして束ねている。正直性癖にブチ当たってる。


「あ、貴方は!?」

「私は教会のシスター、アリシアです。ここは教会でゴールドを払い仲間を生き返らせることのできる場所です。」

「勇者様、先ほど魔物に頭を強く打たれたせいで記憶が曖昧なのですね。」

「え? 頭?」

「はい、先ほど勇者様はここでセーブして意気揚々と教会を飛び出した瞬間に魔物に倒せれてしまったのです。」

「え? 私ドジすぎじゃない?」

「私……? ああ、一人称まで変わってしまったのですね……」

「あ、いや! もともと"私"なんですよ〜」

「そうなのですか。今は夜ですし、近くの宿屋で寝てから出発するのがいいかと思われますが、」

「あ、そうだ! アリシアさん、私の目的ってなんでしたっけ」

「え? 魔王になって世界征服するのが勇者様の使命ですよ。」

「は?」

「へ?」


ま、まって、思考が追いつかない


「ふふっ、本当にお忘れになってたんですね。」

「世界征服するなんて冗談に決まっているでしょう。」

「勇者様、貴方の目的は北の大地に住む魔王ドロデロスを倒してくることです。」

「ドロデロス? 泥ってこと? んじゃあ簡単に倒せるじゃん!」

「行ってきまーす!!」

「あ、勇者様! お待ちください!!」

「へっへ、魔王と倒してアリシアさんに婚約を申しこ…」


ゴンッ!!!!


私の視界は深く暗転した。











「あ、あれ?」

「ああ、勇者様、二回連続、外で待ち伏せされていましたね……」

「おいたわしいです。」

「いってて、痛みの感覚まだあるんだけど……」

「はい、勇者様はいつでもここで復活をすることができます。」

「え!? なにそれチートじゃん!!」

「いやあ、まあ……勇者様は清き心の持ち主で神に導かれし者なのです。」

「どういうことだってばよ?」

「簡単に言いますと、神様に選ばれた人間なのです」

「え。なにそれすごいじゃん。」

「ですが、神様に見放されれば、貴方はただの"椎茸"に戻ります。」

「んえ? ただの椎茸?」

「はい、貴方は椎茸ですよ?」

「え?」

「ええ??」

「ええええええええ!!??」

「だから、貴方は椎茸で…」

「はああああああああああああああ!!??」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る