この世界の人間(ひと)たち

カーテン

この世界の人間(ひと)たちーショートエッセイ(1話完結)

 毎日がせわしなく続く中、人は明日のことも考えず、ただひたすら自分の「今」という時間を必死につなぎとめようともがいている。

 誰かを守ろうとすればするほど、違う誰かを地の底まで追い詰めることになり、追いやられた者は大抵ほとんんどの人から批難され、その人のすべてが否定されることだって少なくない。地位や名誉を保とうとすればするほど、その陰で犠牲になっていく事だって多々あると思う。

 何かを助けたり、守ったり、成長させることは悪くない。その一方で、陰にかくれていくものたちのことを私たちは忘れていないだろうか。


 私の好きなあるアーティストが一時こんなことを歌っていた。

 戦争も汚れていく地球も、全部、愛のせいなんだ、と。


 確かにそうかもしれないと思った。すべては自分たちのため、何かを守り、何かを輝かさせるため、私たちは大きな信念をもって事を起こすのかもしれない。


ーー考えてみてほしい。


 誰かがたとえ周りと大きく違った考えを持っていたとしても、たとえ、その考えが世間からはずれ、非行のような考えだったとしても、その人のすべてを真っ向から否定するのは、果たして正しいのか。

 そもそも、正義とか悪とか、この世に統一された定義なんて存在するのか。


 最近の私たち社会は、誰かを思いやる心を忘れかけているときがあるかもしれない。


 複雑な政治ルールや周りの生活環境のもと、それに従っていかなければならないことはこの世で生きている限り避けられないことだけれど、でも、それでも、時々思い出してほしい、思いやる心を。


どんな人にも、国にも、組織にも、いいところも悪いところもあるのだから。

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