第51話《存在進化》Ⅲ
目を醒ます。終わったのだとわかる。
む……? 今回は《存在進化》の選択はないのか?
それを考えた。まぁ事実なかったので、ないのだろう。
眼を開けると、明るい世界は広かった。世界が彩られていた。樹高の高い木々を見上げる。
蛇の目ではない色覚だ。陽に輝く緑とは、こんなにも美しいものであったのか。
「木々が高い。相棒が大きい」
すぐ横には、まだ眠っている下半身蜘蛛の幼女と、右目に傷のある蜘蛛。
眠りに落ちる前までの、体感体長80メートルの感覚がまだ残っている。
「予想通り、人型か」
褐色の腕を見る。細い腕だ。脚も細い。腹も細い。
頭は一つ。九つあった眼は、三つにまで減っていた。
人型だが、縦に裂けた額にある眼は今まで通りピット器官を兼ね備えているようだ。
今まで通り《邪眼》もこの眼で使うのだと、本能的に理解する。
「髪は白いな」
肘まで伸びている髪は、真っ白だった。色覚は前世の知識と一致する。全身の肌の褐色は前世と違う。我が生きていたのは日本という国で、黄色人種だったはずだ。
白髪の長髪は、黒髪ロングの相棒の影響だろうか?
とりあえず……、この不安定さが気になる。
「おい『僕』」
もう一人の我である《並列意思LV1》の『僕』に声をかける。
――何? 『我』?
「代わってくれ」
――いいけど、何で?
「長いこと魔物であったからか、この小さき身体が落ち着かぬ。『僕』には人間としての人格を任せたい」
「なるほどね。わかったよ、『我』」
――うむ。我は《邪眼》から世界を見ておこう。何かあれば警告する。
「了解。頼むよ」
『我』は邪眼に収まった。とりあえず、いつものステータスチェック。
《解析LV9》
《解析LV9》は《解析LV10》に上がった!
《解析LV10》は《鑑定LV1》に進化した!
「わっ!」
上がりにくくなっていた《解析》スキルが一気に上がった。
スキルのレベルアップは「量より質」だ。低位の魔物に十回使うより、高位の魔物に一回使った方が、スキルのレベルアップは速い。
「つまりはそれだけ、僕が高位の魔物になったってことね」
では改めて。
《鑑定LV1》
※ 主人公のイメージ
肌は褐色。髪は白髪で肘まで伸びたストレートの長髪。
瞳は縦に裂けた邪眼含めて三つとも赤。
身長150センチ程度。細身。痛くない程度の巨根。
腕と脚とち〇こが長い体のバランス。
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