第2話

「…これ便利だな」


『その気になれば戦闘にも応用できそうですね』


「するかわかんねぇけどな」



夜斗は屋上から飛び降りた

誰も見ていないからいいようなものだが、見られていたら大騒ぎである



「ここが教会か…」


『みたいですね。喋らないほうがいいです?』


「そうだな。とりあえずスマホも隠す」


『了解です』



アイテム欄から、収納を選ぶと手の中のスマホが中に入っていった

正直服は日本で着ていたものと同じなのだからポケットに入れればいいだけである



「こんにちはー」


「…おや、君は…」


「なんか、レスタの迷子?らしい」


「ああ…衛兵から連絡があった人かな。奥までおいで」



夜斗は手前にいた男のあとからついていく

日本にあるチャペルのような場所を通り過ぎ、像の前に連れて行かれた



(…これは…?)


「これは、職業を知るための宝珠でね。触れたときの色でわかるんだ。剣士が赤、魔法師は青 、緑が治療師、狂戦士は黄色、賢者が白…くらいかな。まぁあまりわかってないから、触ってみたらわかるよ」


「杜撰だなぁ…」



夜斗はその水晶に触れた

すると中で複数の色が蠢き、最終的に黒になった



「これは…」


「なんなんだ?」


「わからん」


「…はい?」


「前例がないんだよ。紫とかはいたけど、それは剣士と魔法師両方のスキルを取得できるっていう意味だったんだけど…」


「あー…なるほど。じゃあ追々かぁ…」



などと言っているが実は夜斗は知っている

ステータスの中に記載されていた職業それは

[死神]



「ちなみに死神とかって職業はあるのか?」


「ないね。今のところは。昔の勇者が死神だったんじゃないかって話だけど」


(わーおすでに面倒な予感)



しばらく思考を巡らせる



「この世界だと、お金稼ぎをするなら冒険者がいいんじゃないかな。ギルドにいけば登録できたはずだよ」


「ギルドってどこや」


「ここから東に徒歩5分」


「駅近か」



ステンドグラスの向こう側に確かにそれっぽい建物が見える



「色々ありがとう。そういやあんたは…?」


「…ああ、自己紹介まだだったね。私はここの教祖。まぁ、この国の王様かな」


「…めっちゃタメ口やった…」


「はは…いいよ。みんな敬語で飽きてたとこだし。たまには話しに来てくれると嬉しいな」


「わかった…。あ、俺は冬風夜斗。なんかあれば呼びつけてくれ」


「うん。じゃあ、またね」


「ああ、またな」



打首覚悟だったのだが問題なく切り抜け、夜斗はまたアイズを取り出した



「アイズ」


『あれ?もう終わったんですか?仕舞うとか言ってから2秒ですけど』


「多分アイテム欄にしまうと時間が止まるんだろうな。お約束だ」


『なるほど。もういまさら非現実的だとか突っ込むのは野暮ですね。これからどうします?』


「とりあえずギルドとかいうとこにいってくる」


『お金稼ぎですか』


「そゆことだ。行くぞ」


『はーい』



夜斗はまた001を入力し、ギルドの屋上に転移した

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