手を伸ばせば
本条真司
異世界は知り合いだらけ
第1話
目を覚ました
周囲を見回して確認できたのは、ここが日本ではないという事実のみ
(ああこれあかんやつや…。オランダに転移したとか言われるより異世界転移の方が現実味があるぞ…)
夜斗はゆっくりと立ち上がり、体を伸ばす
そして微かに見える街に向けて走り出した
(うん…体軽いな。異能とかもあんのかなぁ…。そうなら面白くなってきた)
笑いながら走り続け、門の前…から1キロほど離れた地点で足を止める
疲労感はない。膨大なスタミナが与えられたのだろうと当たりをつけて、夜斗は歩いて門に向かった
(ふむ…そういえば、ステータス的なものは見れるのか?)
ふと気になったことを試すために立ち止まり、ステータスと呟いてみる
すると夜斗の目の前に、半透明のウィンドウが現れた
そこに表示された名前はたしかに夜斗のもの
アイテム欄にあるのは夜斗が普段身につけている特殊警棒とスタンガンだ
(そんなもん引き継がれても困るが…。レベルは1で…ステータスは平均して100とかそのへんだな。この世界で当たり前なのかはわからないが…)
門に歩み寄り、衛兵に声をかける
(やばい何を言ってるかわからん)
【スキル『言語読解』を取得】
(ん…?)
「聞いてるのか坊主」
(あれ、言葉がわかる…。さっきのスキルってやつか…?)
夜斗は小声でステータスと呟いた
すると表示されてきたスキル欄に、ご丁寧にNEWと書かれたスキルが見つかった
言語読解。どうやら、他言語を理解できるようになるらしい
「あ、ああ…。ちょっと気づいたら草原に倒れてて…記憶がないんですが…」
「ん?お前あれか、レスタの迷子か」
「レスタの迷子…?」
「そこまで記憶飛んでるのか…。記憶をなくして倒れてたヤツのことをそう呼ぶんだ。ちょっと待ってな」
衛兵がどこかに連絡を取るために衛兵室に入る
どこか元の世界のプレハブに似た何かを感じる建物だ
「待たせたな、坊主」
「あ、ありがとうございます」
「中に入っていいってから、この壁の真ん中にある教会に行くといい。そこで教祖が待ってる」
「わかりました、ありがとうございます」
「それと、敬語は使うな。誰が目上がわかってしまうからな、王以外にはタメ口でいい」
「そうなのか、わかった。何から何までありがとな」
手を降って衛兵に別れを告げ、門をくぐる
確かに奥の方に教会のようなものが見えた
(遠いな。なんか転移系の魔法とかないのか?)
【スキル『魔法検索』を取得】
(なんだそれは)
またスキル欄を確認する
NEWと書いてある魔法検索を選択すると、概要が表示された
(あー、と?効果を入力すると該当する魔法を検索し表示する…おあつらえ向きなのきたな。えーと、魔法検索『転移』)
表示されたのは
どうやって使うのかと頭を悩ませていると、使い方が脳裏に浮かんできた
(えーと?本来は杖に4つ、短杖に2つ登録して発動する…。2つ登録するドローン的なものもあるのか。ロッドとワンド、そしてユニット…。よくわからん)
【武具『ワンド【アイズ】』を取得】
(またなんかゲットした。どれどれ…)
メニューから装備を選択し、中にあるワンドを確認する
レア度が高いらしくSSと記載されていた
それを選択し、装備を選ぶと夜斗の手の中にそれが現れる
(どーみてもスマホだな。しかも俺が使ってたやつ)
夜斗はスマホにしか見えないそれの画面に触れた
起動ロゴはいつものオリジナルOSのもの
そして表に出てきたのは、いつもの女の子のイラスト
「アイズ…」
『あら…?ここはどこですか?マップデータがデータベースにない…というかデータベースにアクセスできないんですけど』
「わからん。多分異世界だな」
『…寝言は寝てる間に言ってくださいよ』
「見てわかんだろ。こんな中世フランスみたいな街が現代にあるか?」
夜斗はヌルヌルと動くイラストに見せるため、アウトカメラを街に向けた
日本であれば珍しいものを撮る人に見えないこともない
『これは…たしかに地球ではないですね。異世界とはまた…。あ、なんかよくわかんないアプリが追加されてますよ』
「…?起動してみてくれ」
『ウィルスの類ではないみたいですね。起動します』
AIアイズ
夜斗が開発した、夜斗のためのサポートAIだ
データベースという自宅サーバーからネットにアクセスすることも可能な、優秀といえば優秀な存在である
『なんか、魔法を登録できるみたいですね。99個』
「いや多いな。どこの魔○科だ」
夜斗はそうツッコみながら有視界内瞬間移動を登録する
すると、登録魔法一覧に表示され、隣に001と記載されている
『この001っていう番号を入力してエンターすると発動するみたいです』
「ほーん。やってみっか」
登録画面から戻り、発動画面というホーム画面のようなものを表示させる
そして001と入力した
『この魔法の場合、見てる景色の中心部に転移します。発動までカウントファイブ』
「了解」
5秒カウントの間に、教会を視界の中心に入れる
カウントが終わると、車酔いのような不安定感が襲い、思わず目を閉じる
目を開けたとき、夜斗は教会の屋上にいた
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