第2話 元の関係
さくらは、居心地悪そうに
ソファーに腰かけている
俺は、寝室のベッドの下に布団を敷いた
彼女の友達が泊まるときは
いつもこうだから…
シャワーを終えた彼女がフラフラしながらこちらに来る
彼女は、どれだけ酔っていても
シャワーを欠かさない
「中西さん
シャワー入ったら
洗濯機の上にタオルと
私のやつだけど
部屋着おいてるから使って」
その言葉も
フラフラで
視点は合っていない
俺は、彼女を支えるように手をつかんで
「もう寝たら
中西さんの布団、ここでいいよね」
それを言い終わる前に
彼女は撃沈
クークー
と寝息をたてながら眠りに入った
ギリギリのところで
受け止めて
彼女を抱え
ベッドに置く
ちょっと重くなった?
そんなことを思いながら
布団を掛けて
寝室の戸を静かに閉める
"パタン"
と音がすると
さくらは、こちらを見た
「久しぶり」
俺も
さくらの方をみて
「久しぶり…だね」
そう返すと
それまで俺は
彼女の同僚として
さくらは
同僚の彼氏として
の立場だったのに
一気に
元カレ
元カノ
の立場に変わった
俺は
彼女にホット烏龍茶を入れて渡した
さくらは微笑んで受け取った
変わらないな
温かい飲み物を飲むとき
目をつむる癖
猫みたいな顔になる
それを見て
懐かしくて
少し笑うと
「何?」
少しふくれて
こちらを見る
「ごめん
懐かしくて…
さくら
変わらないね」
そう言うと
小さく頷いて
「そうね
3年くらいで
なかなか人は変わらないものよ
でも、君は大人になったね」
そう言って笑った
さくらとは
高校のころから付き合い始めて
就職して間もなく
別れた
そう、彼女と出会う少し前
あの飲み会の少し前まで
俺たちは恋人同志だったんだ
好きだったんだ
さくらの事が…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます