応援コメント

問⑨【苦い思い出の話】」への応援コメント

  • ♪♪♪ 一帆 ♪♪♪
    やっと書き上げましたー。息切れ気味ですが、間に合った?(>_<) 


     ユキがあいまいに笑う。無造作に後ろで縛っている濡れた髪、少し桃色がかった頬。ボクは思わず目をそらして外の景色を見る。目の前には、満天の星が映し出されている湖面。ボクは大きく息を吸う。


    「聞かない」
    「でも……」

    『人工知能は恋をするのか』
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219764931995


     問⑨のエピソードに、軽めの回答を。
     問⑨の答えのエピソードは、ちょっとえっちい展開で回答を。(上の回答)


  • ☆☆☆ 愛宕 ☆☆☆

     僕はマリアの話に耳を傾けることにした。

     出会いの場が事件現場だっただけに、保護をしてからのマリアとジェーンの生い立ちは簡易的だが調べてあった。その情報は外事課に保管され、目黒さんや都梨子以下捜査関係者も閲覧できるようになっている。しかし、二人の幼少時代の情報は全く蓄積されていなかった――。

    『二択探偵フタヒロ』
    (https://kakuyomu.jp/works/16816452219638120621/episodes/16816452220822479969)

  • 💐涼月💐

     ちょっと暗いお話です(^^; よろしくお願いいたします。

    💐「蝉の声……やっぱり懐かしいな。聞くと悲しい事思い出すのに。もう二度と帰らないって思っていたのに」

     続きはこちら ↓
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219634382982/episodes/16816452220858392810

  • 🌰🌰🌰🌰🌰 🌰🌰🌰🌰

    「きみが話したいなら、僕はいつでも聞くよ。でも僕は、たとえ話してくれなくても」
    「聞きたい? 聞きたくない?」

    🌰🌰🌰🌰🌰 🌰🌰🌰🌰

    続きはこちら〜♬くりっ!
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219874986703


  • 編集済

    先程まで夕焼けの眩しかった空を、厚い雲が覆い始めた。

    ▶続きはこちらから
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219170939051/episodes/16816452220688586628

  • 🍷🍷🍷

     僕は彼女の、モブ子ちゃんの過去を聞いた。

     自分はいてもいなくても、世の中には何も影響しない存在でしか無いことに子供の頃に気が付いたこと。
     人畜無害の良い子ちゃん、でも、何の面白みのない女の子、それがモブ子という女の子であること。
     モブ子ちゃんは自分の中の不安を吐き出した。

     僕はそんなことはない。
     君は僕にとって大事な人なんだと、熱く語った。
     でも、その3日後、君は僕を捨てた。

     何がいけなかったのだろう?
     僕は君のことは本当に好きだった。
     本当に大事な人だと思っていた。
     でも、君にとっては、僕なんて……

    🍷🍷🍷

    続きはこちらです。

    https://kakuyomu.jp/my/works/16816452220144105798/episodes/16816452220908039077


  • 編集済

    🍬🍬🍬🍬


    この場合、例えばベタな展開なら、

    今とは違って幼少時は太ってたとか、
    就活前にこっそりプチ整形したとか、
    実は性転換してるとか、

    そんなあたりだろうか。

    ま、それしきのことでは動じないけどね。
    だって実はぼく、時間遡行者タイムトラベラーなんだもの。


    「時をかける青少年」筒岩ヤスカッタ

    🍬🍬🍬🍬

    ちょい長版も、SS版と合わせてご一緒にお楽しみ頂ければ♪
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219850544840

  • 書きました~。

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219783275874

    こんなのです~。


  • 🍻


    「今も言った通り、僕は今のキミが好きだ。キミにどんな過去があろうとも、それは変わらない。だから僕にとっては、過去の話なんてどうでもいいんだ」


     彼女は僕の目を見つめたままだ。でも、彼女の意識が、気持ちが、すっと後退したのがわかった。僕は確信した。やっぱり、そうか……


    「でも、君が話したいのならいつだって聞くよ。それが今であっても、10年後であっても」


     彼女の目が不意に潤む。短く息を飲み、顔をそらして目を閉じた。


    「ずるいのね。そうやって、私に決めさせるなんて」

    「君は、話したいんだろう? でも、話すのが怖い。違うかい?」


     彼女は揺れていたブランコを止め、空を眺めた。


    「もうすぐ、日が暮れるわ」

    「……そうだね。綺麗な夕焼けだったけど、それももう終わる」


    「そう。終わるの。今日の日暮れまでで、わたし………」


     ─── あなたが聞いてくれたなら、わたしはあなたを殺す。聞かずにいてくれたなら、わたしは何も言わずに去ろうと思った。でもあなたは、わたしに選ばせてくれた。いつもみたいに、キミの好きな方でって。 ───



    「わたしね、昔、人を刺し殺したの。そして……同時に、殺された」


    🍻

    続きはコチラでお願い致します。
    https://kakuyomu.jp/works/16816452220246177194/episodes/16816452220801461448

    ちょっと、ふざけすぎたかもしれません。ま、今更ですかね。


  • 編集済

    🍏🍏🍏
     蝉が鳴く季節、そろそろ頃合いだと思っていた。陽は傾けど、しっとりとした空気の中の熱は、まだ冷めやらない。

    「関川君って、どんな子供だったの?」
     私は早速切り出した。まあ、聞かなくても知ってるんだけどね。フィギュアやジオラマを組み立てたりするのが好きで、毎日学校から帰ったら一人黙々と作業していたんでしょ。それって、さぞかし充実した日々だったでしょうね。

    「わたしはね、昔の自分が好きじゃないんだよね、今も思い出すとつらくなる。今でも関川君に話せないコト、話したくないコトあるんだよね」
    「僕は今のキミが好きだよ。キミといられて幸せだと思ってる」
     ああ、またそういう綺麗事を言う。関川君ってそういう人。
     今の私は『過去の私』の集大成。別人ってわけじゃないんだから。その土台と積み重ねてきたものを知らずに、『今の私』が好きだなんて……

     そうは言っても、困ったように頬を人差し指でかく姿を眺めていると、身体が沸々と熱を帯びる。周囲の水という水が霧散したような湿気がまとわりつく。
    「でも、本当のわたしは関川君が思ってるような人じゃないかも」
     そもそも私は……
     関川君はあからさまに憐れむような顔をした。きっと私が酷い目にあった過去を抱えているのかもなんて想像しちゃってるんだろう。「キミの過去がどうであれ、僕は受け入れるつもりだ」とか、気障な台詞を考えているに違いない。

     でも、もう潮時なのだ。解っている。けれど、最後に聞いてみたかった。
    「ねぇ、関川君はわたしの昔の話を聞きたい? 聞きたくない?」
     迷った挙げ句、口を開いた関川君の言葉は、どっと湧いた蝉時雨に掻き消された。全てが暗転し、私は地に落ちたような感覚の中に取り残された。


     今年は一度も雨が降らないまま、夏が来た。


     ずっと昔、土砂降りの雨に濡れ、雷に打たれる寸前の関川君を、気まぐれに助けたことがある。それは風雷神を退けるという、私にとっては他愛のないことだった。
     泥濘んだ土を乾かし、山中で道に迷っていたらしい子供の関川君が、無事に山を下りられるように導いた。
     何も話していない。ただ先を歩き、時折振り返る。子供は不安になると高い方へ登ろうとするから。同じ人の子の姿を借りて、堂々と下る姿を見せた。それだけだ。

     里が近づいてきた頃合いを見計らって、私は一気に駆けた。慌てて追ってきた関川君は、姿をくらました私を探してキョロキョロと狼狽えていたけれど、しばらくすると、諦めたというよりは何か悟ったようにギュッと拳を握り、「ありがとう」と今下りてきた道に向かって叫んだ。
     振り返らずに里に向かって駆けていく関川君の後ろ姿が見えなくなるまで、私はずっと眺めていた。

     雨が多く、山に新しい谷川ができた年だった。

     最後に見た関川君の安堵と切なさの入り混じった顔が忘れられずに、私は濁流から清らかな流れに落ち着いたその新しい川で水浴びをした。何度も、なんども。
     でも、冷たい水に包まれても、内から湧き上がってくる熱を冷ますのに事足りることはなかった。
     だから……
     我慢できずに逢いに行ってしまったのだ。成長した関川君に。私も年の頃を同じくした姿で。逢瀬を重ねる度に雨が減り、里は乾いた。細々とした山の谷川だけが唯一の水源となってしまった。
     これ以上はダメだと思いながらも、先延ばしにした。
     関川君には生きて欲しい。だから、私が去れば……

     この堕落は当然の報いなのだろう。


     私は人が好きだ。
     だが、特定の誰かを情熱的に愛す度に、地上は酷い旱魃に見舞われる。日照りが続き、作物が育たない。池も川も干上がって、生き物が何より必要としている水を奪い尽くす。雨雲は彼方に追いやられ、その土地はカラカラに乾く。
     結果、愛した者が生きる場所を奪ってしまう。

     住む世界が違うのだと、思い知らされた。これまでに何度も。
     

    タイトル『日照りの神・|魃《バツ》の憂鬱』
    🍏🍏🍏

    話の全貌は『無二の朝飯前』にて
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219567055907

  • 🐻🐻🐻

    「思い出してツラくなるようなことを、キミに話させたくないよ。でも、キミが話すことで楽になるならどんな話でも聞くし、どのような話でもキミへの想いが変わることはないよ。それだけは保証する」

     キィ……。

     ブランコの鎖が小さく鳴る。僕は音のした方を見て、目を見開いた。

    🐻🐻🐻

    長くなったのでこちらに↓↓↓
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219213701927/episodes/16816452220902352228

    今回は、どうも不思議なお話になりました(´◉◞౪◟◉)

  • 🐰🐰いすみ 静江🐰🐰

    『Iカップひなぎくの育児にぱにっと』
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219720071974

    「I10 苦い思い出の話」
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219720071974/episodes/16816452220854711778

     ――黒樹とひなぎくは、アトリエデイジーの仕事で、再びパリに来た。
     シテ島のノートルダム大聖堂、名は聖母マリアを指す教会が焼け落ち、ひなぎくも心配していたと言うのもある。
     それを受けて、アトリエ展示物のレプリカ制作旅行となった。
     あれもこれもと回って、三日目には俺でもしんどい。
     手術後の経過は順調なようで、そこも見落としてはならない。
     ご婦人のこと、大切なこと、なるべくフォローしなければと思う。
     それから、暫くとはいえ、残して来た子ども達とも逐一スマホで連絡中だ。

    「ひなぎく、気分転換に行ってみるか」

    「あなたの行く所なら、ご一緒しますわ」

     喧騒の中、ひなぎくに手を繋がれると、危なっかしいヒヨコみたいな風船に感じる。
     手放しては駄目だとね。

    「わあ、素敵!」

     パリのビュット・ショーモン公園は中々に広い。
     随分とひなぎくと散策をして、いい写生スポットを探していた。
     ひなぎく愛用の一眼レフが、夏の眩しさに埋もれない。
     だが、もう夕暮れが迫り、虫が鳴いている。
     幸福のシンボル、蝉に似ているが、果たしてその姿は見えなかった。
     蝉シャワーを浴びながら暫く地を踏む。
     どちらからともなく切り出した。

    「そろそろ、一休みしない」

    「そろそろ、一休みしよう」

     ブランコが沢山あった筈だ。
     大きな湖を後にして、空色のポールが立ち並ぶ所へ抜け出た。

    「いつもは、親子連れで賑わっているのに」

    「おう、腰掛けようか」

     俺が右、ひなぎくが左と隣り合って座った。
     白いジーンズから細い足首を出して、ひなぎくが地を蹴る。

    「おっと」

     俺は反動で回転しそうになる。
     踏ん張ってブランコを立ち乗りした。
     二人して、揺られていた。
     ずっとこのままでもいいとさえ思う。
     だが、そうも行くまい。
     今朝からずっと、ひなぎくの様子が変だ。
     本来なら、もっと明るいのに、翳りが見える。
     だから、ビュット・ショーモン公園に彼女を誘ってみた。
     カメラ大好きだからな。

    「あなたは、どんな子供時代だったのかしら」

    「どんなって。んん、よく覚えてないかな。勉強には精を出していたけれども」

     破顔一笑する。
     何だ、そんなことか。
     一つは、断言できる。
     明るくてかわいいひなぎくとは、真逆の子どもだっただろうとね。

    「私ね、特に高校生の頃を好きだとは思えないのよ。トラウマだわ」

    「俺もだ。小学生の分校で別れを知ったとき、口の中が苦くなる思いをしたよ」

     彼女のブランコが、引潮に誘われるように消えて行った。
     どうした!
     心の中で瞬時に叫んだ。

    「あなたに、話せないし、話したくないこともあるの」

     ひなぎくは、ブランコを前にこぎ出して、綺麗に降りた。
     振り向いた顔は、眉間に皺まで寄せている。
     
    「むむむ。悩みは、太陽系で言うとどれ位大きな惑星なんじゃ」

     些細な事で悩む癖があるからな。
     直径が四八八〇キロメートルの水星位だといいが。

    「俺は、今のひなぎくが……。心まで真っ白で綺麗だと思っているよ。傍にいるだけで、幸せで斃されそうだ」

    「でもね、本当の私を知らないわよね。あなたが思ってるような人か心配だわ」

     細く息を吐いたのが、隣の俺にも分かる。

    「あなたは、私の昔話を聞きたいと思うかしら。それとも、要らないとか思う?」

    「んん、Iカップばかりに目を奪われては、いないんじゃもん」

     ごまかそうとしても駄目だ。
     俺は、ひなぎくが抱えていた古傷を分かっていたのか。
     何より、幸せの最中で、探そうともしなかったのだろう。
     辛かっただろうな、ひなぎく。
     古傷を知らなくてもいいと思う自分がいる。
     過去はもう流れ過ぎたものだから。
     俺は迷っていた。
     足元には影が二つ。
     昔の傷に触れるか否か、さあ、決めるんだ――。  

     ◇◇◇

    「俺は、元妻と結婚するとき、連れ子が二人もいて、父親も二人だなんて知りもしなかった」

     ひなぎくが、息を呑んだ。

    「要は、俺自身が俺を信頼できない程軽率だった」

    「そんなことないと思うわ。誰にだって内緒にしていることがあると思うもの」

     俺もブランコから降り、軋み揺れる音を止める。
     蝉は、荒々しく対抗していた。

    「でも、よく分からないけれども、俺を父親だと思ってくれてな、そりゃあ嬉しかったもんだ」

     飛行機に乗るときは、小さなアルバムを持ち歩くことにしている。
     全ての写真に『四葉のLОVEクローバー』を刻んでだ。

    「元妻との子、劉樹、そして、虹花と澄花が産まれてからは、絆が深まったと思う程、愛おしかったよ」

    「よかったわね」

     やはり、ちとお冠だな。
     これだから、飛行機でひなぎくが眠らないと四葉は拝めない。

    「勿論、ひなぎくに授かった静花ちゃんも愛おしいさ」

     ん?
     薄っぺらい台詞に聞こえたのか。
     本気なんだがな。

    「よし、これが俺の告白だ。さて、ひなぎくの番だ」

     ◇◇◇

    「私はね、ノートルダム大聖堂で、あなたの元奥さんを見掛けたわ。それを見つめるあなたもね」

    「そのことかい」

     元妻とは関係がないが、二年前のニュースで見た大聖堂は、火災が起きて大惨事だった。
     この国の人々の心を焦がしてはいないかと思ったものだ。
     そこで、ひなぎくが再燃か。

    「うううん。昔の話は、もう少し遡らせて貰うわ」

    「無理はするなよ」

    「檸檬(れもん)画材店の上にある……。喫茶店で、その……」

     これは、大聖堂がお怒りだろうか。
     マリア様の悪戯にも感じられる。
     ひなぎくが、苦悶の表情で声を失っている。

    「駄目だ! それ以上は、語らないでくれ」

     俺は、肩を掴んで懇願した。
     いけない。
     この娘は、メンタルが弱いんだ。

    「あなた。でも、私も語らないとアンフェアだわ」

    「告白は、勝ち負けでも何でもない。何かに感謝したとき、ふと心の奥から零れ出るもの。俺はそれだけでいい」

     もう、まるっとひなぎくを抱き締めていた。
     壊れて欲しくないんだ。
     愛も情も伝える術を知らない。
     そのファインダーで俺の気持ちだけを切り取ってくれ。

    「あ、あなた……」

    「なんじゃい」

     ひなぎくの甘い香りが、最後の蝉と重なった。

    「あのね、楽しい想い出にしたいの。今度、その喫茶店に一緒に行ってくださいね」

     きゅうん。
     俺、仔犬でもいいかな。

    「お願いしますわ!」

    「お、おう。ゲラゲラ笑えよ」

     ひなぎくは、ふふふと笑った。
     折角来た公園だ。
     もう少し、ブランコに揺られてから、帰ろう。

     ◇◇◇

     ――飛行機が地面を蹴ってからまだ二時間も経っていなかった。

    「疲れていたのかい」

     毛布を掛けようとしたが、猫パンチで振り払われた。
     俺の顔面にジョーのジャブが入る。
     寝相大虎(ねぞうおおとら)め!
     彼女の寝息が俺の男を擽って仕方がない。
     可愛いって、自覚がないよな。
     無自覚も辛いんじゃもん。

    「ふう、約束が一杯になってしまったな……。白咲のご実家へのお披露目、友人のいすみ 静江さんとの面会、檸檬画材店での喫茶店デート、と」

     俺ってこんなにモテたっけ?
     とにかく、俺も長生きして、ひなぎくの傍にいなければならないということが分かった。
     支えるんだ!
     今度の愛する人こそ、軽率だったなどと悔やまないように、俺らしく大切にするんだ。
     そして、飛行機は、成田へと滑り降りた。

    「一安心だな」

     アナウンスなどもあって賑やかだったろうに、まだ眠っている。
     どんな夢を見ているのか。
     檸檬画材店の上にあった喫茶店、実は潰れていると知っているんだ。
     その代わりにレストランになったらしいぞ。

    「奮発するから、精の付くものを食べてくれ」

     牡蠣の亜鉛とかいいな。
     あ、そのまま、食べるなよ。
     ジンクホワイトとか、亜鉛の王様だからな。
     いやさ、魔王か。

    「あぷう……」

    「おう、日本だぞ!」

    「ふへえ、もう――?」

     タラップへと手を取った。
     眠っていたので、ほっほっとあたたかいのじゃもん。
     このまま、仲睦まじく……。
     一生な。


  • 編集済

    💕💕💕💕💕

    「いいよ話して。全部聞くから」

     僕はそう答えた。彼女にどんな過去があるにせよ、それをすべて知っておかなければ次のステップには進めない、そう直感したから。それに、こういう状況で何も話さずに胸の内にしまい込むことがどれだけ難しいことなのか、理解していたから。

    「ありがとう」

     前置きするように彼女はポツリとつぶやく。

     そしてスッと息を吸い込み、短く言った。

    「今まで隠してたけど、実は私、エルフなの」

     なんだ、そんなことか。

    「知ってたよ」

     そりゃわかるよ。耳長いし。

    「だから、これまでそれなりに歳を重ねてきてるの」
    「うん」

    「だから、本当のことを言うとあなたにドン引きされちゃうんじゃないかって」

     涙ぐむ彼女を捨ておけず、ブランコを降りて後ろからそっと抱きしめる。

    「大丈夫だよ。君の事は全部知りたい。知っておきたいんだ」

     僕の言葉で落ち着いたのか、彼女はうなずいた。

    「物心ついた頃というか初期の記憶って言うのかな? のんびり歩くマンモスとか、覚えてたりするの」
    「え?」

     まさかの氷河期!

    「だから私の過去を全部話すとなると、ざっくり二万年分」

    「それ、僕が生きてるうちに話し終わらないんじゃ?」
    「大丈夫よ、かいつまんで話すから」

     そして彼女は語り始めた。実は地球上に存在するエルフは彼女だけだということ、幼い頃の記憶も両親の記憶もなく、気がついたら自分が存在していたらしいこと、人類が近代的な生活を営むようになるまでは彼女は魔法が使えていたこと、世界のエルフ伝承の元ネタは、ほぼ彼女の事だということ、人里に住んだり森にこもったりを繰り返しながら、何人かの男と結婚し、死別してきたこと、子を宿したことはないこと、人間の事は好きでも嫌いでもないというか、自分も人間であるという認識であること、3時のおやつは欠かさない主義であること、最近ダイエットをサボってリバウンド気味であること、その他もろもろを一晩かけて語った。

    「……というわけなの」
    「つまりこのままでは人類は滅亡すると?」

    「おそらく。十数年後には」

     切長の目を伏せながら再びブランコを揺らし始める彼女。向かいの鉄柵に腰を下ろしていた僕は、明かされた衝撃的な事実と、早く帰って眠りたい欲求の間で激しく板挟みになりながらも、最善の選択を模索していた。

    「なんとか回避する方法は無いだろうか?」
    「あるとすれば、これね」

     彼女が懐から取り出したのは、手のひらほどの大きさの金属製の玉だった。

    「何これ?」
    「この世界に私が降り立った時から変わらずに存在するものなの。ここに隠された謎を解くことができれば、危機を乗り越えることができるかも知れない」

    「なぜ?」
    「さっき言った通り、私は宇宙の彼方から2万年周期の彗星に運ばれてこの地球に送り込まれたのだと思う。そして最近になって私が再び魔法を使えるようになったという事実は、その彗星の再接近の影響によるものと考えられる。これまで、他の彗星からマナを感じることはなかったから。その二点から導かれる結論としては、彗星が地球に最も近づくタイミングで私はかぐや姫のように、宇宙に連れ戻されると思うの」

    「なるほど」
    「回収された私はサンプルとして、地球におけるこれまでの自分の記憶を捧げることになるはず。私に与えられた不老不死の肉体とか探究心とかはきっと、そのためのものだと思うから」

    「その話とこの金属玉が、どう関係してくるのかな?」
    「私を送り込んだ者が情報を何に活用するのかを考えたの。彼らにとって地球が有用で価値が高いのであれば、その状態をキープしたいはず。仮にその状態が破壊されるおそれがあるならば、私がここを離れた後にその可能性を排除しようとするんじゃないかしら? もしそうなのであれば、この玉にはそういった機能があるんじゃないかなって思ったの」

    「なるほど。じゃあこれは人間だけを消滅させる爆弾みたいなものなのかな?」
    「そこまで野蛮なものでもないと思う。いきなりだと生態系を壊すリスクだってあるし。ただ、人類の歴史からも明らかなように、最終的に『先住民』が淘汰される可能性は極めて高いと考えられる。いずれにせよ手がかりは私自身とこの玉だけ。だから、この玉の謎を一番最初に解いた人――もしそんな人がいればだけど、私のところに連れてきて欲しいの」

    「一番最初でなければダメなのかい?」
    「うん。でないと大変なことに……」

    作品タイトル:『関川さんが今後書くべき恋愛展開を勝手に考えたら崖っぷちだった、の巻(第二部)』
    主人公:関川一尋
    ヒロイン:MARIKO

    挿入曲「不思議なお話を」
    https://m.youtube.com/watch?v=F2hMcsh7pnI