第20話 さらに、ドイツにヨーロッパでの戦局を

 さらに、ドイツにヨーロッパでの戦局を維持してもらうために、理子のアドバイスを受けて、大和と巫矢は暗躍をする。

「理子さん、ドイツに頑張って貰って、ソ連が日本に目を向けることができないようにするにはどうすればいいかな」

「そうね、今は、ドイツはイギリスとロシア両方を相手に戦っています。この調子で、二面作戦が続けばドイツがすぐに根を上げると思うわ。

だから、イギリスに隙を作らないで、ソ連に専念してもらう必要があるわね。

その隙も、結局、ドイツの作戦がイギリスに筒抜けだったことに、問題が在ったみたい。ドイツのエグニマって言う暗号機は、絶対に解読不可能って、ドイツ軍は高を括っていたんだけど、実は、イギリスは、その解読に成功していたみたいなの」

「なるほど、じゃあ、俺たちも主さん方式で、ドイツに暗号機を変えてもらうか」

「主さん方式って?」

「ああ、ドイツの司令部に行って、エグニマとやらを盗んでくる。盗まれたとなれば、暗号機を変えるしかないだろう」

「「なるほどね。それはいいかも!」」

 大和と巫矢そして理子の三人の意見が一致する。


 意見がまとまれば行動は早い。

ある日、大和と巫矢は、目元だけを出した忍者装束で身なりを固める。

そして、闇夜の晩に、空船を駆り、ドイツの司令室の一室がある軍事施設の上空で留まり、いつものように、大和と巫矢はダイブする。空を照らす照光器を矢で次々に破壊する巫矢、そうして、着地すると素早く、外部施設に斬撃を飛ばす大和。

闇鋼でできた闇裂丸は、その刀身に流される気を、刀身から斬撃として打ち出すことができる。


 空船の内部レーダーソナーによって、すでに、軍事施設の発電施設を把握していた大和と巫矢は、発電施設の近くに降り立ち、すぐさま、発電施設を破壊する。一瞬、真っ暗になる軍事施設。しかし、すぐに予備電源が作動したのか、ライトが点灯する。

「巫矢、これは、ダミーだ。空襲に備えて地下にも発電施設がある。この下だ!」

「分かってるわよ。大和がやってよ」

「しかたないな」

 巫矢の矢で破壊してもらおうと考えていた大和は、気を闇裂丸に送り込み、気合一閃、台地を数十メートルに渡って、真っ二つにする。

 そして、内部から大爆発が起こって、当たりの岩盤が吹き飛んでいく。

「地層切斬! なんちゃって」

「なに、格好つけているのよ。この混乱に乗じて、エグニマを盗むわよ」


 停電を起こし、混乱している施設内に飛び込んでいくが、そこでは、弾丸の嵐が吹き荒れていた。しかし、弾丸の雨を掻い潜り、警備兵を切り裂いていく大和、そして、その援護に回る巫矢。

{なんだ、こいつらも、夜目が効くのか?}

「大和、違うわ。暗視ゴーグルを付けているのよ。さすが、先進国ね。進んでいるわ」

「感心している場合じゃない。巫矢、どうすればいい?」

「もっと、早く動けば、動きをとらえることができないと思う。視界は、肉眼より、悪いはずだから!」

「了解だ!」

 大和は、さらにスピードを上げる。もはやこのスピードでは、おそらく、肉眼であっても、その姿は残像しか捉えられないであろう。

「警備兵たちは、闇雲にマシンガンを乱射するが、その時、大和はすでに、背後に回っていた。

「悪いな。最初は、殺すつもりはなかったんだが。こんなに抵抗に遭うとは予想外だった」

 そういうと、何人もの警備兵の首が宙を舞い、血しぶきが上がる。


 そうして、指定室に辿り着いた大和と巫矢は、間一髪、秘密を守ろうと自爆装置に手を延ばす司令官の手を、巫矢は矢で机に縫い付け、神速で移動した大和は、即座に司令官の首元に手刀をたたき込み、気絶させると、エグニマを持って逃走するのだった。


 そして、追ってきた者は、二人が、空に消える奇跡を見るのであった。 

 

この驚愕の光景は、のちのちまで語り継がれ、大戦後数十年のち、日本文化として、ニンジャという文化が入って来たとき、初めてあれはニンジャだと認識され、アメコミなど海外のニンジャが人外の身体能力で描かれるようになる原因を作っていたのだ。


「まったく、日本とは、全然違うな」

「そうね、自家発電に暗視ゴーグル、それにマシンガン。これと同じ装備を何万人もしているとしたら、そりゃ、日本は勝てないわ」

「大和さん。ドイツは同盟国よ」

「それでも、ミッション完了だ。これで、ドイツ軍は、暗号を変えなきゃいけない」

 大和、巫矢、理子、主は大和たちが盗んできた暗号機を前に、のんびりお茶を飲みながら、会話をするのだった。



 確かにこの後、ドイツ軍は、暗号機を変え、イギリス軍は、ドイツの動きが再びわからなくなったのだ。その結果、イギリス軍はドイツの奇襲作戦に手を焼き、防衛に専守することで、国際秘密結社の思惑どおり、ドイツ軍とソ連軍を噛み合わせることになったのだ。

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