第9話 [Side:結菜] タイトル通り ――アニメ『戦闘員、派遣します!』 第3話「正しい塔の攻略法」

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本話には、アニメ『戦闘員、派遣します!』の第3話「正しい塔の攻略法」の内容を含みます。

未視聴の方はお気をつけいただければと思います (´・ω・)

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 まさにタイトル通りだった、と兄は言うだろう。

 このアニメは無駄が無いから、ある意味では語るところがないとも言える。語るところがないなんて普通は良くないものに対して使われることが多いが、このアニメは別。

 無駄がないからストレスがない、ストレスがないから集中して頭を空っぽにして見れる、だから見終わった後にスッキリする。ストレートに感情が出てきやすい。普段から感情的にまずは語ろうとする兄ならなおさらだろう。


「いやー、3話はまさにタイトル通りの内容だったよなぁー」


 想定どおりである。

 兄の感性はかなり正しいことが多いけれど、周りに上手く説明することができなくていつも困っているように私からは見える。だから、なるべく諭すような形にならないようにフォローしている。


 アニメは一人で見て、一人で考えて、一人で楽しむ……そういうものだと思っていたけれど、兄と語り合うようになってからその考えは少しずつ変わってきた。

 単純には、価値観が違う内容を聞けるということが楽しい。SNSなどを検索すればいろんな人の感想を聞けるのは事実だけれども、直接話してその場で議論できることは大きい。SNSでも議論すれば良いと言われるかもしれないけれど、苦手なのである。人と話すのが。


「塔を攻略するだけの話と言ってしまえば簡単だけど、視聴後も塔を攻略するだけの話だったという感想が残るというのが興味深い。人によっては内容が薄いと評するかもしれないけれども、本当にそんな内容なら、見終わった後のこの満足感を説明してもらわないといけない」


 もちろんこの考え方が100%正しいとは思っていないし、いろんな考え方があることは尊重する。だけど兄は、いつも通り理屈ではそこまで考えていないから、私の考え方にきっととても賛同してくれると思う。兄だって、本当に考え方が違えば否定してくれるはず。だから私の思っていることを素直に伝えるようにしている。


「いや、そうなんだよ。頭空っぽにして見てたらいつの間にか終わっててさ、それでいてスッキリしているんだからびっくりするわけだよ」


 とてもいい笑顔だ。私と兄が同じ考えでなければならない、などとは思っていないつもりだけれども、概ね兄とは気持ちが一致しているというのは少し嬉しい。今後も強い意志を持ってフォローしていこうと思う。


 これまでの話だけ聞くと私が作品理解に対して兄を説得してばかりのように思うかもしれないけれども、私にはできないことを兄はできる。それは、よりピンポイントで面白い点を感情的に見出すことだ。


 3話において、兄は「他人に聞かれて定着したらどうなる」という台詞が面白すぎて笑い転げたと言っていた。それ自体は理解はできる。恥ずかしいキャッチフレーズがいつの間にか定着してしまうというお約束展開を、わざわざ言われている本人が直接言ってしまうというメタ的な感じのネタだ。


 私はどうも作品を俯瞰的に見すぎる癖があり、作品内の1つ1つの笑えるポイントを無意識的に忘れてしまうことがある。だから、こうやって兄からその点を言ってもらえるのがとても嬉しい。ずっと見つからなかった探しものが突然見つかって嬉しい、そんな気持ちになる。

 きっとお互い足りない部分を、語ることによって補完しているんだと思っている。直接兄に言ったことはないけれども、いつかは聞いてみたいと思う。



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評価:★★★★☆

理由:

今週も頭空っぽにして楽しめた!

塔を攻略しただけなのにここまで楽しいなんて!

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評価:★★★★☆

理由:

タイトル通りの内容が行われただけなのに、視聴後の気持ちがスッキリしているのが素晴らしい。

内容が薄いなんてとんでもない。

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