22:メスガキは幽霊状態になる
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★アサギリ・トーカ
ジョブ:遊び人/遊び人
Lv:61
HP:0/84
MP:63/63
筋力:22(+5)
耐久:16
魔力:18
抵抗:15
敏捷:29
幸運:69
★装備
★ジョブスキル(スキルポイント:140)
【笑う】:Lv6
【着る】:Lv6
【買う】:Lv4
【遊ぶ】:Lv6
【食う】:Lv4
サブジョブ
【笑う】:Lv2
【食う】:Lv2
★アビリティ
【笑顔の交渉】:常時発動
【微笑み返し】:MP1消費
【笑裏蔵刀】:MP10消費
【早着替え】:常時発動
【カワイイは正義】:MP3消費
【ツケといて】:常時発動。
【デリバリー】:MP5消費
【パリピ!】:MP3消費
【ハロウィンナイト】:MP20消費
【カード装備】:常時発動。
【スパイス!】:常時発動
【ピクニック】:MP10消費
サブジョブ
【笑顔の交渉】:常時発動
【スパイス!】:常時発動
★トロフィー
『第二の力』
『格上殺し』『勇猛果敢』『不可能を覆す者』
『初めてのお友達』『大切な友達』
『英雄の第一歩』『駆け出し英雄』『英雄の才覚』
『ボスキラー:バンディット・ヘッド』『ボスキラー:ガルフェザリガニ』『ボスキラー:オーガキング』『ボスキラー:暗黒騎士』『ボスキラー:火鼠』『ボスキラー:ムワンガドラゴ』『単独撃破』
★状態異常
<死亡(アイテム・アビリティでの解除不可)>
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これが今のアタシのステータス。HPが0になって、装備とかアイテムは使えないわね。食べ物とかでHP回復はできないみたい。聖女ちゃんの聖歌も受け付けないわ。
他人に使うアビリティは発動すらしない。【早着替え】みたいなパッシブは効果あるみたいで、服をいろいろ変えることができる。斬られた体の服がパパっと変わっていくのは、ちょっとシュール。体に合わせて、幽霊体の服も変わるわ。
一番の違いは状態異常にある<死亡(アイテム・アビリティでの解除不可)>。意味は何となくわかるけど、<フルムーンケイオス>にはないバステね。ゲームではHPが0になったらその場で倒れ、セーブ画面で復帰するか否かの選択肢が出る。超高価な死亡回復アイテムか、神職系のジョブレベル10のアビリティを使えばその場で復活ができるわ。
ようするにバットステータスで<死亡>っていうのはなかった。解除もできないっぽい。
「……どういうことです?」
「アタシにもよくわからないわ」
ようやく我を取り戻した聖女ちゃんが問いかける。アタシが見えていないのか、少しずれた方向を見て。集落の人もアタシの存在に気づいていない。なので聖女ちゃんはどことも知れない方向を見て喋っている変な人に見られてるのかも?
「推測っていうかあてずっぽうだけど、アタシの体は生きてると思う」
「え?」
「だって首切られてるのに血が流れてないし。心臓ももしかしたら動いているかも?」
アタシは自分の体を見てそう言った。首が切られ、頭と体が両断されている。なのに血は流れていないし、血色もいい。よく見たら呼吸もしているのかわずかに胸が動いている。聖女ちゃんはアタシの胸に手を当てて、心臓の鼓動を確認した。
「……はい。動いています。生きて、ます……! トーカさん……!」
「そんなことで泣かないでよ。アタシが簡単に死ぬわけないでしょ。……いや、状態的には死んでるんだけど」
「はい……はい……!」
「あー、そこは『生きてるのに死んでるとか不思議です』ってゲームあるあるをツッコッで欲しかったなーっていうか。その、大丈夫だから泣かないで」
ガチで泣き出した聖女ちゃんを慰めようと頭に手を置き、その手はすり抜けた。あ、霊体だからこうなるのか。地面を踏んでる感覚はあるのに。変なの。
いろいろわけわからない状況だけど、なんでこうなったかを考えると答えはすぐに出た。これ、ラクアンの時の肉の塊……てけりり? とりあえずそれと同じなんだ。
あの時は『肉に囚われた』って思ったから肉から脱出できなかった。今回も首を斬られた、って思ったからこの状態になったんだろう。悪魔の十八番、ステータスいじりだ。
アタシが悪魔の弄りが効きにくいからこんな形になったのであって、死んだって本気で思ったら、そのまま死んでいた可能性もある。
「……うん、泣かないで。アタシ、大丈夫だから」
あの時、アタシがパニックに陥らなかったのはこの子がいたからだ。この子があんな顔して泣くから、アタシは冷静になれた。アタシの事よりも、この子を泣かせたくないって言う気持ちが前に出て落ち着けたんだ。
アタシの為に泣いてくれた子。この子がいたから、アタシは生きている。
もう一度聖女ちゃんの頭を撫でようとして、触れられないことを確認する。こんなに近いのに、触れない。その事実にアタシは寂しくなった。唇と拳をぎゅっとして、つばを飲み込んで気持ちを抑え込む。泣きたいけど、今は――
「今は、動くことが大事よ。あの悪魔をどうにかしないと、あの子が危ないわ。アタシもずっとこのままだしね」
体は動かないけど、頭は動く。そしてやるべきことはあるのだ。だったら止まっている時間はない。
「……はい!」
アタシの言葉を受け止めて、涙をふく聖女ちゃん。立ち上がり、いつもの目に戻る。
「先ずは状況確認よ。あのリーンとか言う巨乳オバサン悪魔の言うことが正しいのなら、悪魔はアタシ達に直接手が出せないはず」
「いろいろ個人的な悪意を感じますが、その認識でいいと思います。ですが、トーカさんはあの男の悪魔に斬られました」
「あの悪魔は死神みたいになってからアタシの首を斬ったわ。ついでに言うと斧戦士ちゃんの攻撃を防御した。あのオバサン悪魔は防御もできなかったのに」
ラクアンでリーンと会ったとき、あの女悪魔は防御もできずに殴られるままだった。それでも無事で倒せるわけじゃなかったけど、とにかく悪魔は『許可がないとこちらに手が出せず、殴られても防御もできない』はずだ。
だけど男悪魔は攻撃してきた。しかも防御もした。それができるなら最初からそうすればいい。だけどそうしなかった。それをしだしたのは、死神っぽくなってからだ。
「いろいろ楽観主義で物を言うけど、あの状態になった男悪魔は防御する必要ができたんだと思う。防御しないと死ぬとか、そうでなくてもかなり厄介な目に合う状態になった。だから斧戦士ちゃんの攻撃を防御した。
つまり、あの状態になった悪魔はアタシ達でも倒せるのよ」
攻撃を受けても意にも介さない状態なら、防御する必要はない。むしろ相手の無力を罵ってやればいい。っていうかアタシならそうする……いや、いつもそうしてるか。属性防御100%にして馬鹿にするの楽しいもんね。そうしない理由がないわ。
「……大きく外してはいないと思います。サンプルケースが少ないですが、あの角悪魔は前のリーンと言う悪魔といろいろ異なっています。少なくとも、防御する理由があるならそう言う事かと」
「だったら解決策は簡単ね。ボコって踏んで罵って気分晴らしたら、斧戦士ちゃんとアタシの体を戻してもらうってことで」
「踏んで罵る部分要ります?」
「むしろそれがメインじゃないの」
頭に手を当ててため息をつく聖女ちゃん。こんな状態だけど、とりあえず調子は戻ってきたわ。
「方向性は決まったわね。とりあえず決めないといけないことは、アタシの体どうするかよ。カンオケに入れて引きずる?」
「何でカンオケなんですか……?」
「古い時代の慣習?」
「遺体をカンオケで引きずるって戦いに行くとか、どこの世界の慣習なんですか……?」
呆れたように言う聖女ちゃん。まあ、アタシが生まれる前のゲームの話だから分かんないのも仕方ないか。
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