4:メスガキはボスを押し付けられる
『格上殺し』と『勇猛果敢』を得てから、アタシの山賊狩りは絶好調っ!
山賊オジサンのレベルは12。アタシがレベル12になるまでは、トロフィーの補正でダメージが増す。素の状態だと、クリ殴り10回ぐらいしないと倒せない相手だけど、一回クリティカルするだけでかなり相手のHPを削れる。
「ちくしょう、当たりやがれ!」
「一生懸命になってもトーカに指一本触れられないなんて、オジサンかわいそー。はい、人・生・終・了」
【微笑み返し】による<困惑>。山賊オジサンたちは一度このバッドステータスにかかると、命中が下がってトーカに攻撃を当てることが出来ない。
なによりもバッドステータス回復の見込みがないことだ。30秒フルタイムで命中力が低下してしまう。元々の命中の低さもあって、敏捷が低いアタシにも攻撃を当てることが出来なくなる。
「んふー。オジサンの経験点おいしー。じゃーねー」
流石にさっきほどの速度ではないけど、あたしのレベルもかなり上がってきた。
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★アサギリ・トーカ
ジョブ:遊び人
Lv:11
HP:18/18
MP:10/10
筋力:5(+1)
耐久:3(+1)
魔力:3
抵抗:2
敏捷:5
幸運:17(+3)
★装備
ナイフ
派手な服
★ジョブスキル(スキルポイント:95)
【笑う】:Lv4
★アビリティ
【笑顔の交渉】:常時発動
【微笑み返し】:MP1消費
★トロフィー
『格上殺し』『勇猛果敢』
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そろそろレベル12。この山賊狩りも終了ね。
ぶっちゃけ<困惑>がここまで決まるのは、まともに仕事につけなくて人生詰んでる山賊のオジサンだけ。同じ人族でもフツーに働いている騎士とか魔法使いにはまず効かない。
精神系バッドステータスなので、精神がよわよわなオジサンには効果抜群なのだ。
経験点やドロップアイテムも結構溜まって来たので、そろそろ帰ろっかなー。
「おのれぇ! 多数でくるとは卑怯だぞ!」
とか思ってると、遠くからそんな声が聞こえてくる。そっちの方を見ると、さっきの重戦士サンが山賊オジサンに囲まれていた。
「あらら。ご愁傷さま」
みると、その重戦士を囲むように山賊オジサンが5人ほど展開していた。その内の一人に、赤い布を巻いたオジサンがいる。山賊オジサンのボスだ。
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名前:バンディット・ヘッド
種族:人間(ボス属性)
Lv:34
HP:158
解説:山賊を束ねる頭目。多くの荒くれ物を力で束ねるだけの実力を有している。
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いわゆる、ボスキャラだ。山賊オジサンの約3倍強い。赤いから、とかよく言われるけどなんなんだろ?
「もしかしてオジサンピンチぃ? 大人の言う事には素直に従うものとか言ってたくせに。大人なのに情けなーい」
「う、うるさい! お、おなかの調子が悪くなったのだ!」
言い訳するように叫ぶハンマーオジサン。おなかいたいとかないわー。
「くぅ! 騎士たるものが悪に屈するわけにはいかぬ! ここで吾輩が倒れれば正義が悪に屈することになる! だがもう……ママー!」
そんな事を叫んだ後に、光となって消えるオジサン。移動アイテムの『トンボガエリ』あたりでも使ったのね。訪れたことのある街に移動できる帰還用アイテム。
で、今まで狙っていた相手がいなくなった山賊たちは目の前のアタシに矛先を向ける。
「サイッテー! モンスターの押し付けとか、しかもボス!」
山賊4人とボス山賊。流石にこの数は厄介ね。
<困惑>で命中を下げる事はできるけど、MPが10しかないので山賊5人にかけるとそれだけでMP半分を使う事になる。
ざこ山賊はともかく、ボス山賊のHPを削りきるのは無理。MPが途中で切れるか、山賊の誰かがクリティカルヒットを出して偶然アタシに当たるか。5人いれば一人ぐらいは出てもおかしくないわ。
「もー。しょうがないわねー」
山賊が動き出す前にステータス画面を開き、ジョブスキル獲得画面に移す。
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★ジョブスキル(スキルポイント:95)
【笑う】:Lv4
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レベルアップ10回でスキルポイントが合計50。トロフィー『格上殺し』で20点、『勇猛果敢』で25点のスキルポイントを獲得している。合計で95点のスキルポイントがある。
少し予定は違うけど、どーせ取る予定だったスキルを取るわ。
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★ジョブスキル(スキルポイント:45)
【笑う】:Lv4
【着る】:Lv0→4
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スキル【着る】を一気に4まで上昇させる。ステータス画面をタップして所得を決定した瞬間に、脳内にアナウンスが響く。
<【着る】がレベル2になりました。アビリティ【早着替え】を獲得しました>
<【着る】がレベル4になりました。アビリティ【カワイイは正義】を獲得しました>
「ふっ、あっ、ん♡」
背筋がゾクゾクする。
知らない場所に何かを挿入されたような、魂を直接指でかき混ぜられたような、そんな感覚。痺れるような感覚に、思わず吐息が漏れそうになった。
っていうか、漏れてた。声、押さえられないぃ……。
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★アビリティ
【早着替え】:素早く服を着替える。『装備:服』に限り戦闘中でも装備変更可能。常時発動。
【カワイイは正義】:服の見どころを最大限に引き出す。『装備:服』の能力修正値を二倍にする。MP3消費。
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【早着替え】は言葉通り素早く服を着替える。<ケイオスフルムーン>は敵を攻撃している状態の時は装備変更が出来ない仕様になっている。なので属性装備の切り替えなどはこの手のスキルがないと一旦戦闘状態を解除しないといけない。攻撃されれば自動で戦闘状態になるので、逃げるなりしないと不可能なのだ。
状況によってはこの手間が致命的になる……けど、今は服は一種類しかないのであまり意味はない。
そして【カワイイは正義】。服の能力修正値を2倍にする。今着ている派手な服だと、「耐久:+1」「幸運:+3」の数値が「耐久:+2」「幸運:+6」になる。微々たる数値だけど、クリティカルの確率が上がったのは大きいわ。
<条件達成! トロフィー:『英雄の第一歩』を獲得しました。スキルポイントを会得しました>
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★トロフィー
『英雄の第一歩』:アビリティを三つ獲得した証。これで君も英雄の第一歩を踏み出したことになる。
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これはアビリティ数が三の倍数になる事に会得できるトロフィーね。スキルポイント10点ゲット!
(さーて、上手くいけばいいけど)
正直なところ、上手くクリティカルが出てくれないと押し切られる。【微笑み返し】で稼げる時間内に。どれだけ山賊オジザンを倒せるかが勝負ね。
「へぇ。数を集めればトーカに勝てると思ったんだ。オジサンたち必死過ぎ。くすくす」
はい【微笑み返し】×5! 残りMPは5。
「なんだとこのアマァ!」
「ぶっ潰してやる!」
「トーカちゃんっていうんだ。もっと罵ってください!」
「え? 頭目?」
トーカの言葉にいきり立つ山賊達。一部ひっどい反応だけど、大人ってそんなモノよね。
「やーん、こわーい。トーカめちゃくちゃにされちゃうよー」
んで【カワイイは正義】発動!
シャツのおへそ部分を上にまくり上げ、スカートを少したくし上げる。身をくねらせ、熱く息を吐いた。
「い、今更色気づいて謝っても無駄だぜ」
「お、おう。散々弄らせてもらうぞ」
「ぶひひぃぃぃん! トーカチャンサイコー!」
「あの、頭目?」
服の効果を最大限に生かし、相手の隙を生み出す。運よく相手の急所を突ける可能性が増した。
……うーん、一人だけ攻撃する前からすごいことになってるけど、まあいっか!
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