【2011年 実写化映画】Vシネマの極道ものの中間にいる「ワイルド7」。
『倉木』
邦画が苦手とするCGを使わなかった繋がりで、ワイルド7を次は掘り下げますね。
法律で裁けない犯罪者はいっそその場で消去してしまうべき―。そんな過激な発想から生まれた超法規的警察組織、通称“ワイルド7”。凶悪犯を裁く彼らもまた、選りすぐられた犯罪者たちだった。飛葉大陸(瑛太)、セカイ(椎名桔平)、パイロウ(丸山隆平)、ソックス(阿部力)、オヤブン(宇梶剛士)、ヘボピー(平山祐介)、B・B・Q(松本実)。いずれ劣らぬ犯罪歴と、犯行のために身につけた特殊技能をあわせ持ったプロフェッショナルな7人。そんなある日、指揮官・草波勝(中井貴一)のもと、“ワイルド7”の出動が要請され、メンバーたちは事件の犯人を追い詰める。だがその瞬間、謎のスナイパーが現れ、犯人を射殺して逃走する……。 【キネマ旬報データベースより】
悪人が悪人をさばく映画は、この数年後には洋画でスーサイドスクワットが上映されます。
なので、アイデアとしては結構ありがちなもの。でも、スーサイドスクワットはバットマンなどと戦って捕まった経歴を持つ連中なので、キャラの魅力ではワイルド7では太刀打ちできない。そして、おのずとワイルド7が戦う悪者も、スーサイドスクワットよりはしょぼくなってしまう。
そのショボさをリアリティーに繋げるのは、邦画はVシネマで培っているからうまいんですわ。
いつだったか、オーシャンズ11をはじめてみたとき、Vシネマでみた借王(しゃっきんぐ)に通じるものを感じました。
借王が進化したら、オーシャンズぐらいにはなれるんやろうってね。
だから、ワイルド7が進化したら、スーサイドスクワットぐらいにはなるのか?
いや、ガチンコのバイクシーンや銃撃戦の火薬を加味すれば、むしろワイルド7の完成形はダークナイトなのかもしれない。
そんな期待を持つほど、邦画としては頑張ってるんやで、ワイルド7は。
『郷倉』
ワイルド7について、Vシネマで培った知識が生きた作品になっているんですね。
今作も僕は見ていなかったので、予告編のみを見ている状態です。
なんとなく、国家という「父」がいて、そのルールに沿う形で分けられた人間(息子)たちが争っていく話なのかな? という印象を持ちました。
犯罪者が犯罪者を追う話としては、アニメの「PSYCHO-PASS サイコパス」が僕は浮かびました。
虚淵玄が覇権を取りまくっていた時代の傑作、それが「PSYCHO-PASS サイコパス」で、今もなお根強いファンが多くいる印象です。
こちらは人間を数値化する「シビュラシステム」なるものがあって、これがある種のスーパーコンピュータの役割を担っていて、つまりマザーコンピューターな訳ですが、そのマザーの後ろには男性的なホモソーシャルな連帯があって、結局はファザーコンピュータじゃねーか!というのが、この手のSFのお約束で、「PSYCHO-PASS サイコパス」もその例に漏れないのに、第一作のラストは凄まじく、今でも傑作と呼んで差し支えない作品だと思っています。
なんて書いて、思ったんですがワイルド7はCGを使っていない、ということで、おそらくもっと泥臭い作品として描かれていることでしょう。
スーサイドスクワットやオーシャンズ、そして、ダークナイトを引き合いに出している、ということですと、海外で言うヒーローもの、日本では戦隊ものの系譜にある作品という理解で良いんでしょうか?
『倉木』
もっとシンプルなストーリーやで。法に従っていたら、悪人の後手にまわってしまうから、犯罪者に犯罪者を処理させようって話かな。
バイクアクションが多いので、どっちかっていうと仮面ライダーの系譜。
仮面ライダーも、ショッカーの改造人間、つまりは悪の力で強くなったと拡大解釈すれば、ショッカーの怪人をショッカーに改造された仮面ライダーが倒すという図式になる。
つまり、ワイルド7と同じで、悪人が悪人を裁く図式と変わらない。
悪人が喰らいあうのならば、修羅がゆく、とか修羅のみち、それこそアウトレイジとか極道ものがもっとも、それにのっとった作品やけど、それらを子供向けまでポップにしたら仮面ライダーになるのかも。
そんでもって、ワイルド7は仮面ライダーとVシネマの極道ものの中間ぐらいの層に向けられてつくられてるように思う。
もっとも、真仮面ライダー序章という作品は、Vシネマ扱いされることが多いんやけど、あれよりもワイルド7のほうがライトなんだよなぁ。
ワイルド7の残念なところは、一作で終わってしまったことやな。
毎年、あの銃撃戦の火薬とバイクアクションで新作をつくってくれたならば、季節の風物詩的映画として定着したかもなのに。
コンスタントに映画が上映されている作品といえば、ドラえもんやコナンやしんちゃんなどのアニメ作品。あるいは、仮面ライダーやスーパー戦隊もの。
共通点は親子で観に行ける作品。ワイルド7が、親子で観に行ける作品になっていれば、CGに頼らないストイックなアクション邦画の2021年時点でのレベルが、いまよりも高い位置になっていたことだろう。
親子で観に行ける作品を、2011年の漫画原作映画で考えると、忍たま乱太郎、こち亀、怪物くん、あたりかな。
残念ながら、三本のうち続編が作られたのは忍たま乱太郎だけだった。三池監督は、Vシネマ時代から好きなので、忍たまだけは観てますが、語ることはありません。
いつからかわからんけど、親子で観に行ける作品を子供だましの作品と勘違いしたままつくっているものがいるように思う。
昔はちがっていた。テレビアニメの話になるけど「うちのタマ知りませんか?」や「宇宙船サジタリウス」といった作品は、子供向けのはずなのに、濃厚なストーリーで神回が多かったと記憶している。
そんな風に親子で観に行ける作品の質が落ちているように、カップルで観に行ける作品の質も落ちている。
GANTZよ、お前はもっとどうにかなったはずだよなぁ。
そんな中でもクオリティを高く維持しているのは、確かにモテキかもしれない。
なんか、次の作品の話にいこうとしているので、ワイルド7の総括を。
ワイルド7は、続編がみたかった作品です。
マイティ・ソーを見たときみたいな、物足りなさを感じたんよな。ワイルド7っていうぐらいやから7人おっても、ほとんど登場人物を掘り下げられとらんし。
シナリオ的には続編をつくれるのに、それが実現されなかったことで、映画って興行収入が大事なんだな、って思った。興行収入を得るためには、ターゲットを明確にして作品をつくらねばならない。
僕もそのことを肝に命じてこれから執筆にとりくみます。
ワイルド7で続編みたかったって感想を書いたので、2011年で忘れてはならない続編として、カイジ2に触れます。
『郷倉』
はい、お願い致します。
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