【2010年 実写化映画】倉木さとしの気になった作品。

『倉木』


 気になった作品は、ボーイズ・オン・ザ・ラン。ライアーゲーム・ザ・ファイナルステージ。シーサイドモーテル。


 3作品にしぼりました。前世(編集前)で、他にもヤマトやBECKとかも気になるといっていた記憶もあるけど、なかったことにさせてくれ。


 ドラマからの流れの話があったので、ライアーゲームから語っていこうかな。ちなみに、僕にとって映画で完結編になるってのは、仮面ライダーディケイドがはしりなんやけどね。


 ライダーじゃなくて、本題はライアーです。ライアーゲーム。

 簡単なあらすじを公式から教えてもらいましたので、ご確認を。



「バカ正直のナオ」とあだ名されるほど人を信じやすい少女・神崎直(戸田恵梨香)は、欲望にまみれたプレイヤーたちが巨額のマネーを賭けて騙し合う「ライアーゲーム」に巻き込まれてしまう。元天才詐欺師・秋山深一(松田翔太)の助けを借りて勝ち進み、ついに決勝戦である「エデンの園ゲーム」に参加する。ゲームのテーマは「信じあう心」。決勝戦はプレイヤー全員が互いを信頼すれば、容易にしかも確実に大金が手に入るのだが……。



 エデンの園ゲームのルール説明は割愛します。

 というのも、映画をみればわかるんやけど、ゲーム中に「そんなんありなんや」とツッコミをいれたくなるような行動を起こすプレイヤーが出てきます。あくまで僕の印象やけど、ルール違反でなければ、つまりはルールの隙間をつけば、イカサマし放題って感じた。自由な範囲が広すぎやしないかっていうルールのせいで、初見のときにそこまで納得いかんかったんよなぁ。うがった見方したら、どんでん返しのために、ルールをあえてざるにしとるんちゃうかとも思った。あくまで個人の感想やけどね。


 どうやら調べると、原作漫画には存在しないオリジナルゲームで、実写版のライアーゲームを完結させたみたい。だからこそ、タイトルに、ザファイナルステージとついていた。後に再生と冠した続編映画がつくられるけど、少なくとも神埼直の物語は、これで完結している。


 本作のゲームの結末は「バカ正直のナオ」とあだ名されるほど人を信じやすい少女が参加していたからたどり着いたものなので、実際に観て確かめてほしい。その印象的なゲームの終わりをみせたいがために、制作陣が頑張ったんだろうから、細かいところは目をつぶったほうが本作は楽しめるんやろうね。


 でも、ゲームが物語の中心、大部分を占める作品において、ルールに穴があったら、僕のように冷める視聴者もいる訳よ。


 なんでもかんでも、ルールを難しくすると穴が増えるよね。だから、オリジナルゲームでも、既存のゲームに変化をもたせたもののほうが、わかりやすくて面白くなるのかもしれんね。


 ジャンケンに縛りをもうけたり、追加ルールをもたせるという変化だけで、カイジのオリジナルゲーム「限定ジャンケン」になるわけで。他には、トランプゲームに追加ルールをもたせることでギャンブル性を持たせることに成功したゲームは、賭ケグルイのオリジナルゲームでいくつかあります。両方とも漫画原作の実写があるので、ライアーゲームのゲーム性が好きな方には、二作ともおすすめできる。


 さて、こういうオリジナルゲームのルールづくりというのは、オリジナル小説の世界設定をつくるのに通じるものがあると思った。

 一から十までオリジナルゲームをつくるのは、同じく一から十まで世界観をつくるのと同じ。そう考えると、現代の日本で勝負せずに、ファンタジー世界をゼロから構築するのは無茶苦茶大変。安易に手を出したら、穴だらけの世界が生まれるだけに決まっている。


『郷倉』


「LIAR GAME」のドラマをはじめて見たのは高校一年くらいだった記憶があります。

「バカ正直のナオ」の神崎直を演じた戸田恵梨香を認識したのは、「LIAR GAME」より「デスノート」が先だったと思いますが、この二つを並べるだけでも、ある種のゲームに巻き込まれがちな場所にいるなぁ、と思います。

 あと、地味に「野ブタ。をプロデュース」にも、戸田恵梨香は出演していて、これも日常をゲーム化している作品な印象です。


 この三つを並べてみても、一から十までのオリジナルゲームというよりは、現実的な要因を含んで如何にゲームを成立させるか、という部分に重点は置かれていますね。


『倉木』


 少し、ライアーゲームから離れてしまったので、元に戻ります。


 個人的には、ゲームが微妙と感じただけで、ライアーゲームの映画がうみだす空気感は見事につくりこまれていました。さすがは、TVシリーズが二回もあり、映画化までされた作品やね。


 映画の魅力というのは、世界観の作り込みを楽しむっていう部分もあると思う。一方で、その作り込みを漫画に寄せてしまったせいで、失敗した漫画原作の作品も多いイメージ。


 この点は、2010年の作品に限ったことではなく、それ以前の作品でもそうなんやけどね。

 ライアーゲームもそうやけど、もっと古くならばショムニのドラマとかも、役者の顔のアップを多用する演出が多かった。正直、あれ嫌い。漫画なら、顔のアップを一つのコマで贅沢に使って表情を読ませるってことなんやろうけど、映像作品であれは嫌い。


 実にもったいない演出やから、僕は嫌だ、なんかな。メインの表情を見ている別の役者の演技も見たいのに、それだけを見せられてもって感じ。だいたい、不協和音(欅坂46の楽曲)のMVの平手友梨奈の鬼気迫る表情だけをうつすカットに比べても、パンチが足りないんだよなぁ。


 いまの一例を語るうちに、漫画に寄せようとして失敗した他の例も思い出した。

 20世紀少年。簡単なあらすじは以下の通り。


 ケンヂの周りでの不可解な事件と、世界各国での伝染病による大量死。これらは、かつてケンヂたちが小学生の頃に作った「よげんの書」のシナリオ通りに起こっていた。

「よげんの書」に書かれた人類が滅亡する日、ケンヂは世界を陰で操る謎の男“ともだち”と対峙する。果たして正義のヒーローを夢見た仲間たちは、地球を救えるのか。


 この年の映画ではないので、三部作の冒頭だけのあらすじだけを説明しました。

 この三部作の第一作目は、漫画でも登場するコマをそのまま役者にやらせたシーンがあった。原作ファンは興奮するのかもしれんけど、映画としての自由度が漫画に引きずられて見事に死んでいたからなぁ。


 三部作の終わりに近づくにつれて、その不自由さから解放されていくことで、最終的には漫画よりもわかりやくオチを見せてくれたから、20世紀少年は好きですよ。


 実写と漫画は別物だから、その通りにやっても、映像としてはダメになるんだなって話。だから、改変は絶対に許さないという原作ファンに気をつかっては名作の映画は生まれないんだろうな。


 ちなみに、僕はライアーゲームの原作を読んでいました。まだ実写版を見ていない頃、逆に実写版しか見ていない友達とライアーゲームを語る機会があって、福永ユウジという登場人物の話をしているのに、会話が噛み合わない経験をしました。


 これは単純な話で、福永のキャラが変更されていたって話。このとき、原作を知っているせいで、単体の映像作品として見る目が曇るんだなぁって思ったりした。

 そして、このキャラ変更こそ、ライアーゲームの魅力的な部分だと僕は思います。


 そもそも、福永ユウジは、原作・実写版ともに活躍する主要キャラです。

 原作では坊主頭のニューハーフで、美しい女性の姿。実写版では、きのこ頭のメガネが特徴的な男の姿。

 原作を読んでいただけで、単行本を購入した訳ではない僕にとっては、どちらの福永も魅力的にうつった。そして、最終的には姿が全然ちがうのに、どちらにも同じ魂が宿っているように感じるほどだった。


 福永の器用でずる賢い性格という重要な要素を吸い上げたからこそ、形を変えても成功するんやろうね。そのあんばいを調整するのが、監督や脚本家の役目なので、失敗したら目もあてられなくなる。


 キムタクがヤマトのクルーのコスプレをしているだけでは、魂が宿らない。あれは、失敗作。というか、ヤマトに限ったことではなく、ジャニーズが出た場合は、視聴者が察してやらなあかん空気ってあるよな。出演者で察してくれという、造り手側からのメッセージが込められている。これは、アイドルのコスプレ映画だから、期待しないでね、って。


 それに、ジャニーズを起用すると脚本がどうなるのかという問題点が浮き彫りになる作品も多い。これは後々、ガンツのニノでも語ります。ジャニーズでも例外はいるというのは、本年のシーサイドモーテルや、後年のヒメアノ~ルで触れたいなぁ。


『郷倉』


 福永ユウジの話、面白いですね。

 魂が宿っていれば、姿は違っても同じ役割を担い、画の中で存在感を放つ。そういう点では漫画を実写映画化させる時点で、同じ姿で画面に存在させることはできなくなるんですよね。

 二次元と三次元の違いって言う、凄く当たり前のことですが。


 そういう当たり前の差異が漫画の実写映画化には付き纏っている感じはあって、それを如何に乗り越えるか? というのは、一つ課題になっている印象があります。

 そして、「魂」という単語は、ある種その差異を乗り越える為に必要な一要素なように感じます。

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