3年目 秋 1/2

みなさんこんにちは、アリスです。


辺境では木の葉が色付き、朝晩は少し冷えるようになってきました。

苔庭のもみじ、いい感じに紅葉してます。


私の生活は半日お城勤めだったはずなのに、いつのまにかお城でのお泊りが多くなってます。

三分の二がお城で三分の一がおうちの比率かな。


お城でのお泊り多くなったのは、お薬作りが間に合わなくなってきたから。

医療魔法部門への出荷が、激増しちゃったの。


今王都では、医療なら医療魔法部門の診療所って感じらしく、王都の医療の半数を担ってるみたい。

診察担当のイリアナさんやレリアさんだけでは回らなくなって、シャルちゃんやエレーヌさんも診察してるんだって。


でも、受講してる若手医師たちでは魔力感知精度が低いらしく、未だ暗闇も歩けないレベルで、念話による内部診断画像の共有も出来ないそうな。


これはまずいと感じたマギ君。

夏ごろから田舎に向けて、薬師、猟師、薬草採取人などの若手向けに医療魔法習得見習いの求人を出したの。

今はレベル上げと魔力感知、魔力制御に絞って集中育成してるらしい。


私がこっち来た当初のレリアさんに提案したように、内部情報の取得と診断を別々にするみたいだね。


この試みはかなり有効だったらしく、魔力同調出来る人もちらほら出て来てるんだと。


まあ、田舎の若手が王都の王様肝入りの部署で働けるんだから、応募は山ほどあるだろうな。


あとは教会関係なんだけど、これはびっくりな結果になったよ。

さっき、ソード君からマギ君の手紙見せられたの。

長いからマギ君の手紙を要約するね。


王様が言い逃れ対策に会談の公開を決め、事前に近隣国の大使や教会の大司教(各国教会のトップ)を招待して準備万端で会談に臨んだ。


だが、当日になっても枢機卿は現れず、先ぶれの使者すら来ない。


仕方なく、女神様の教えに対する我が国のスタンスを、招待した人たちに説明。

各国の大司教は最初は悩んでいたものの、矢傷の治療の例を上げたら、あっさりと納得。


自分たちが女神様の教えに反する治療をしてるなんて認めるわけにいかないから、当然だよね。


そして各国大使からは、手術による救命活動は女神の教えに反しないとの支持ももらった。


会談の終盤、宗教国隣国の大使に急報が入った。

宗教国家で住民蜂起による革命勃発。

宗教国隣国の大使は、すぐさま情報を共有してくれた。

なにせ各国の大使と各国教会のトップである大司教がいるんだから、相談して共同歩調を執るにはちょうどいい。


青ざめてる我が国の大司教に、平然と陛下が言い放った。


『宗教国との契約は一時停止して様子見だな。国内の教会については、暫定的に我が国が庇護を与えても良いぞ。大司教殿、いかがする?』


国王様きっついわー。

元々、入信者や喜捨を募れるのは宗教国と我が国との国家間契約。

契約が一時停止されれば、勧誘も喜捨も募れなくなって、あっさりおまんまの食い上げ。

庇護されれば我が国との契約次第で募れるかもだけど、国の傘下に入るって事。


各国の大司教たち、持ち帰って相談することになったが、一週間で音を上げた。


次々と入ってくる情報では、宗教国は首都を残して政治体制がほぼ瓦解。

各都市の指導的立場にあった人たちは、女神様の教えを汚したとしてリンチに遭って行方不明。


いや、『人を傷付けちゃいけない』って教え、どこ行った?

裏切られたから何しても正義だなんて、それは絶対女神様の教えじゃないぞ。


まあ、首都は地方からの上納金で生活が成り立ってたはずだし、強欲さんたちの集まりみたいだから、きっと欲の張り合いで瓦解するよね。


結局、各国大司教は各々の国に庇護を求めた。


我が国と新たに締結された契約では、上納金が禁止されたことで、上に行くほどお金持ちな構造が崩れた。

例え大司教でも、きちんと祭事とかしないとお金はもらえない。


そして喜捨金台帳の作成と領収書発行、文官による喜捨金の管理。

この領収書、一定額以上だと税金の支払い時に値引きが入るの。

回収された領収書は、喜捨金台帳と照らし合わされ、不正のチェックに使うらしい。


そして国は、教会の治療院から医療魔法習得希望者を募った。

選考基準以上の応募者は、マギ君に預けられて育成されたのちに、医療魔法部門の受講生になるそうだ。


「みんなすごい忙しそう。身体壊さないかと心配になるよ」

「あのなぁ、アリスは自分の心配しろよ。王都で消費する薬類の七割をうちが供給してんだぞ。王都のみんなも心配してるぞ」

「ソード君や姉妹ちゃん、ネージュにエレナちゃんも手伝ってくれてるから、大丈夫だよ」

「アリス、父上に頼まれて大型自走車も作ってるよな?」

「ああ、あれはもう完成したよ」

「もうかよ!…なあ、頼むから少し休んでくれないか?心配なんだ」

「むう、ソード君だって休んで無いじゃん。一緒に休んでくれるんなら休むよ」

「…分かった。明日は俺も休むから、アリスも休めよ」

「夜中までお仕事して、無理に時間作るのもダメだからね」

「……それ、アリスもだぞ」

「…」


その日も、ちょっと根詰めてお仕事してたらお泊りになった。



翌朝、朝食食べようとして平民用食堂に行ったらソード君がいた。

相変わらず早いな。まだ六時過ぎだぞ。

しかも平民用食堂に来てるし。


ソード君、伯爵家継嗣で子爵家当主なのに、なぜか普段から平民用食堂で食事してるんだよ。

伯爵家プライベートエリアに食事運んでもらうのも手間だからって自分が下りて来るんだけど、魔道具技師用の食堂へは行かないの。

技師や見習いたちが気楽に食事出来なくなるからとか言ってるけど、こっちは平民用であんたは次期伯爵でしょうが。

なぜか平民用食堂に馴染んじゃって、みんなに受け入れられちゃってるけど…。


「アリス、ネージュ、おはよう」

「みゃあ」

「おはよう。またここで食事してるし」

「ここ、自分で食いたい物選べるから、気に入ってるんだ」


そう、平民用食堂はセルフ食堂なんだよ。

主食はパンだけじゃなくてご飯もある。

主食とスープは食べたい物を食べたい量だけ自分で調整して取り、おかずや副菜は好きなお皿を選ぶの。

で、最後にお金(半額は領主補助)払って食卓へ。


なんと、ネージュの分は専用に作ってくれるの。

さすが食肉担当。待遇良いな。


ちなみに、魔道具技師たちの側はメニューによる注文制。


「ちゃんとバランスよく食べてね」

「おう、ゴマドレッシングやマヨネーズのおかげで、葉っぱも食えるからな」

「葉っぱって…。まあ、ソード君が養鶏場許可してくれたおかげだよ」

「え?」

「ゴマドレッシングもマヨネーズ使ってるし、マヨネーズは新鮮な卵じゃないと作れないからね」

「まじか…。卵焼きだけじゃなかったんだ」

「いや、料理もだけど、お菓子類にもたくさん使ってるんだよ」

「卵、すげーな。アリスが勧めるわけだ」

「マギ君のおかげでもあるね。お味噌や醤油、みりんにお酢、乾燥昆布に煮干し。これが無きゃ、私のレシピは大半が使い物にならなかったからね」


この食堂、今では六割くらいが私のレシピ使ってるの。

だから私も気軽に食べられるんだ。


「レシピで思い出したが、商業区、わざわざ食事だけの為に他の街から来てる奴らが増えてるみたいだ」

「へぇー」

「…父上がアリスのレシピを領内だけに使用許可出してるし、レシピ知ってても材料揃わなきゃ作れないからな。王都でさえ再現しきれずにいるから、マギがここの食事を恋しがってた」

「ああ、そうなんだ。それでシャルちゃんママが養鶏場計画し出したのか」

「そんな話あったのか。まあ確かに、ここの食事覚えちまうと王都に戻ってから辛いかもな」

「シャルちゃんママから、お菓子類が再現出来ないって何度か相談の手紙来てたから」

「おいおい、公爵夫人が何度も手紙寄越すほど熱望してんのかよ」

「ソード君は甘味苦手だもんね」

「苦手っていうか、王都の貴族のお菓子ってやたら甘くてくどいんだ。だから自然と敬遠するようになっただけだ」

「そうだったんだ。いつもデザートやお菓子断るから、嫌いなんだと思ってた。今度さらっとした甘さのお菓子作ったら食べてみてよ」

「ひょっとしてアリスのお菓子って、王都のみたいにくどくはないのか?」

「王都のお菓子知らないから、私は比較出来ないよ」

「クッキーとかが多いが、ひどいのは噛むと砂糖でじゃりじゃりする」

「……それってひょっとして、晩餐会みたいな貴族流のおもてなしなんじゃない?食べきれない程の料理で歓待してます。高級品のお砂糖いっぱい使って歓待してます。みたいな」

「貴族教育で料理は食べきれない程って習ったが、お菓子については聞いてない。…やばい程、ありえるな」

「まあ、今度作ったら食べてみてよ」

「おう、頼むわ。正直、みんなが食べてる横でお茶だけ飲んでるのは、間が持たん」

「うん、分かった。…話変わるけど、今日ってほんとにお休みするの?」

「ああ、休むぞ。俺が休まなきゃアリスも休まないんだろ?」

「…まあ、そうだね」

「言っとくが、おうちに戻って家事とかも禁止な」

「なんで!?」

「俺たちって、レベルアップの恩恵で体力的には丈夫だろ。だが精神的にはそうは行かん。だから薬草の世話や家事するんじゃなくて、遊んだっていう満足感?みたいなのが休みになると思うぞ」

「ぐぬぬ、反論しにくいな。…じゃあ、探検でもするかな」

「お、どこをだ?」

「あれ?ソード君も付いてくるの?」

「俺も遊ばせろよ」

「そだね。前々から思ってたんだけど、実は森の奥へ行ってみたいんだよ。出来れば山脈の麓まで」

「おいおい、奥は猛獣天国だぞ。さすがに危ないだろ」

「ベクトル魔法使って枝の上を渡るの。地面の状況考えなくていいし、猛獣は枝の上には上がれないし。万一ヒグマに襲われても、木を倒される前に他の木に移っちゃえばいいから無視出来るよ」

「……なんか行けそうだな」

「うん。だから今日はお弁当持って、探検だ!!」


時刻は朝七時。

今、私とネージュ、ソード君で、中央奥のダンジョンのミニ砦の屋上に来てます。


私とソード君はがっつり森用装備で、背負ってるリュックも大きめ。

さらに、腰ベルトに革製のボルト入れもぶら下げてます。


では、探検スタートです。


みんな(二人プラスネージュ)で、太めの枝を選んでジャンプして行きます。


こういう時トウヒは便利だな。

背が高いし葉も小さいから枝が見やすい。


しばらくは順調に進んでたんだけど、山脈に近付くにつれてアップダウンが激しくなってきた。

酷いと崖の上り下り。


途中、岩山の上で休憩したんだけど、ここに来るまで猛獣&スライムワールド。

高い枝の上を渡り歩いてるから安全だけど、ここはレベル7でもきついかもね。


休憩中に岩場見て回ってたんだけど、石英結構あった。

水晶ありそうだけど、猛獣&スライムワールドじゃ利用難しいね。


再出発して二時間、そろそろお昼休憩取ろうと思ってたら、巨大な谷が出現。


すっごいわー。

目算だけど、谷の深さ1km、幅も1kmくらいの、見事なU字谷です。

谷底の地面には草が生えてて草原みたいだけど、遠目だからゴルフ場っぽい。

ラウターブルンネンみたい。


U字谷ってことは、元々は氷河だったのかな?


「すげー景色だな。城の展望室から見た景色にも圧倒されたけど、ここは圧巻だな」


いや、あそこ一応貴賓控室だからね。


「自然って、すごいよね。どうせだから降りてお昼にしようよ。草原の見晴らしいいから、警戒緩めて休憩出来そう」

「そうするか」


二人で目算高さ1kmの崖から紐無しバンジージャンプ。

重量軽減掛けてて降下速度ゆっくりだから、スカイダイビングの要領で谷の中心部に向かいました。

怖気持ち良い!!


ソード君はまっすぐ降りる気みたいだったけど、私の態勢真似て付いてきました。


平原の真ん中には川があるみたいで、そこだけ草原が途切れて白っぽい河原が続いてます。


お、平原もうすぐだな。

きれいに着地決めてギャー!!!!


河原の手前までスカイダイビングで辿り着こうと欲を掻いたのが失敗だった。

前方への推進力?ありすぎて、駆け足で着地したのにコブに躓いた。


リュック背負ったまま前転でゴロゴロゴロ。

リュックの上にいたネージュはとっさに飛び退いたみたいで、巻き込まなくて済んだよ。


いてててて。

とっさに頭庇ったから腕痛い。治癒魔法治癒魔法。

今思ったけど、ランニング着地じゃなくて、ベクトル魔法で空中制動掛けとくんだった。

前世の記憶で、ランニング着地が当たり前だと思ってたよ。


「お嬢!これ、めっちゃ楽しい!!爽快感がすごい!!うおー!!鳥になったみたいだった!!ふおー!!」


あー、はいはい。

大声でしゃべっちゃってるけど、ここなら安全そうだからいいか。

ソード君、空中にいる時から大笑いしてたよね。

スノーボードの時も思ったけど、君、怖さ知らずだよね。


ところで、あまりに楽しくて感情爆発しちゃったのか、私の呼び方昔に戻ってんぞ。


「楽しそうでなによりだよ。ソード君は着地大丈夫だった?」

「え?あ、おっと、すまん。俺は枝に着地する時みたいにベクトル魔法使ったけど、アリスは怪我してないか?」


あ、呼び方戻った。


「うん、治癒魔法使ったから大丈夫。前世じゃ魔法無かったから走って着地が当たり前だと思ってたよ」

「え?さっきのは前世の?」

「そう。見たことはあったけど、体験は今日が初めて。でも、意外と何とかなったよね」

「ああ、アリスの姿勢真似したら、前向きに進んだんだ。手の動きで左右にも動けて、自分が鳥みたいに飛んでる気分になった。すげー楽しかった!」


ソード君、満面の笑みだな。

ほんと楽しそうで良かったよ。


「じゃあ、そろそろお昼にしようか」

「あ、そうだな。結構腹減ってきた」


草原に大判の布を引いて、昼食の準備。

川の水は流れが速くて濁り気味だったので、水球から水を垂らして手を洗い、いつも持ち歩いてる消毒液で手を消毒しました。

食堂で作ってもらったお弁当広げて、いただきます。


お弁当はね、俵おにぎりと卵焼き、炒めたソーセージ、から揚げ、肉野菜巻き、ポテトサラダ、カットトマト。


朝食のバイキングメニューばっかりだから、詰めてもらうだけでよかったからね。


でも、俵おにぎりに海苔が巻いてないんだよ。

マギ君に探してもらうように頼んでるんだけど、王都に帰ってからずっと忙しそうだからなぁ。


「このメニューも、全部前世のだよな?」

「そうだよ。材料揃ったから良かったよ」

「俺、食事はパンよりこっちの方が好きだな」

「そういえば、朝もご飯食べてたね」

「ああ。なんていうか、味が好みに合ってるんだ。総菜パンは間食にいいけどな」

「あはは、日本人みたい。私も日本食が好きだよ」

「俺、冗談抜きで王都とかでは暮らせないかも。マギたち王都組を尊敬するわ」

「はは、食の違いで尊敬されても、嬉しくないだろうね」


食後、少しまったりしてからあたりを散歩してみた。

平原の草は長くても20cmくらいで、かなり平坦な土地だね。


「俺、ここに別荘建てようかな。そうしたら何度も飛んで遊べる」

「え?止めた方がいいよ。多分翌年には別荘無くなってるよ」

「は?」

「谷の底、木が生えて無いよね。草も20cmがいいとこだし」

「そうだな」

「じゃあ、木が成長できる環境じゃないどころか、一年草の草も20cmまでしか成長できない環境ってことだよ」

「…原因わかるか?」

「多分、雪解け水と雨。この谷、山脈の麓に沿うような形だから、山脈の雪解け水の大半が流れ込んでくるはず。雨も同じになるから、何度も洪水になるんだと思う」

「まじか…。そうか、地形と植生である程度災害の予測も出来るのか」

「雪崩や土石流も可能性あるよね」

「そうだな。じゃあ崖の上は――猛獣天国か…。無理だな」

「山脈と反対側の崖の中層に、洞窟住居ならいけそうだけど…」

「別荘が洞窟って…」

「だよね」


例え別荘作っても、来られるのが私かソード君、あとネージュ。

隠遁生活しか出来そうにないよ。


色々話しながら河原に来たんだけど、河原、白い。

岩や角のある石だらけだけど、みんな白い。


これ、花崗岩どころか石英の塊じゃん。

人工水晶の材料に困らないなー、なんて思いながら足元の石見て眩暈がした。


「そ、ソード君、ど、どうしよう、やばい」

「どうした?何があった!?」


思わず情けない声でソード君呼んだら、ソード君、剣抜いて駆け寄ってきた。


「やばいのあった」


ソード君の服を掴み、足元の石を指さします。


「分からん!どれが危険なんだ?教えてくれ!?」

「き、き、き、きん!」

「『きん』?細菌か!?」

「ちが、金貨の金!」

「は?きんかのきん?…金貨の金?」

「そうだよ、これっ!」


足元の石の、ゴールドに光ってる帯を指差します。


「…おいおい、まじかよ。ホントに金色に光ってやがる」

「……出てこい金。ぎゃー!ほんとに出て来ちゃった!?」

「…本物だな。しかもどんどん染み出してくるぞ」


奥にも金があるみたいで、染み出してきたので魔法を連続発動。

やっと出てこなくなった時には、握りこぶし大の金の塊が、日の光を受けて燦然と輝いてます。


「まじかぁ~、こんなことほんとにありやがるんだぁ…」

「おい、口調が変だぞ」

「だっておかしくもなるよ!ちょっと探検気分でピクニックに来たら足元に金だよ!どんな確率よ!?」

「…俺は水晶が人工的に出来上がってくのを見せられた方が驚いたぞ」

「水晶は前世でも人工的に作られてたもん。でも金は、前世の技術の粋を集めても、そうそう見つかる物じゃなかったんだよ!」

「まあ、落ち着けよ。出ちまったもんはしょうがないだろ」

「……そうだけど、なんかソード君の落ち着きようにびっくりだよ」

「慌ててる人見ると逆に落ち着くってのはほんとかもな。さて、父上に報告するにしても、もう少し調査しないとな」


ソード君に言われて石や岩をしっかり見てみたら――。

もう、嫌ってくらい出てくる出てくる。


ちょっと身体強化して川上や川下に行ってみたんだけど、まんべんなく出てきます。


重い。


「アリスすごいな。なんでそんなに見つけられるんだよ」

「え?…あ、そうか。白い石の中に黒っぽい線や帯が入ってるのあるでしょ。金ってそういう場所に出来やすいのよ。だから金色に光ってなくても、黒っぽい線が有ったり色が変わってる部分有ったら抽出してみて」

「へー、そうなのか。どれどれ。抽出、金!。お、ほんとに出て来た。前世の知識、すげえな」

「いや、その知識でも見つけられないものが足元に転がってたんだから、驚くでしょ」

「王都なんかで足元に金貨落ちてたら、驚くより喜んじまうぞ」

「なんか例えが雑」

「…」


結局、ソード君、私、ネージュでレンガ6個分くらいの大きさの金を抽出しました。

リュック破れそうだよ。


ロッククライミング(といっても身体強化と重量軽減魔法で楽々)で崖を昇り、無休憩ダッシュで帰ったけど、お城に着いたら日暮れだった。

こりゃ、今日もお泊りだね。

片道五時間は遠かった。


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