2年目 夏
おはようございます。私です。
春には嫌がらせの水晶不足騒動で腹を立てた私ですが、ちゃんと仕返し出来ました。
何度も魔力枯渇しかけて一生懸命研究した結果、良質の水晶づくりに成功しました。
直径5cmの容器に二酸化ケイ素の溶液を入れ、容器の底の中心部だけを低温加熱し、上部に結晶化の魔道具を固定しておくと、24時間で直径3cmほどの水晶柱が完成します。
透明度も高く、形状も安定した水晶です。
ただ、結晶化の変換水晶づくり、魔力バカ食いなので私にしか作れませんでした。
私、頑張った。
1日2本、25日かけて50本の結晶化用変換水晶作りました。
現在は魔学研究所の一室で、日産50本の水晶が出来るようになりました。
材料はクズ石英やチャート(角岩)からでも抽出出来る二酸化ケイ素なので、そのへんにいっぱいころがってます。
自領用に1日20本除けても、30本x30日で、月に900本の水晶が出荷出来ます。
さらにマギ君から結晶化用の変換水晶20本の注文が入り、10日かけて作りました。
結果、水晶不足は完全に解消しました。
水晶の価格も一気に落ち着き、天然水晶の方が品質のばらつきが大きいために低価格化しちゃったの。
やーい、溜め込んでた奴らざまみろー!
よし、気分すっきり。
でも、街の方は結構大変なんだ。
例の侯爵は捕まって廃爵されたんだけど、まだまだ他領の間者が街で捕まってるの。
うちの領は労働人口足りなくて常に人材募集してるもんだから、どうしても間者が入り込んじゃうみたい。
だから警備が追い付かなくなる前に、魔学研究所支部とソード商会の魔道具部門、領主館の一部(ここでも魔道具作ってるからね)を街の外に隔離して、警備体制を整えようってことになったの。
そこで問題になったのが、移転場所。
街の北の平原だと、夜間に忍び寄り放題。
同じ理由で町周辺はダメ。
中央の森のダンジョンの近くだと、今はほぼ安全な森だから、日中でも木々に隠れて忍び寄れちゃう。
私にも相談されたんだけど、ソード君がまた忙しくなるからと思って言い渋ってたら、当の本人に吐かされました。
中央奥のダンジョン手前の細長い岩山。
あそこだと、周りは猛獣が勝手に警備してくれるし、岩山切り立ってて高いから登るのも大変(何しろ私が疲れるほどだからね)。
そして入口は、中央ダンジョン奥の岩山の始まり地点に限定できる。
さすがに無理だろうって言われたけど、大きな一枚岩だらけだから、岩、くり抜くだけでいいんだよ。
粘土みたいに圧縮しなくても、そのまま壁になっちゃうんだよ。
しかもどのダンジョンへも近くて、警備も岩山の入口に門付けたらすごく楽だよ。
真冬でも、距離が近いから地下道作ってダンジョンまで行けちゃうよ。
冷暖房は魔道具で済むし、燃料の核は取り放題だよ。
水の入手なんかも魔道具で済むし、野菜や小麦は周りが腐葉土だらけなんだから地下畑作ればいいし、お肉なんかその辺にいっぱい走り回ってるよ。
メリット説明したら、みんな押し黙っちゃった。
デメリットは、魔力制御能力の高い高レベル者じゃないと工事出来ないことかな。
結局、移転先は岩山に決定しちゃいました。
私、言い出しっぺだから、工事前の測量を買って出た。
実はね、ちょっと作ってみたいのがあるの。
みんなには言ってないから、ばらしたら怒られるかな。
そんなこんなで、今、ネージュと岩山地帯の入り口に来てます。
うん、やっぱりサイズ感がおかしい。
日本だと岩山って、岩石のサイズが数メートルくらいじゃん。
でもここ、数十メートルの岩塊がごろごろしてる。
奥の高い岩なんて、100mくらいあるんじゃないか。
なんかザクセン・スイスみたいだ。
私、小人になった気分。
さて、まずは簡易拠点づくりだな。
最初は岩石地帯の手前に土で小屋でも建てようかと思ってたんだけど、岩石地帯の少し奥、東の端に7~8mほどの立方体の岩塊が転がってる。
これ、試しに部屋化してみよう。
アクセスがちょっと大変だけど、建築予定地には近いから休憩所にもなるよね。
よし、重量軽減と身体強化で行ってみよう。
現場到着。
岩塊に触った感じだと、きめが細かいから泥岩かな。
ほじってみよう。
1m角のサイコロ状に石をカットし、魔法で浮かべて外に運搬。
あ、スライスして並べて小道代わりにしとこう。
せっせと中身をほじほじ。
これ、完全にマイ〇ラだな。
本来だと外側と内側の寸法測って壁を残さなきゃいけないけど、ここで活躍するのが魔力感知。
ちょっと集中すれば、暗闇でも歩ける程度には周りの状況が感知できるの。
だから壁の厚みも感じ取れる。
つまり、測らずに掘っても壁が残せるんだよ。
ぬ、外側が斜めってる。
壁の厚さを一定にすると、部屋が傾くな。
うん、内側の垂直水平優先だよね。
…
でけた。
内部は、高さ3m、幅5m、奥行き8mくらいの空間です。
8mも柱無しだと天井崩れるかと思ったけど、意外に頑丈だな。
各面に1m四角の窓(穴だけ)を2つ開けたんだけど、崩れる気配は無いね。
壁の厚みは20cm~50cmくらい。
上方向には、まだ3~4m厚みがある。
…二階建てにするか。
…
とりあえず、上下水道以外は完成しました。
一階は製図用長テーブル、ダイニングテーブル、簡易キッチン、男性用シャワー室とトイレ。
二階は休憩スペース用テーブル、仮眠用二段ベッドx4、奥は女性用シャワー室とトイレ。
すべて石製。
うん、充分すぎるな。
やりすぎたっぽい。
…明日は魔道具作って持ってこよう。
測量一日目進捗状況:0%
…帰ろう。
みなさんこんにちは、私です。
岩山の測量を始めて五日目。
測量進捗率、ほぼ0%です。
ご、ごめんなさいー!
でも、あんなアップダウンの激しい岩山、レーダー衛星とかドローンのレザースキャンとか無きゃ無理だって。
で、プッツンしてしまった私、岩山を均し始めました。
ある程度均せば実測可能。
…完全に本末転倒です。
30mx30m(均してそのサイズにしたから確実)の均した広場に、切り出した石材が変なピラミッド作ってます。
だって、置き場ないんだもん。
ついでなので、石材の耐久テストも兼ね、頭でっかちな積み方になってます。
今は広場の奥に、8m高さを上げた第二広場作ってます。
この広場は、30mx50mの予定。
せっせと石切りして均し中です。
ぬをっ!ソード君反応!!
振り返ったら、ソード君の後ろに領主様までいるー!
測量って言ったのに、整地しちゃってるから怒られるよなぁ。
ドキドキしてきた。
「お嬢、あれ、マジか?」
「え?あれって何?石材逆ピラミッド?」
「石の家の中にあった模型」
「ぎぃやぁー!!み、見られた!!」
「様子見に来たら小道出来てるし、小道の先、岩の中が家みたいになってるし。中に居んのかと思って入ったら、大きな机の上にでっかい模型が鎮座してた」
「魔力感知でいないってわかるでしょ。なんで入っちゃうのよー」
「いや、俺、まだ石の中とかは感知出来ないからな。『現場事務所』とかプレート付いてたし、ドア付いてなかったから入ってみた」
「しまった!いずれはみんなが使うからと思って、ノリでプレート付けといたんだったあ!」
「父上が乗り気だ。あの模型で説明してくれ」
「え?…まじ?」
「あのような城が本当に出来るなら、是非ともお願いしたい!!」
うわ、領主様、ものすごく力入ってるよ。
握りこぶし振り上げてるもん。
「ほれ、とっとと行くぞ」
ソード君に現場事務所に連行されました。
なんだろう。ソード君はあきらめ顔だけど、領主様はすっごい笑顔。
私、怒られなくて済むの?
「しかし、模型ですら素晴らしさが伝わってくる城だ。このような城が実際に持てるとしたら、夢のようだ」
「このお城、前世の海外の王様が実際に作った城を、少し改造したものなの。本物は、王様自身の夢を実現しようとした城って言われてた」
参考にしたのはノイシュヴァンシュタイン城。
本館の曲がった部分をまっすぐにして、中庭や外周をシンメトリにしてみた。
塔の位置はそのままだけどね。
「あ?『しようとした』?」
「出来た部分に住みはじめてたけど、全体が完成する前に亡くなっちゃったの。城の名前も付いて無くて、最初に誤用された名前が公称になってるの」
「これで未完成?充分以上にすばらしいと思うが」
「私もそう思う。だから作ってみたくなって…。でも、大掛かりな建造物だから、言い出しにくくて…」
「バレてちょうど良かったな。で、施設とかどんな配置の予定なんだ?」
「こんな風」
この模型、バラけるんだよ。
各階ごとに積み重ねてあるの。
内部構造もある程度は作ってあるから、見るだけで結構わかると思う。
実は、この模型作るのに半日つぶした。
「うお!模型なのに中まで見れるのか」
「ほう、すごいな。一目瞭然とはこのことか」
領主様とソード君、協力し合って重箱みたいに積み上げられた部分を順番に外しつつ、入念に観察してます。
全長2mくらいある力作の模型だからね。
えっへん!
「…中庭の下まで部屋になってるな」
「そこは工房。下の中庭に直接出られるように、左右の階段に挟まれた壁が出入り口になってるの。自走車とか作った時に便利でしょ」
「…もう一段外すと畑か」
「上の中庭の地下三階と下の中庭の地下が繋がってて、全面畑のつもり。本館の地下は上物が重いから使えないの」
「本館にも地下が二つあるみたいだが?」
「そこ、地上一階と二階だよ。上の中庭を二階分上げてあって、更に入口の階段で一階分上がるから、本館入り口は四階になるの。だから本館は七階建て」
「なんでわざわざ四階を入り口にしたんだ?」
「下の階になるほどぶっとい柱だらけだから、玄関入ってすぐに柱だらけじゃ、開放感無くて重圧感じちゃうでしょ。四階なら、壁でもたせてある程度の広さが取れるから。それに、三階以下を平民エリアと仕事場にすれば、お貴族様とのトラブルも減るでしょ」
「なるほどな。でも、七階建てって重さ大丈夫なのか?」
「外の石材、上に向かって大きくなってる積み石があったでしょ。あれでどの程度まで荷重に耐えられるか、実際に試してみてるの」
「あの見るからに危なっかしい石積みか。大丈夫そうなのか?」
「多分、一階の壁厚は130cm」
「分厚!お嬢の身長くらいあるじゃねえか!」
「うん、安全にしようとしたら仕方ないの」
「まあ、危険よりはいいか」
「それほどの厚さの壁を持った城など、攻略は不可能だな」
領主様、模型眺めてるから聞いて無いのかと思ったのに、しっかり聞いてたよ。
「立地的にも、攻城兵器持ち込めないしね」
「そうなるね。この構造だと、攻撃出来るのは正門のみか」
「城門に分厚い鉄板挟んでおいたら、火矢も平気になるし」
「よいな。城門前の道が急に曲がっているのは?」
「敵兵が城壁と平行に並ぶから、矢が射かけやすの」
「はっはっは、増々良いな!」
あれ?城主様、誰かと戦うの?
お城づくり一日目
フライングしてたけど、領主様の許可が出たから、今日から正式に工事開始だよ。
今日からは人も増えたの
姉妹ちゃん(レベル7)、ソード君(レベル11)、副長さん(レベル9)、私(レベル13)、ネージュ(レベル12)、鉱山主任さん(レベル9)新人鉱夫さん2人(レベル5)、新人兵士さん(入れ替わりでレベル5~7)。
基本はこのメンバーで、お仕事の都合で抜けたりします。
私は基本、午後参加。
ネージュは私が頼んだら手伝ってくれるけど、大抵はお散歩に行っちゃう。
全員揃う事はまずないから、平均は毎日六人くらいです。
お城建てるのに六人作業…。
まあ、魔法必須の工事だから仕方ないよね。
特に高所作業は私かソード君じゃないと、とっさの時に危ない(パニクって魔法での安全確保が難しい)。
だから本館と塔は、私とソード君の担当です。
わいわいやりながら工事してたんだけど、ここで不都合が発覚。
副長さんと主任さん、姉妹ちゃんと私を呼ぶ時、みんな『嬢ちゃん』なんだよ。
で、ややこしいから名前呼びになったんだけど、女性陣みんなマイスター。
マイスターの本名は、誘拐防止などの観点から秘匿性が高い。
じゃあ個人が特定されにくいようにと、マイスター名というのを作って名乗ることになったの。
お姉ちゃんはリアーナ、妹ちゃんはミネア。
二人共、自分で考えてた。
で、私はアリス。
これ、ある意味本名なんだよね。
前世の名前が雅理栖(ありす)なの。
ちょっときらきらネームっぽいよね。
父が『正しき理(ことわり)が宿る』って意味で、強硬に主張して名付けたらしい。
ちなみに今世の本名はリーゼロッテ。
この国では貴族が使う女性名詞なんであんまり名乗ってないんだけど、父ちゃんが『神に愛された者』って意味(この世界では)で、強硬に主張して名付けたらしい。
前世今世共、父の愛が重いです。
まあ、そんなこんなで名前呼びになりました。
「アリス嬢ちゃん、この石材、運んでくれ」
「アリス嬢ちゃん、岩の切り方教えてくれ」
……結局『嬢ちゃん』付いてるやん!
姉妹ちゃんは『アリスちゃん』呼びになったから嬉しかったんだけど、ソード君に『アリス』って呼ばれたら、ちょっとドキッとした。
前世で男性から名前を呼び捨てにされたのは、父と兄だけだったからな。
本日の工事結果
本館の屋根が出来た(岩山の上に、ぽつんと屋根だけ)。
城門正面の外壁が出来た。
◇
お城づくり25日目
みなさんこんにちは、アリスです。
最近はお城づくりにも慣れ、午後はみんなで城づくり遊びしてる感じです。
これ、ソード君とおうちづくりしてた時と同じような感覚です。
今回の方が、みんなでわいわいやってるから楽しさも倍増してる気がする。
姉妹ちゃんも石のテーブルやカンテラ台、屋外ベンチ、木の椅子や屋内テーブル作って楽しそうだし。
一方の男性陣は――
主任さん。なんだか装飾に凝りだしたみたいで、壁を見ながらうんうん唸っては変形してます。
その横では新人鉱夫の少年が、置いてある石材を前にして一生懸命主任さんの真似をしてる。
あの少年、何をするにもすごくまじめで一生懸命なの。
毎日魔力枯渇でふらふらしてるけど、少し回復しただけで働いてるんだよ。
きっと主任さんのお気に入りだな。
副長さんは、石を切っては出来栄えを確認してる。
ローテーションで付いてくる新人兵士さんは、片付けと石材の運搬でこき使われてるね。
ソード君は、いつもどおり。
高いとこでも平気で走ってる。
こないだなんか、ネージュと岩山の上を追いかけっこしてたもん。
ほんと運動神経いいよね。
みんなが趣味に走り出してるのは、基本的なガワづくりが終わっちゃったから。
内装や設備は全然なんだけど、床や壁、階段、柱は出来ちゃった。
本館の五、六、七階は重量軽減のために天井と床が木の予定だから、材木の入荷待ちだったの。
でも領主様がやってきて、木を現地調達してしまった。
斧持って崖下に降りて、崖の周りの木を伐採しちゃったの。
警備上、周りの視界を確保したらしいんだけど、この崖登れるのって、私たちくらいしかいないよ?
どうせ木があるならと、ソード君と二人で木を運び上げ、作業員総出で水分を抜いて木材に加工しました。
床と天井は、出来た木材を私とソード君で張っちゃいました。
排水系も接続済みで、便器や浴槽も石製だけど設置してある。
魔道具無いし浄化槽のスライムも設置してないから、まだ使えないけどね。
屋根は、黒に紺を混ぜたような色の泥岩があったので、砂化して蒸着塗装。
外壁も、白っぽい花崗岩を厚めに蒸着塗装してあるので、見た目はすごく映えてる。
かなりのレベルでノイシュヴァンシュタイン城のコピー品。
城門を入ると中庭下。
大判石畳。
色違いの石材で床絵作ろうとしたら、領主様に止められた。
地下は畑。中庭上の地下三階と繋がってる。
囲ってる城壁は三階建てで、一階は兵士さんの居住スペース(狭いけど個室だよ)。
二階は武器庫兼倉庫。
三階は回廊で、中庭上の城壁の一階に繋がってる。
中庭下の両サイドには階段があり、中庭上に上がれます。
中庭上も大判石畳。
左右の城壁は二階建て。
一階は回廊で、中庭下の回廊と騎士の館か婦人の館を通って本館三階に繋がってる。
二階は魔道具師関連の居住スペース(狭いけど個室だよ)。
一応、中庭の左右で男女に分けてみました。
女の子少ないけどね。
一方が騎士の館か婦人の館に繋がり、もう一方は中庭下の回廊の屋上に出られるようななってます。
中庭上の奥には、半円形の階段で、本館四階の正面玄関に繋がってます。
騎士の館、婦人の館は地上三階地下一階。
地下は男女に別れた魔道具技師専用中型浴場とシャワー室。
仕事終わりに汗を流してから、居住スペース(個室)に帰れます。
一階は回廊と本館三階に繋がったホール。
二階は喫茶スペース兼談話室。
三階は会議室です。
中庭上の地下一階は、魔道具工房、魔道具技師見習い用教室、食堂、男女別共用トイレ。
本館二階と同じ高さなので、工房から直接本館に出入りできます。
厨房は、繋がってる本館二階と共用。
地下二階は資材倉庫、地下三階は畑エリア。
現在柱だけで、何にもない。
中庭上の階段に挟まれた張り出したテラス部分は、地下が大物用工房。
地下一階と二階ぶち抜きで、高さを確保してあるの。
自走車などの大物は、組み立て後、石製の大扉から中庭下に直接出られます。
格納庫をイメージしてみました。
地下駐車場にも使えます。
扉がこっつい石製なので、魔道具で開閉機構作る予定。
両開きの扉の外側には、領主様の紋章とソード君の紋章が、それぞれの扉に浮彫されてます。
ソード君の紋章初めて見たけど、水晶クラスターが取り入れられてた。
城門入ってすぐの中庭下、この地下は畑エリア。
中庭上の地下三階の畑エリアと繋がってます。
本館一階は、やはり畑エリア。
中庭上の地下三階と、階段で繋がってる。
一部は浄水施設にも使ってるけど、上の重量を支えるために、ぶっとい柱がにょきにょき生えてます。
実は本館一階の、中庭とは反対側、薬草畑エリアです。
上は岩山のまんま。
試し掘りしたら、50mくらいで中央奥のダンジョンにぶつかりました。
なので、ダンジョンの壁を露出させてフロアの壁に使いつつ、漏れる魔力で薬草育てようと画策してます。
まだ、岩山で採取した10株ほどの薬草プランターが、ぽつんと置いてあるだけだけどね。
本館二階には、大型冷凍冷蔵倉庫、厨房、平民用食堂、休憩所兼喫茶室、倉庫、平民用居住スペース。
あと平民用の中規模浴場。当然男女別。
お貴族様がいると気を使うだろうからと、魔道具技師用とは別にした。
あと、平民と魔道具技師のための診察室が階段近くに在る。
お貴族様は、基本出張診療。
本館三階は、全部平民居住スペース。
下働きの人とか厨房スタッフとか、お城で働く平民は結構多いらしいので、ワンフロア全部居住スペースにした。
本館四階は、正面入り口、エントランスホール、ラウンジ、領主家執務室、面会用待合室。
奥は用途未定の部屋群(実は上部の荷重分散用に壁が欲しかった)。
本館五階は、領主家のプライベートエリア。
各人の私室(トイレ、シャワー付)と遊戯室、談話室、書斎、男女別中型浴場、食堂、ラウンジ。
本館六階は、貴族用客室(トイレ、シャワー付き)と従者用控室兼客室、ラウンジ、共用浴室シャワー室、共用トイレ。
従者用は客室のみで、シャワー、トイレは共用。
本館七階は、ロイヤルスイートx1とノーブルスイートx2、スイートx2。従者控室兼客室と共用トイレ、ラウンジ、食堂、遊戯室、会議室。
展望大浴場は、重さの関係で泣く泣く断念したよ。
本館屋根裏は、エントランス、大広間、厨房、バーカウンター、貴賓控室、テーブル等物品倉庫。
六階、七階、大広間は、ほぼ使われないだろうな。
まだ内装全然出来てないけど、一応ガワは完成しちゃった。
日課みたいに毎日来てるけど、私もちょっと暇になってきた。
実はこっそり計画してた魔道具エレベーター、領主様に却下されてしまったの。
エレベーター設置予定場所、角型の螺旋階段になっちゃった。
この城の規模だけでも大きすぎるのに、王城にも無い設備を付けちゃったらクレーム来るって。
魔道具の秘密保持のための砦建築は許可されてるから、内装は出来るだけ簡素にして、万一王様が来ても文句言われないようにしたいらしい。
ソード君の話では、領主様はあまりに見事な城が手に入ると舞い上がっていたものの、現物が出来上がり間近になって、完成記念のパーティの招待客選びで正気に戻ったそうだ。
確かに領主様、ちょっと前まではノリノリだったもんな。
通常、招待状は一ヶ月以上空けて発送するらしいの。
完成前から招待状を送って、完成したらすぐお披露目らしいので、このままの工事ペースではマナー違反になるそうな。だからこれからは、通常の職人を入れて完成までの時間を稼ぐみたい。
つまり私たちはお役御免なの。
『ハイペースにも程がある』だって。
まあ、一ヶ月以内にここまで出来たら、言われても仕方ないか。
あーあ、内部工夫していじりたかったなー。
でも、お城前のアプローチから森まで、切り出した石材が積んであるから、石のグランドキャニオンみたいになってる。
この石材どうするんだろうと思ったら、街の北門からお城までの道が、石畳で舗装され始めた。
加工が間に合わないからって、石切り職人させられたよ。
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