その蝶の羽ばたきは嵐を引き起こす③
「今夜?急ですね…。」
誰と、何を話していたんだろう。
あの日の夜、誰かと会ったのだろうか。会ったとして、何を、したんだろう…。
12月23日。
園田圭は研究室のデスクで一通のメールを打ちながら、この数日何度も何度も繰り返してきた答えの出ない疑問を再び頭に浮かべていた。
3日前、圭はかおると会った。
別れた直後にかかってきたかおるへの電話が気になって仕方がない。
私は一体何がしたいんだろう。
相馬さんと会いたい。
でも、会った先に何があるのだろう。
特別な存在になりたい。
初めて会った時からきっと、この願望は明確だ。
でも、笑顔の裏にある彼女の孤独や傷が見えてからは、その願望に「彼女を守りたい」が加わった。
でも、踏み込めない。彼女の内側。
相馬さんは決して他人に心を許さない。強固に立ちはだかる壁で、彼女は自分の心を守っている。
でもなぜだろう。その壁の奥から叫びが聞こえるんだ。
「助けてほしい」って。
だから、放っておけない。きっと、ただの気のせいではないから。
そしてその叫びを受け止めるのが、彼女を救い出すのが、私であってほしい。
でも、先日打診をされたテレビの取材の話しは、この私の個人的な感情とは切り離して考えるべきだろう。
圭は用件だけを伝えるメールを送信した。
― テレビの取材のお話ですが、教授と大学広報に相談し、お受けする方向で進んでいます。
つきましては一度内容を伺いたく、打合せのお時間を ―
----------
12月31日。
圭は一人暮らしのマンションでスマホを眺めている。
一日に毎日何度も確認するかおるの仕事用のSNS。
その日の仕事の内容やメディアへの掲載情報などがこまめにUPされる。
それなのに、12月25日、クリスマスの日から1度も更新されていない。
クリスマス当日は、かおるが恋人と過ごすのか、気になって仕方がなかった。
その日から更新されていないということは、何かあったのだろうか。
テレビ取材の件は、圭がメールをしたその日に、年が明けてから打ちあわせをすること、その日程まですべて決まった。
事務的なかおるとのやり取りでも、圭は嬉しかった。
少なくとも私とやり取りしている間は、私のことを考えてくれている。例え仕事のことだとしても。
だから余計、そのメールが終わってからかおるとなんの関係も持てないことが寂しくて仕方なかった。
こんなに人に会いたいなんて、思ったことがない…。
大晦日。いま相馬さんは、何をしているんだろう。1人か、だれかといるのか。
突然浮かぶかおるの性的な姿。
もう何度、はしたない妄想をしただろう。意識しているわけではなく、突然目の前に現れる。
ベッドに全裸で横たわるかおる。枕には長い黒髪が広がる。
圭はその顔を見下ろす。
眉間に皺を寄せ、圭の目を真剣に見つめ、圭を求めて懇願しているようなかおる。
両手は圭の首の後ろを痛いほど締め付ける。決して離れないようにと。
圭の指がかおるの体の上を滑る度、その指が特定の場所を愛撫する度、その動きに合わせて微かな声を上げ、両手がかおるの首の後ろを強くつかむ。
甘い声。脳が溶けそうだ。ドロッと溶けた脳でも、彼女が悦ぶこと、自分がしたいことははっきりと分かる。
…また、こんな妄想を…。
日を重ねるごとに現実味をおびてきて困る…。
妄想の中のかおるは圭の気持ちを受け止め、どこまでも果てしなく圭を求めてくれる。
無意識にスマホの更新ボタンを押すと、かおるのSNSに1件の新しい投稿が出てきた。
はっとして姿勢を正す圭。
― 皆さま、今年もありがとうございました。大晦日、皆さまが素敵な時間を過ごされていることを、来年が今年よりもさらに愛に満ちた年になりますことをお祈りいたします。 ―
無心に圭は、仕事用のメールを開きテキストを打ち込んだ。
― 相馬さん
こんばんは。大晦日、いかがお過ごしでしょうか。
私にとって今年は、相馬さんと出会えたことが一番の収穫でした。私を見つけてくださって、ありがとうございます。
とてもお忙しそうなので、体調を崩されないか、心配でなりません。来年は仕事での関りも多くなるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
いつも、相馬さんのことを考えています。 ―
勢いでそのまま送信ボタンを押そうとした圭は、思い直し、その手で最後の一行を消して自分の名前に書き換えた。
----------
1月20日、工理大学の広報室。
「相馬さん、お久しぶりです。」
圭は大木教授を差し置いて先に広報室に入ると、真っ先にかおるのもとに向かった。
1か月ぶりに会うかおるだ。胸が高鳴り気が逸る。
大木教授はそんな圭の姿に呆れた表情を浮かべながら相馬のもとに来た。
「まったく今どきのもんは年寄りへの敬意っちゅうもんを知りませんなあ!」
「うふふ。ジェネレーションギャップですね。私もよく感じますよ。
大木教授、園田さん、お久しぶりです。お打ち合わせの機会をくださってありがとうございます。
あ、こちらがテレビ取材の担当をする高野です。」
「初めまして。TKNテレビの高野です。相馬から園田さんをご紹介いただきまして、このような機会を頂いてありがとうございます。」
清潔感があって、いかにも女性にもてそうなスポーツマンタイプ。
相馬さんが知り合いと言っていたけど、どういう知り合いだ…。
「園田さん、あなたのような未来を変える研究者にお会いできるなんて光栄です。出会う機会をくれた相馬に感謝ですよ。よろしくお願いいたします。」
知的で品があって、礼儀正しい男だ。悔しいけれど、そこは認める…。
「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします。相馬さんのお願いを断ることはできませんから。」
いつもにも増して、愛想のない冷淡な表情で挨拶を返す圭。
その態度とストレートな言葉に、かおるは困ったような苦笑いを浮かべる。
「では、座って広報も交えて、企画のこと、お聞きしましょうか。」
大木教授が促し、打合せが始まった。
「かおる、俺が話していいよな。A案から。
本日は企画書を3種類持参しました。ぜひ、ご検討をお願いいたします。」
かおる…!?呼び捨て!?
なぜこの男が相馬さんを呼び捨てに?
自分が何度も心の中で呼んだ大切な女性の名前を、いとも簡単に口にする目の前の男に嫉妬の炎が燃えるのを感じる。
圭は動揺を隠す余裕もなく、かおると高野を凝視した。
まさか、あの日、相馬さんに電話をしてきたのはこの男?あの後、相馬さんと何をしたんだ。
明らかに冷静さを失っている圭を横目で見つつ、大木教授が返答する。
「はい、3案とも詳細を聞かせてください。」
高野が話し始めようとしたとき、かおるが口を開いた。
「園田さん、大木教授。高野は私が出版からテレビ局に転職した時の先輩で、テレビと雑誌の違いから教えてくれた恩師なんです。私も企画に参加して。けっこういい案を考えてきたので、ぜひご検討ください。
きっと園田さん、気に入ると思いますよ?」
かおるは圭の動揺を悟って、わざと圭だけを見て、幼子に語り掛ける口調で話した。
優しいかおるの口調に、みるみる落ち着きを取り戻す圭。
打合せはスムーズに進み、まずは企画案を大学側で検討することになった。
「おい、大丈夫か」
かおるともっと一緒にいたくて、大学の出口まで案内しようと圭が先に歩き始めると、後方から高野の慌てる声がした。
振り返ると、態勢を崩したかおるを高野のが支えている。
「あ、ごめんなさい。ちょっと立ちくらみ。」
力なく高野を見上げてほほ笑むかおる。高野は優しくかおるの体を起こす。
「歩けるか?」
「ええ、大丈夫。ごめんなさい。」
大人の男女が支え合っている姿に、圭は言葉なく立ちすくんだ。
「園田さん、ごめんなさい。ちょっと足がもつれてしまって。」
圭の視線に気づき、苦笑いを浮かべて歩き始めるかおる。
高野は心配そうにその後ろを歩く。
「いえ、今日はありがとうございました。企画、検討させていただきます。では。」
圭はそう言い残し、大木教授すら置いて一人で退室した。
「いやぁ、圭はこの後すぐ研究に戻らなくてはいけなくてですね。いつも不愛想で申し訳ない…!まったく、年長者への敬意ってものはないのか!ははは!」
大木教授はきっと圭の最大の理解者だ。かおるは教授のとっさのフォローに感心した。
----------
かおるが自宅兼仕事場に帰宅すると、電話が鳴った。
画面には園田圭の三文字が浮かんでいる。
正直、年末のあのメールから圭のことを思い浮かべることが増えている。
年末は独りだった。
さまざまな方法で挨拶はたくさん届いた。
でも、心から私を想ってくれているものではない。あくまで形式上の挨拶。
そんな中で圭から来たメールは、本心からかおるを気遣う気持ちが伝わって、かおるの胸にダイレクトに響いた。
それに今日、大学で真っ先に私に向かってきた時の嬉しそうな表情。あんなにもストレートに感情を表す圭を初めて見た。
高野さんと私に嫉妬しているような別れ際の態度も、何もかも、自惚れではなく、圭の好意の表れだろう。
もっと激しく、強く、深く、求められたい。…愛されたい。
鳴り響く電話のベルの音が、まるで危険を知らせるアラートのように聞こえる。
圭の好意が、友情の好意よりも強く熱い恋愛の好意であってほしいと願う自分に気づき、かおるは唇を強く噛んで自分を諫めた
欲してはいけない。
欲望は傷を生み出すだけ。
仕事上の付き合いに止めなくては。
「お待たせしました。相馬です。」
かおるは努めて冷淡に電話に出た。
「園田です。あの、今お電話大丈夫でしょうか。」
おどおどとした口調。
「園田さん、先ほどはお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。大丈夫ですよ。どうされました?」
「あ、あの、先ほどは態度を悪くしてすみませんでした。教授からも叱られました…。」
消え入りそうな声。一生懸命反省を表現している幼い子供みたい。
かおるの口元に笑みが浮かぶ。
「それでわざわざお電話を?お気になさらないでください。高野も私も、全く気にしていませんよ。それより、企画のご検討、前向きにお願いいたします。」
「そ、そうなんですね…。良かった…。企画は、もちろん、検討させていただきます。」
「よろしくお願いいたします。では…」
「あ、相馬さん!も、もしよろしければ、今夜、お食事でもいかがですか。先ほどのお詫びも兼ねて…。」
「そこまでしていただかなくても…。本当に、気を悪くしたりしてませんから。」
「じゃ、じゃあ、お詫びはなしで、食事をするだけでも…。」
「うーん。今日はもう自宅ですし、お互いに忙しい身ですし、またの機会にしませんか?」
「相馬さんのご自宅近くの、先日お会いしたカフェ。夜は創作和食を出してくれて評判がいいんです。忙しいからこそ、息抜きしたほうがいいと思うんです。」
かおるは大きく息を吸って吐いた。
「園田さん、私はあなたとプライベートなお付き合いはしない方が良いと思っています。食事は止めておきましょう?」
「…」
「あ、ごめんなさい。私はたぶん、あなたの研究のお邪魔になってしまうから…。」
「…お会いしたいんです。このままだと、研究に集中できなくて…。ダメ、ですか…?お話したいことも、あるんです。お時間は取らせませんから。食事の時間だけでいいんです…。」
ここまで強引に誘うなんて、何かあったのだろうか。
かおるは判断し兼ねた。もし圭がここまで会いたいという理由が何か重大な相談事だとして、私をその相談相手に選んだのだとしたら…。
「こんなに人に会いたいと思うこと、今までなかったんです…。」
「………。
分かりました。今日だけ。大学のあたりまで向かいます。」
「いえ、先ほどの立ち眩みのこともありますし、かおるさんの体調が心配です。ご自宅近くに伺います。この間のカフェに20時でいかがですか?」
かおる、さん…?
鼓動が早くなる。
この人は計算して今私を名前で呼んだのだろうか。
だめ、かおる。だめよ。落ち着いて。ただの名前。他意はない。
「分かりました。では、後ほど。」
電話を切っても鼓動は体の内側からかおるの体を揺らしている。
だから、会いたくない。こうしていつも、押しに負けてしまうから。
どうせ、私が相手を強く求め始めると、相手は背を向ける。
もう傷つきたくない。
でも、約束してしまったからには、会っても園田さんの話を聞いて適切なアドバイスをして、あとは仕事の話しに徹しよう。
----------
相馬かおるの自宅近くの古民家カフェ。
先に到着した圭は、先日と同じ庭に面したカウンター席に通された。
室内は間接照明で明るさを落としているから、ライトアップされた庭が強調されている。
緊張で吐きそうだ。会えるだけで貴重なうえに、夜に相馬さんと食事をするのは初めてで、普通だったら浮かれるはずなのに。
帰りたいとすら、思っている。
今日、かおると高野との打合せのあと大木教授に呼ばれ、態度が悪かったことを叱られた。すぐに謝るようにと言われた。
自分でも分かっていることだから、真摯に受け止めた。それでも教授は圭を解放しない。
しばらくの間の後、教授が意外な言葉を切り出した。
「圭、相馬さんのこと、どう思ってる?」
「え!?」
みるみるうちに圭の顔が紅く染まっていく。
「いや、答えなくていい。私のひとりごとだと思って聞いてくれ。
数学を研究しているとな、根拠や事実が数値で示せないことや、論理的な筋道が立たないことが私生活で起こると、混乱することがある。
恋愛なんて、その典型だろう。私自身、かみさんと出会った時、そうだった。恋愛を数式で解明する研究に転向しようかと思ったくらいだよ。本当に血迷っていたな、あの時は。
でもな、圭。恋は美しいものだ。自分や相手の気持ちを分析せずに、感情に従うことは悪いことじゃない。解明や制御ができない感情に戸惑っていら立つより、素直に相手に伝えると楽になるかもしれないぞ。
まあ、いつもの私の老婆心だよ。研究に戻ってよし!」
分析、解明、制御せずに感情に従う…。
圭はこの言葉を反芻し、決断をした。やはり大木教授は偉大な方だ。
「…園田さん」
振り向くと、かおるが立っている。
疲れて笑みの消えた表情。
圭は、かおるの冷たく感情のない表情に怖気づく。
上目遣いでおどおどとかおるを見上げると、ゆっくりと立ち上がった。
「来ていただいて、ありがとうございます。」
「いいえ。こちらこそ。」
かおるは圭の隣に腰を下ろすと、メニューを見始めた。
近くにいるのにこんなにも遠い。かおるの暗い表情に、圭の気持ちも沈む。
「今日は本当に、申し訳ありませんでした…。」
かおるの方を向いて頭を下げても、かおるは圭を見ない。
「本当に、なんとも思っていませんよ。それより、何食べますか?」
氷のような態度。圭は頭を鈍器で殴られたように目の前がグラつき意識が遠のくのを感じる。
うわの空で適当に食事を頼むと、二人の間に漆黒の暗闇のような重い沈黙が下りる。
そのまま、店員がアルコールを運んでくるまで、どちらも沈黙を破らない。
かおるはグラスの縁に指を置くと、
「きれいな色…。」
そう呟いてグラスを手に圭の方を向いた。
「もう反省タイムは終わり、ね。せっかくいらしてくださったのだから、食事を楽しみましょう?」
まだ強張っているけれど、かおるの表情に柔らかさが戻ってきて圭はホッとした。
乾杯をすると、二人は運ばれてきた料理を食べながら、お互いの仕事の話をした。
相馬さんと高野さんの関係とか、今までの恋愛のこととか、聞きたいことがたくさんある。それに、もっと大事な話があるのにな…。
そう思っても、仕事モードになっているかおるにそんなプライベートな話題を振る勇気は、圭にはなかった。
一方でかおるは、圭が話したいであろう相談事を切り出させない雰囲気をわざと作っていた。
相談をされたら、私が彼女にとって特別な存在なのかもしれないと期待してしまうから…。
----------
「わざわざこんなところまで来ていただいて、ありがとうございました。お気をつけて帰ってくださいね。」
店を出ると、かおるは律儀に圭の真正面を向きお辞儀をした。
「い、いえ。こちらこそ…。か、かおるさんも…。」
勇気を振り絞って呼んだ名前。
かおるの目が大きく開く。
圭の目を一瞬だけ強く見ると、その視線はすぐに逸らされた。
明らかに困惑の表情を浮かべている。
「あ、すみません…。名前で呼んでしまって…。」
「いいえ。では、企画のお返事、お待ちしています。失礼します。」
圭の目を見ているようで、微妙に逸らされた視線。
かおるは背を向けて歩き始めた。
このまま相馬さんを行かせたくない。
「相馬さん!ご自宅まで、送らせてください。夜道、危ないですから…。」
「あなたのほうがお若いのに、送るべきは私のほうですよ。そういうのは、やめましょう?お互いに。では。」
「まだ、大事なお話があるんです。どうしても、お話したいことが、あるんです。寒いけど、もう少し、歩きながらお話してはダメですか。」
かおるは振り返って圭を見た。
怒ったような表情で圭を少し見た後、地面に落ちる視線。唇をかんでいる。
「…このままでは、帰れないんです。」
圭は強く言い放った。
圭の口調に、かおるが視線を上げる。目の奥が甘い色に変わり、泣くのを我慢しているような、懇願するような表情。
煽情的なその表情に、圭は理性を失ってかおるをめちゃくちゃに抱きしめたくなった。
代わりに自分の手を強く握りしめる。
「…分かりました。この近くに公園があるので、そこで。」
----------
誰もいない公園。
かおるはベンチに腰掛けると、手袋の上から息を吹き込んで手を温めた。
圭はかおるに近づくと、自分のマフラーを彼女の首に巻いた。
驚いて圭を見上げるかおる。
「私は寒くないので。しばらく、巻いていてください。」
かおるは黙っておとなしく従い、圭のマフラーをしっかり首に巻き付けると、足を伸ばして靴の先を見つめた。
「かおるさん。」
圭はかおるのすぐ隣に腰掛けると、かおるの目をのぞき込んで名前を呼んだ。
もう覚悟は決めた。逃げない。
「はい…。」
先ほどまでの拒否が消え、借りてきた猫のように大人しいかおる。
「正直に言います。あなたが、好きです。あなたに、恋をしています。こんな気持ち、今まで誰にも持ったことがありません。」
かおるは俯いたままだ。
「相馬さん。…かおるさん。何度も何度も、心の中であなたの名前を呼びました。あなたのそばにいたい。いさせてもらえませんか?」
「…」
「かおるさん。こっちを見てください。」
かおるは依然として俯いたままだけれど、濃さを増して漂う吐く息の白さが、感情の高まりを表している。
「かおるさん。お願いです。こっちを見てください。」
一向に圭を見ないかおる。
圭はその表情を見ようと、ぐっとかおるに顔を近づける。
かおるは静かに、そして激しく、泣いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます