探索1:砂都探索1日目
無事に蛮族らを打ち倒したハイエース。
気づけば、周囲でも暴れていたアンデッドたちが他の冒険者や衛兵に打ち倒され、残った蛮族たちが街の外へと一斉に引いていく様子が見てとれるでしょう。
それと時を同じくして、ハイエース一行のうしろから衛兵たちを引き連れたヒルダがやってきました。
カザリ:おお、やられてない。どっかの冒険者とは違うな。
ケルル:な。
この二人が言ってるのは、巨大マナチャージクリスタルを手に入れた冒険において、防衛戦をした時のこと。
もう一方の門をNPCである冒険者一党に任せていたのだが、お約束と言うべきか、彼らがやられたと聞いて至急応援に向かった、という流れがあった。
GM/ヒルダ:「おお、すばらしい。一掃しているな。よし、この場は警邏隊に任せ、君たちにはもう一度うちの館に来てもらいたい。報酬のことも含め、話したいことがいくつかあるんだ」
カザリ:「わかった」と〈獣変貌〉を解いて言います。
GM:ガウガウ?
カザリ:解いてから、つってるだろ!
ケルル:大丈夫、『リカント語』は履修済みだ、翻訳できるぞ。
カザリ:あ、そっか。
GM:では、君たちはヒルダに連れられて、すっかり夜となったロヴェスの街を移動します。その最中、君たちは奇怪なものを目にすることになります。
アンヘル:お?
領主館への道のり。砂の都らしい砂利避けの布や日差しを遮る天幕などの見られた通りに、異様な物体が突き刺さっていました。
風体は、まさに『杭』。硬い地面に突き刺さり、沈黙を保つそれはどう見ても魔動機械です。
最も異様な点は、これが街の至る所――地面、壁、果ては天幕にまで突き立っていること。砂の都の異国情緒あふれる景観を完全に打ち砕く、正体不明の無数の機械が街にあふれかえっていたのです。
当然、街へ来た時、そして襲撃現場へ向かう最中には存在しなかったものです。
ラス:なんじゃこりゃあ。
GM:ヒルダもそれを険しい表情で睨みつけ、一つ回収して館への道を急ぎます。
カザリ:心当たりあるか聞いていい?
GM/ヒルダ:「わからない。だが今回の襲撃と無関係ではないだろう。それも含めて館で話をしたい」
カザリ:なるほど。
ケルル:じゃあ、こっちでもいくつか拾っときたいな。どんくらいあるの?
GM:あふれかえるほどありますね。
カザリ:じゃあ俺もとりあえず1本。
ケルル:全員で拾えるだけ拾ってもよくない?
GM:んー、(後のことも考えると……)移動しながらなので、一人1本拾ってもいいですよ。
ケルル:じゃあみんなで5本もっとこう。
メガ・ドラ:はーい。
GM:それでは、あなたたちは領主館の執務室と思われる部屋に通されます。
そこでまず、ヒルダは机の下から銀貨袋を取り出してどん、と机に置く。
GM/ヒルダ:「まずはこれが今回の緊急依頼の報酬だ。急だったことに即応してくれたことを高く評価したい。一人『2000ガメル』だ」
ケルル:ぴょんと跳ねながら真っ先に受け取ります。
アンヘル:グラスランナーだなぁ。
GM/ヒルダ:「さて、一段落したところで悪いが、更に依頼をさせてもらいたい。これは、この街でも一際高い実力を持つ君たちにしかできないことだ」
カザリ:「お話を伺いましょう」
GM/ヒルダ:「そのためにはまず、現状の説明をさせてもらいたい。先ほど君たちのところへ行く前に、〈守りの剣〉の様子を確認してきた。事態は想像以上に悪い、どこのクズがやったか知らないが、〈守りの剣〉は破壊されていた。守護させていた衛兵を殺して、な」
カザリ:ウワオ。「計画的犯行に思えますね」
GM/ヒルダ:「ああ、おそらくは。今回の襲撃のタイミングからしてそれは明らかだろう。つまり、現状、この街は蛮族どもの侵攻に対し無防備であり、しかも相手はそれをわかっている状況だ」
アンヘル:まずいねぇ。
GM/ヒルダ:「しかも、君たちも見ただろうが、街中に謎の魔動機械が設置されている。これも蛮族どものなんらかの計画の一部と見られる」
ケルル:そう思うのが自然かね。
GM/ヒルダ:「そこで君たちに頼みたいことは、三つ。一つは『〈守りの剣〉破壊の犯人捜し』。二つに『魔動機械の回収』。三つに『夜間に来るであろう襲撃への備え』だ。やることは多いだろうが、その働きに見合う報酬を出す」
ラス:やることいっぱい。
GM/ヒルダ:「『犯人』を見つけ、確保した場合は一人当たり5000ガメル。最悪生死は問わない。そして『魔動機械』を回収した場合は、一つにつき200ガメル出す」
アンヘル:もう1000ガメルだ。やったね。
GM/ヒルダ:「最後に、『襲撃に対応』してくれたとき、一回につき一人当たり2000ガメル出す。もちろん、襲撃にはほかの冒険者や警邏隊も対応するので君たちでなければならないわけではない。が、君たちほどの戦力を遊ばせる余裕がないことも理解してくれ」
ケルル:ふむ。じゃあ、「こっちもさっきの戦いでそれなりに消耗してるんだけど、すぐ動け、って話ならHPやMPを回復する手段が欲しいな」
GM/ヒルダ:「わたしとしては、一晩休んでもらってからでいいと思っている。今夜ばかりは他の冒険者や警邏隊を動員させるから、仮に襲撃があったとしても君たちの出番は作らないさ」
ケルル:ほー。そういうことなら。
GM/ヒルダ:「当然だが、明日の式典は中止だ。国王にもそう伝えてある。明日は忙しくなるぞ」
カザリ:ああ、そうだ。「ローレッタさんはどうなんですか」
GM/ヒルダ:「……ハッキリ言うと、今も連絡が取れていない」
アンヘル:黒幕……(ボソッ)
ケルル:しーっ。
カザリ:やられてるだけかもしれんやろ! 「居たら力になってくれたでしょうにね」
GM/ヒルダ:「ああ、まったくだ」
ケルル:「じゃあ、機械回収のためにも街の地図ちょうだいよ」
GM:その言葉を待っていた。地図を表示します。
ここでは画像を表示できませんので、簡易的に示します。
街を5マス×5マスの25マスで表し、その中にロケーションが散りばめられている感じです。
====
【PC版向けMAP】(□□□=空白マス)
[鉄道] |[□□□]|[北門] |[神殿] |[□□□]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[倉庫] |[領主館]|[□□□] |[□□□] |[詰所]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[□□□]|[□□□]|[守りの剣]|[冒険者の宿]|[東門]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[西門] |[市場] |[市場] |[市場] |[□□□]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[住宅街]|[住宅街]|[住宅街] |[南門] |[マギテック協会]
====
【スマホ版向けMAP】
[01]| |[02]|[03]|
―――――――――――――――――――
[04]|[05]| | |[06]
―――――――――――――――――――
| |[07]|[08]|[09]
―――――――――――――――――――
[10]|[11]|[11]|[11]|
―――――――――――――――――――
[12]|[12]|[12]|[13]|[14]
―――――――――――――――――――
01=鉄道 02=北門 03=神殿
04=倉庫 05=領主館 06=詰所
07=守りの剣広場 08=冒険者の宿
09=東門
10=西門 11=市場
12=住宅街 13=南門
14=マギテック協会
====
地図に関しては「なんとなく」でご理解いただけると幸いです。
アンヘル:マギテック協会あんじゃん。
ケルル:住宅街の場所ひどくね?
カザリ:冒険者の宿外側でいいよな。
GM:立地的なツッコミは基本的には受け付けマセーン。
アンヘル:こいつ……(笑) とりあえず、マギテック協会でこの『杭』について調べたいよな。
GM:ヒルダにこの場で聞くことがないなら、あなたがたは今夜から行動を開始してもいいし、一晩休んでも構いません。
カザリ:HP削れてる前衛は休んでおきたいよね。
メガ・ドラ:休みたいでーす。
GM:宿泊は、ロケーション的に言うと[08冒険者の宿]になります。
ケルル:元気のある自分は『杭』集めでもしようか? ラスくんはどうする? MP削れてるけど。
ラス:行動してもいいかな、って思ってます。
GM:ではその前に、このマップで行動するにあたり、以下のルールがあることをお伝えしましょう。
――――
■ロヴェスMAPの行動ルール
・1日=24時間。時間帯によって各マスでの調査結果が変化することは、基本的にない。(夜間襲撃は別)
・行動は基本的に各マスで行う。無論街の外に出るのは自由。
・隣マスへの移動は30分かかるものとする。ただし、『全力移動』として、「1d6点」のHPダメージを受ける代わりに5分程度の短時間での移動は可能。
・名前のあるマスには『馬車』が存在し、一人あたり20G支払うことで、他の名前のあるマスに30分で移動できる。
・各マスでの調査にかかる時間は、最低30分。追加で何か調査を行った場合、適宜所要時間を教える。
・調査とは別で、全てのマスで2人までが<魔動機械回収判定>を行うことができる。『2d+冒険者Lv+器用B or 知力B』で判定し、達成値によって無傷で回収できた魔動機械の数が決定される。この行動は30分かかるものとする。
・合計6時間の睡眠を行わず翌日朝6時を迎えた場合、全ての判定に「-4」のペナルティを受ける。
・完全に日が落ちるのは18時とする。
――――
ケルル:現在時刻は?
GM:21時としましょう。
カザリ:はい質問。睡眠ペナルティは、昼寝とかで解消されますか?
GM:んー、されるとしましょう。六時間の昼寝で解消とします。その日の分の睡眠時間には加算しません。
アンヘル:現在位置は?
GM:[05領主館]です。
カザリ:まあ、俺たちは[08冒険者の宿]に行くか。馬車で。
ケルル:こっち(ケルルとラス)はここで回収作業してみるか。<冒険者Lv+器用Bor知力B>だったね。……12、でも1ゾロ!
ラス:14です。
GM:1ゾロは……0個だけど50点にしとこう。ラスは2個見つけました。
魔動機械:5→7
GM:では時間を揃えて21時30分です。ここでラスとケルルの方でイベントが挟まります。
ラスとケルルは領主館を出て周囲の捜索を行いました。
ここにも当たり前のように杭が突き刺さっており、ラスはどうにか引き抜くことができます。
そして同時に気付くことがあります。
周囲を、ハーヴェスの冬場のような冷気が覆っている――と。
砂の都の夜は確かに冷え込むものだが、それにしたって寒すぎる。異常気象の文字が頭に浮かぶほど、吐く息が白くなっていました。
いや、気候そのものが、ではない。ラスはそう気づきます。
ここだけ――いや、この『魔動機械』の周りだけ、霜が降りたように冷たいのだ、と。
『杭』によって冷え込んだ大気が、このロヴェスを包んでいることでしょう。
ラス:うーん。なんだろう。
カザリ:まあ、とにかく行動しようか。寝る前に宿で情報収集したいな。
GM:どういった旨で情報収集を?
カザリ:そうだなぁ。俺らが向かわなかった東門での敵の情報とか、まだ行けてない街の様子とか。あと、従来から街に居る連中にこの街の以前の状況とか聞けたらいいな。
GM:では、ルルブⅡの<聞き込み判定>を行ってもらいます。今回は、そちらが『任意の技能』を指定し、どのような聞き込みを行ったかを決めて構いません。
カザリ:んー? 『グラップラー』で聞きこんだとするとどうなるの?
GM:グラップラー技能でどうやって人から話を聞き出したか、一緒に考えてくれるとGMは非常に助かります(笑)
カザリ:ええー(笑) じゃあ、とりあえず『スカウト』で。情報収集能力のありそうな技能だし、そういう話術を使ったということで。……14!
GM:では、あなたと同じ『スカウト』をもつ冒険者と情報の交換を行えます。
GM:「お前らは南へ行ったのか。俺たちは東で『トロール』率いる『スケルトンソルジャー』とかとやりあったな。そんで、なにがあったか知らないが、ドンパチしてるあいだに街中に魔動機械が設置されたらしいな。それを回収すればヒルダ様から特別に報酬がもらえるらしいぜ」
カザリ:「なんか、魔動機械になにかしらの心当たりはないか?」
GM:「うーん、ないなぁ」
アンヘル:「魔動機械ならマギテック協会に持って行ったやつはいないのか?」
GM:「魔動機械は[04倉庫]に集めて、ついでにそこで研究するらしいぜ」
カザリ:協会から人が派遣される感じかな。
アンヘル:それじゃ、俺とメガ・ドラは機械回収するか。……16。
メガ・ドラ:13です。
GM:2個と1個ですね。
魔動機械:7→10
GM:それじゃあ、ちょっとカザリはここで<冒険者Lv+知力B>で振ってみてください。
カザリ:あいよ。18です。
GM:おお。それではあなたは、依頼の貼りだされたボードに目が留まります。一枚だけ、ぷらぷらと揺れながらボードに残っている依頼書がありました。
――――
『東の森の調査依頼』
依頼主:狩人のオーニール
依頼内容:近頃、東の森の動物の様子がおかしい。グレイリンクスなんていう凶暴な奴の痕跡が見受けられた。蛮族らしき足跡も見つけたし、何かの予兆かもしれない。とにかく、グレイリンクスの討伐と森の調査を頼みたい。
報酬金:一人800G+応相談
――――
カザリ:ほう。東の森、ね。これ、依頼主のことって教えてもらえるの?
GM:宿の店主に聞く形ですかね。「おいおい、今日からしばらくは依頼は受けられないぜ」
カザリ:「いや、受けるつもりはない。ただ、この依頼主の知ってることが今回の騒動と関係があるかもしれなくてな。話を聞きたいんだ」
GM:「なるほどなぁ。そういうことなら……今はもう夜も遅いし、明日の朝9時ごろにこの宿に来るよう伝えておくが、どうだ?」
カザリ:「ぜひお願いする」。こんな感じかな。
GM:了解です。一方後衛組はどうしますか?
ケルル:どうする? 馬車で[14マギテック協会]行く?
ラス:行きましょう。
GM:はい。二人が移動し、22時00分となりました。聞き込みと機械回収を終えた前衛組から行動しますか。
カザリ:んー、寝てもいいんじゃない?
アンヘル:賛成。
GM:何時ごろ起きます?
カザリ:睡眠は六時間でいいそうだけど、約束は9時だから早く起きすぎてもな……じゃあ、とりあえず5時00分起きで。
GM:七時間睡眠ですね。では後衛組です。
ケルル:片方が協会の中で調査して、もう片方が『杭』探しでいんでない?
ラス:それがいいかと。
ケルル:じゃあ、まあ、バードだしスカウトだし自分が調査してみようか。中はどんな感じ?
GM:[14マギテック協会]は、現在非常事態に伴い忙しなく働いている様子です。話を聞くなら<聞き込み判定>を振ってもらいましょう。
ケルル:じゃあ『バード』のよく通る声で話しかけましょう。(コロコロ)18。
GM:では、受付の女性が反応してくれます。「あら、なにか御用かしら」
ケルル:「街中にある変な機械回収したんだけど、ここで見てくれるの?」
GM:「ああ、それね。それに関しては『ガロック博士』に一任してるわ。基本的に[04倉庫]ですし詰めになって研究してるはずよ。結果はもちろんこっちにも送ってくれるらしいけど」
ケルル:なるほど。
GM:それでは、そうですね。ケルルはとあることに気付きます。受付カウンターの隅っこに、書きかけの紙を見つけました。見覚えのあるそれは、冒険者の宿に依頼を出すために記入する『書きかけの依頼書』だとわかります。
――――
・書きかけの依頼書
『遺跡の調査依頼』
依頼主:マギテック協会
依頼内容:東にある魔動機文明時代の遺跡の再調査をお願いします。一週間前、協会メンバーが遺跡で未調査区域を発見していたことが発覚したためです。元々が研究施設とおもわれる遺跡なので、学術的価値は非常に高いと思われます。無用な破壊行為は慎んで調査を行ってください。
報酬金:一人当たり ガメル+応相談
――――
ケルル:ほう。また『東』か。しかも遺跡ときた。ま、覚えときます。
ラス:じゃあ回収判定。……12。
GM:1個回収しました。22時30分です。
魔動機械:10→11
ケルル:ふーむ。移動考えるとあと一か所調べて寝るのがいいかね。
ラス:そっすね。
ケルル:個人的に[03神殿]気になるのよね。
ラス:行きましょう。
GM:では馬車で移動して23時00分。到着したのはライフォス神殿。さすがに夜とあって人気は少ないようです。
ケルル:常駐の神官さま居るでしょ。さっきと一緒で聞き込みいきまーす。「ごーめーんーくーだーさーい!」がんがんがんっ!
GM:「なんです騒々しい。時間と場所を考えなさい」
ケルル:居た。「いまちょっと街の騒動を調べてるんだけど、ここにはなにかなかった?」
GM:「変なことはありませんでしたが、〈守りの剣〉を守っていた勇敢な衛兵たちの亡骸を預かっています」
ケルル:なるほど。「申し訳ないが死体を調べさせてもらっても」
GM:「いや、あなたが何者かもわからないというのにそのような真似は許すことはできません」
ケルル:あ、そっか。でも〈守りの剣〉壊されてるんだしそんなこと言ってる場合じゃなくない?
カザリ:いや、領主から直接依頼されてること話せばいけない?
GM:ヒルダから依頼書をもらってることにしても構いませんよ。
ケルル:それだ。「これ! 領主から依頼されてる!」
GM:「本物の様ですね。それならば中へどうぞ」死体を調べるならば、<スカウト観察判定>をしてもらいます。
ケルル:ころころ。うっ、10だ。
GM:うーん、それではわかることは多くはありません。死因が剣と爪である、ということしかわかりません。
ケルル:うわあ。それがわかればいいや。ラスくんどーぞ。
ラス:はーい。<機械回収判定>……20!
GM:3個ですね。
魔動機械:11→14
GM:時間は23時30分です。
ケルル:馬車で宿に行って24時。寝まーす。その前にもちろんわかったことをメモにして、「6時まで寝る」と書き殴ってスヤァ。
ラス:スヤァ。
GM:では、5時まで時間を進めます。
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