導入:砂の都ロヴェス
今回からスタートするリプレイは、キャンペーンの真っ只中、PLによっては七度目のセッションとなります。
予定のあうPLが三人程度揃えばシナリオを回す、という遊び方をしている関係上、PLそれぞれで参加セッション数がかなり違います。
カザリにとっては七回目の、ケルルにとっては六回目の、メガ・ドラとラスにとっては四回目の、そしてアンヘルは二回目のセッションです。
公平性、ゲーム性を考え、全てのPCの経験点はある程度(1ゾロなどによる50点以外で)揃うように調整しております。
今回のコンテストに参加したいからという雑な呼びかけに応じてくれた五人にこの場を借りて感謝を!
キャラ名:「発言」 =キャラクターとしての発言
キャラ名:発言 =プレイヤーとしての発言
という認識でリプレイをお楽しみください。
――――――――
GM:さて、それでは今日のセッションを始めていこうと思います――の前に。えー、今回のセッション内容をリプレイ化しようと思ってるので、折角だからキャラクターの紹介をしてもらおうかと思います。
PL一同:イエーイ!
PL5:ハジケればいいんだろ? 任せろ。
GM:ほどほどにお願いします(笑)。では、カザリから!
カザリ(PL1):はーい。カザリさんは、失われた文明や未知の知識を求めて旅に出たリカントです。今は、なんだかんだで仲良くなったパーティの皆と様々な冒険に出かけています。投げップラーやってます。
最もセッションに参加してくれているカザリ。投げからの踏みつけコンボは優秀なダメージソースであり、さらには転倒デバフで味方の支援すらこなすパーティの中核的存在です。
GM:次はメガ・ドラさん、どうぞ。
メガ・ドラ(PL2):はい。魔剣の迷宮で迷子になり、それを助けてくれた冒険者を探しに冒険者になったリルドラケンです。斧を振り回すファイターやってます。よろしくおねがいします。
ラスと同じく四回目のセッションとなるメガ・ドラ。〈全力攻撃Ⅰ〉を組み合わせた斧の火力は凄まじく、当たりさえすればほとんどの敵が瀕死になってしまうほど。
SW2.5のセッション参加数はそのままTRPG経験数という初心者さん。
GM:ではアンヘルさん、お願いします。
アンヘル(PL3):鉄道に感銘を受け、ストラスフォードを信仰するようになった神官戦士のリルドラケンです。はやく鉄道都市に行きたいです。
GM:サプリメント買ってないからそれまで待って!
キャンペーンの参加数は二回目と少ないながらもTRPG経験はそれなりのアンヘル。防護点が「11」とパーティ屈指の数値を誇り、防御の薄いカザリなどを守る防御の要となっている。
本人曰く、ストラスフォードを選んだのは「浪漫」。
アンヘル:我慢できなくなっても知らんぞー!
GM:(笑)えー、続けてラスさん、どうぞ。
ラス(PL4):『なりゆき』で冒険者になったラスです! ソーサラーしてます。仲間ごと魔法で吹っ飛ばすのが楽しいです。よろしくおねがいします。
カザリ:〈魔法制御〉覚えたでしょ!
メガ・ドラと同じく、TRPG初心者のラス。ソーサラー4になってから覚えた〈ライトニング〉がお気に入りで、〈魔法制御〉のなかった過去セッションにおいて敵味方を選ばず猛威を奮った。
GM:最後にケルルさん、お願いします。
ケルル(PL5):グラスランナーの女の子で、バードをしつつアルケミストを極めんとしているケルルでーす! そのうち爆弾も使いたいです。よろしくお願いしまーす。
カザリ:物騒……!
純サポーターを自称するケルル。驚くべきことに保有する技能がすべてテーブルBであり、成長のしやすさと取得しやすさが相俟って技能レベルがとても高い。
この娘の支援が手厚いおかげで、このパーティは格上とも十全に渡り合えていると言える。
GM:はい、ありがとうございました。以上がPLによるキャラクターの自己紹介でした。
それではさっそく、シナリオ名【砂の都戦線】を始めていきましょう!
PL一同:イエーイ!
GM:まずは導入――とする前に、本シナリオに直接関係のある過去セッションの内容をサラッとおさらいします。参加できなかった人がいますからね。
アンヘル:おっ、よろしく。
それは遡ること二週間以上前のこと。
あなたたち冒険者は、とある村から依頼を受けました。
内容は、「隣村の調査依頼」。隣村から村人の一人が命からがら逃げだしてきて、そのまま意識を失ってしまった。状況が分からないので見に行ってほしい、というもの。
さっそく依頼を出した「アコイ村」に到着した冒険者たちですが、なんとそこで魔物の襲撃が発生。これを居合わせた冒険者PTと一緒に撃退しますが、まだまだ来るという情報を得て、防衛戦に移ります。
迫りくる蛮族と魔神の連合軍をバッタバッタとなぎ倒し、最終的には“二つ名”を持つディアボロカデットさえも撃破。
どういう原理か、その蛮族の背後にあった『
これを国に高値で売りつけることで、冒険者たちは大金を得たのでした――。
アンヘル:冒険してるねぇ。
カザリ:メガ・ドラの魔斧もこのセッションで敵が持ってたのをゲットしたんだよね。
メガ・ドラ:そうでしたね。
GM:この巨大マナチャージクリスタルは、魔動列車の機関部にすることができるほどのものです。よって、これを寄贈(好意的表現)したあなた方は国の覚えもめでたい、というところから今回の導入は始まります。
ラス:おー。
GM:あなた方が拠点にしている冒険者の宿に、仰々しい恰好をした騎士が、『招待状』を持ってきます。もちろんあなたたち冒険者パーティを名指しで。
――――
『招待状』
差出人:砂の都“ロヴェス”代表ヒルダ・アークロイド
内容:
この度、ラージャハ帝国と我らがハーヴェス王国間を繋ぐ『ロヴェス鉄道』の開通式に、皆さまご一行を招待させていただきます。
皆さまの尽力によって得られた巨大マナチャージクリスタル、それが立派な魔動列車となり、こたびの両国の架け橋となりました。
その素晴らしい働きを我らが“導きの王”ヴァイス国王はお認めになり、今回の式典に来席することを強く願っております。
帝国と積み上げてゆく偉大な栄華の第一歩となる『鉄道開通式』に、ぜひともお越しくださいませ。
(高級馬車の乗車券と道中の街での宿泊券が人数分同封されている)
――――
ケルル:乗車券と宿泊券転売しようぜ!
カザリ:やめなさい(笑)。えっと、ロヴェスってどこ?
GM:<セージ知識>または<バード知識>に成功すると知っているでしょうね。
ラス:セージあるので振ります……12!
ケルル:バード知識振りまーす、13!
GM:二人ともロヴェスについて知っていたようです。
――――
・砂の都“ロヴェス”
ハーヴェス王国領土、最北の街。
ジニアスタ闘技場から東へ一時間の距離に位置しており、ラージャハ帝国・マカジャハット王国・ミラージ共和連邦の三国との交流、通商を担う重要地点。
カスロット砂漠の端に存在するためにその通称は『砂の都』。
他国との折衝を担う関係上、様々な人種が入り乱れており、その騒々しさは水都をも上回る。
ロヴェスでの有名人と言えば、“炎剣使いヒルダ”、“氷剣使いローレッタ”の二名。
前者は街の代表として就任しており、後者は街の警邏隊の隊長として街の安全を守っている。
――――
GM:これは私の考えたオリジナルの街ですね。ルルブのブルライト地方のマップを見つつ、だいたいの場所は把握しておくと面白いかもしれません。
カザリ:了解です。
アンヘル:このヒルダってのは招待状の送り主か。有名人なの?
GM:それに関しても、<セージ知識>または<バード知識>に成功すると知っているでしょう。
ラス:うーん、10。
ケルル:14だ。
GM:では、ケルルはバードとして、この二人の活躍を聞いたことがあるのでしょう。
――――
・『氷炎姉妹』について
二年前までハーヴェス王国北部を中心に活動していた中堅冒険者PT。
魔剣使いの女性二名で構成され、二人に血縁関係はないもののその息の合った連携は姉妹と呼ぶにふさわしいものだった。
紅蓮の炎を放出する“炎剣フラムルス”の担い手ヒルダは炎に負けない赤髪の女性。正義感に溢れる人情家。
あらゆるものを凍てつかせる“氷剣グレシャール”の担い手ローレッタは輝く銀髪の女性。冷静沈着であり、PTの頭脳を担っていた。
現在両者は冒険者家業を勇退し、砂の都にて重要なポストに収まっているという。
――――
ケルル:炎に氷ね。
GM:事前にわかる情報はこんな感じです。それではロヴェスに向かうということでよろしいですね?
カザリ:オッケーでーす。
事前情報の確認を終えた冒険者たちは、普段あまり関わりのない高級馬車に乗せられてハーヴェスを出立します。
日程としては三日の旅路。その間のいずれにおいても高級宿での宿泊であり、下にも置かない歓待ぶりに驚かされることでしょう。
「国王に認められた」、この文言は嘘ではないということです。
そんな旅路の末に、あなたがたは砂漠を眼前に据えた街、ロヴェスに到着します。
ケルル:とうちゃーく。
気候はからりと乾燥し、照り付ける太陽が肌に焼き付くように暑い。足元でじゃりじゃりと音を立てているのは砂漠の砂かもしれない。
砂の都に到着したことを実感したのは、街中の高級宿の前に下ろされたその瞬間のことでしょう。
宿の前で君たちを待っていた衛兵が、声をかけてきます。
GM:「ようこそ砂の都ロヴェスへ。あなたがたが――」……。
アンヘル:どうした。
GM:パーティ名決めてないじゃん、君たち。
カザリ:決めてないねぇ。
七度目のセッションだというのに、パーティ名に一切触れてこなかったこのメンツ(GM含む)。今更不都合が出たので、急遽ここで決めることに。
ラス:名前考えるの苦手っす。
カザリ:うーん、異種族……だけじゃないしな。
メガ・ドラ:困った。
ケルル:じゃあ【ハイエース】で。
アンヘル:おっま(笑)
当然、発言した当人はネットスラングに用いられる車種のつもりで言っている。
アンヘル:あれだよあれ、【更なる高みへ】とかそんな感じの意味で【ハイエース】だよ。
ケルル:そうそう! 決して連れ込――とかじゃないから!
カザリ:言うな言うな。アウトアウト。
GM:ではそれで。「あなたがたが【ハイエース】の皆さんですね」
アンヘル:字面が面白すぎるんだが。
GM:「ヒルダ様が、『ささやかながら歓迎したい』とお食事会をご用意しておいでです。荷物はそのままで結構ですので、どうぞこちらへ」と君たちを案内します。
そういって衛兵に案内されたのは、街中の立派な館です。
『領主館』と表現するに相応しい館の玄関の前で君たちを待ち受けていたのは、剣を腰に帯びた、赤髪の女性でした。
GM/ヒルダ:「やあどうも、初めまして。私がロヴェスの代表をしているヒルダだ」
カザリ:「初めまして。ハイエースのカザリです。この度はお招きいただきありがとうございます」
GM/ヒルダ:「そう固くならなくていい。平民上がりのなんちゃって領主なんだ、気楽にしてほしい。君たちをぜひ歓迎したくて、ささやかだがおいしい料理を用意させてもらった。ついてきてくれ」
ケルル:ついてきまーす。
GM:はい。彼女に案内されて、食事会の席に着きます。彼女以外には参加者は君たちだけの様です。
カザリ:ほう。
GM/ヒルダ:「ローレッタの奴も呼んだんだが、忙しいらしくてな。昔からいつもそうなんだ。まあ、明日の開通式ではさすがに会えるだろうから、楽しみにしていてくれ」
ケルル:「はーい」
アンヘル:「どうして彼女は来れないのだ?」
GM/ヒルダ:「あいつは警邏隊の長をしていてね。明日の調整で忙しいんだろう。なんせ連絡も返さないくらいだからな、ハッハッハ」
ラス:あっ(察し)
アンヘル:これもう死んでそう。
ケルル:魔剣が手に入るね!
GM/ヒルダ:「さて、君たちの冒険の話を聞かせておくれよ。代表をするようになってから冒険とは縁遠くてね」
カザリ:かくかくしかじか。
GM:では、そうやって冒険の話をしている――最中のことでした。
カーンカーンカーン――!
鋭い鐘の音が街中に鳴り響く。
騒々しい足音が聞こえてきたかと思ったら、次の瞬間、食事をしている部屋の扉が荒々しく開け放たれた。
扉の向こうでは衛兵の男が肩で息をし、焦燥に塗れた表情で立っていた。
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