(11)
「あの……何の用かは知りませんが……冗談抜きで、これマズいでしょ……」
マンションに来た猿渡のおっちゃんは、部屋の片隅に転がってるクソ妹とクソ義弟を見て、そう言った。
「ところで、これ、誰だと思う?」
そう言って、俺は
「え……えッ?」
一瞬、猿渡のおっちゃんは、その写真に写ってるのが誰か判らなかったようだ……。
おいおい、冷たい父親も居たもんだな。
「……あ……あの……ま……まさか……」
「別れた奥さんに引き取られたとは言え、可愛い子供さんの写真だ。猿渡さんのとこに送って……」
「やめて下さい、接近禁止命令が出てんです。万が一の場合、こんな写真が送られた履歴が見付かっただけで……」
猿渡のおっさんは、
「いや、偶然、俺の友達が見付けちゃってさ……」
「絶対に偶然じゃないだろ……」
「偶然だよ、偶然」
以前、このおっちゃんと飲んだ時に聞き出した元カミさんと子供達の特徴を仲間達に送ったら……
「
「いや……待って下さい……その……」
「あのねぇ、おっちゃん。警察を馘になった人を、ウチの親父が何で飼ってると思ってんの? こんな時の為でしょ。給料分の仕事してよ」
「給料出してんの、あんたじゃね〜だろ……」
「あ……なら、この写真を撮影したヤツが、おっちゃんの娘さんに、ちょっと、ご挨拶するよ」
「何者だ、そいつは……?」
「普通の温厚な友達だよ……。ただ、小学生の女の子を望遠レンズで撮影するって、変な趣味が有る以外は……」
「ふ……ふざけ……」
「あ……その友達には、日に一回、連絡する事になってて、連絡が途絶えた日の翌朝には、娘さんにご挨拶に行く手筈になってるから……」
「あ……あんた……何で、こんな事にだけは頭が回るんだ?」
「あのさ……マジで気付いてないの?」
「何が?」
「おっちゃんと飲んだ時に聞いた、おっちゃんが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます