第5話


山野井さんが倒れていた場所から俺の部屋は滅茶苦茶近くて。五分くらいで

部屋の前に到着した。


それだけがなんか救いだった。


山野井さんをそっと下ろし、

立たせた。


鍵を開けて、


「着きました。ここ、俺ん家です」


と告げると。


「知ってるよ...207号室だよね...」


「あ、はい」


フラフラしながらも。


山野井さんは

部屋に入って来た。



それからキョロキョロと辺りを見回し、

「トイレどこ?」


と尋ねてきたので、


「あ、えっと、このドアの向こう...」

と教えたら。


「借りるね...」


と呟き、彼女はトイレに消えて、

暫く戻ってこなかった。





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