第2話

「ちょ、山野井さんですよね...?

びしょ濡れでいるから、普段のビシッとした面影あんまないんでほんとに俺の上司の山野井さんかどうか自信ないんですけど...!」


「どうしたんですか...!?」


どことなく目が赤いし、ほっぺも赤いから

酒臭いとまではいかないんだけど、

多分だけど!山野井さんお酒でも飲んだんじゃないか?と勝手に思った。


でもな、たしか、会社の忘年会では

俺のすぐ隣にいて、酒なんか、ビールなんか、

はたまた甘いカクテルなんかも一滴も飲まずに、烏龍茶を飲んでいた、そんな記憶しかない。


俺の記憶上では。


山野井さんは会社の飲み会は参加していたけど、口にするのはコーラとか、オレンジジュースとかそのへんのものばかりで。


酒は飲めないんじゃなかったっけ...?


「し、しっかりしてくださいよ。

山野井さん。一体全体、どーしちゃったんですか?目はどこか、焦点が合ってないですし。

それより、なんで、全身濡れているんですか??紺色の高そうなスーツが見るも無惨にびちゃびちゃだった。ふと、肩を見ると。


濡れ落ち葉がくっついていた。


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