第119話 演出プラン
一度孤児院を出て、子どもたちにどう魔法剣を見せるかプランを練る。ただ出来る魔法剣をパッパッと切り替えるのではなく、子どもたちに楽しんでもらえるように魔法剣を見せるべきだろう。
まず何の魔法剣を見せるかだが、炎の魔法剣は絶対に見せたい。俺の原点でもある上に、やはり俺が使えるどの魔法剣よりも見映えがいい。夜闇に煌々と輝く炎は何といっても幻想的だ。
暗くなった外で見せることを考えれば、光るものが映えるのは間違いない。そうなると、候補として上がるのは雷と光だ。
雷は、炎とはまた違った趣がありよさそうだが、光はなぁ……まだあんまり得意ではないのだ。
魔法としての「ブライト」は実際にモンスターの目くらましに使えるほど上達したのだが、魔法剣で使うと薄っすらと剣が光る程度なのだ。
実戦では、ブライトが使えれば光の魔法剣として使う必要がないので、纏わせる練習をあまりしようという気が起きず、ブライトの習得からは時間が経った今でも魔法剣では使えていないのが現状だ。
薄っすらと光る程度だからこそ、直視できるため披露することはできそうだが……これを他の人に見せるのは、自分の未熟さをさらけ出してしまっているようで気が進まない。
しかしその意地のようなものだけで、選択肢から外してしまうのは……とりあえず試してみて、それから考えるか。
村の真ん中で剣を抜くのはまずいので、俺はギルド近くの山まで歩き、ついでに宿を取ってくることにした。
「これはなかなか……」
背の高い木々で覆われた薄暗い場所で試してみたところ、光の魔法剣は思ったより綺麗だった。ポゥと仄かに光っている剣は、儚げで魅力的だった。
昼間にしか使ったことがなかったから、こんなに綺麗だとは知らなかった。帰ったら師匠にも見せようかな。
この光の魔法剣も使うとして、他の水、風、土、氷の魔法剣は──暗いとあまり魅力が伝わらないだろう。土は見た目が地味だし、風は見ただけでは分かりづらい。水と氷は──特に氷は綺麗なのだが、やはり暗いところだと難しいだろう。
だから魔法剣の種類は火、雷、光の三つに絞るとして……順番は光、雷、火の順で──暗闇からぽぅっと仄かに光の魔法剣が現れ、そこから青白い雷に変化し、最後は燃え盛る炎で締める。
これを普段やっている型稽古の動きと組み合わせれば──うん、なかなかいいんじゃないだろうか。
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