第7話
「ここが奴隷商館≪目的地≫だ」
それはそれは大きい建物の前にいる。
「基本的に1階で受け付けをする。2階から上の階で奴隷を見ることができる。地下は犯罪奴隷だ。お前らは用はないから行くことはないな」
「学園の皆様、お待ちしておりました。当商館代表のインデウム・ローデリウスでございます。」
「インデウム殿、この子らに冒険者のための奴隷を用意したい」
「・・・でありますと、いつものように10枚での価格で?」
「この5人はそれで。ほかの7人は自分の予算を確認していただき、個々人での購入をお願いしたい」
「承知いたしました。そうしましたら、先に支援範囲での奴隷のご紹介を先に担当に行わせます。並行して、私がご予算とどのような奴隷をご所望かを伺ってからご案内をいたします。」
みんなそれぞれ希望を伝えていく。
ちなみに俺は、もともと考えていた<回復>が使えて、<鍛冶>ができそうなタイプで尚且つ〈冒険者登録したことのない人物〉を希望した。
武器を新調するのに、鍛冶屋の息子のユージンにお願いするのも考えたけど、
1人ソロで活動していた時に、緊急対応ができる方が良いかなってね。
みんな契約を終えて、アーマルドは最後の案内だった。
最低限の服・・・というより布を羽織った奴隷たちが案内されたてきた。
「ご希望された<回復・鍛冶>が使える奴隷でございます」
「ありがとうございます」
・・・男の奴隷がいないんだが?
「回復が得意で鍛冶もできるとなると、女奴隷の方が多く・・・ちなみに、夜伽も可で皆、生娘でございます」
アードの顔を伺っていたのか、インデウムは一言添えた。
「なっなるほど・・・」
そういうことじゃなくて・・・
にしても、やっぱ亜人族が多いのか・・・
エルフ・ダークエルフ・猫耳族・犬耳族・餓狼族・ドワーフetc.
みんなどこか怯えている。
そりゃ奴隷として売られて、主人には何されるか分かったものんじゃないからな、不安や恐怖があってもしょうがない。
・・・にしても、どの種族も恵体だなぁ・・・
ダークエルフに至っては、前世含めて出会った女性の中で過去一番の大きさ・・・
推定Iカップ・・・
身長は小さめ・・・・
ダークエロフ・・・
・・・って違う違う。
そこばっか見てるとみんなになんて言われるか。
でもなぁ・・・巨乳いや、爆乳は男のロマンだよなぁ・・・
「えっと・・・自分のステータスと回復・鍛冶で何がどこまでできるのか教えてもらおうかな」
「キャッスルフォルト様、種族によって金額が大きく違いますが、ご予算は・・・」
「・・・ちなみに、ここにいる奴隷の価格は?」
「全員金貨になりまして、エルフが100枚・ダークエルフが200・猫・犬耳族は10・餓狼族は50・ドワーフ30となっております」
・・・エルフ・ダークエルフが以上に高い。
まじか・・・銀貨1枚が1万円だとしたら、ダークエルフあの爆乳は・・・2億円!?
豪邸と同じレベルですかいな・・・
「大丈夫です。何とかなります。」
ダンジョンなどに連れていくとなると、自分の命がかかっている。
出し惜しみをして購入して、死んでしまったら元も子もない。
ここは貴族パワー実家のお金を使おう。
でも、奴隷って高すぎない?
いや、この世界の物価がおかしいのか?
「では、ステータスを。」
話を聞く限り、回復が得意なのはエルフ・ダークエルフ・猫耳族。
鍛冶や戦闘が得意なのは犬耳族・餓狼族・ドワーフその他のようだ。
どっちを優先しようか・・・
「回復も鍛冶も、両方自身があるのは誰だ?」
平均してどちらも同じくらい得意なのはどちらか確認する。
「わっ私はっ、上位回復魔法と鍛冶において付与・合成・錬金が行えますっ」
爆乳ダークエルフがおずおずと手を挙げて答える。
「へぇ、上位魔法か・・・それはすごいな・・・」
素直に称賛する。
「よし、君にしよう。名は?」
「メ・・・メイデン・アルゴナウティカと申します。15歳です。」
名前が長ぇよ!思ったより若いよ!
「メイ・・・だな。じゃぁよろしくな」
「はい、よろしくお願いいたします」
「では契約をしてまいります。」
契約者の左手を奴隷の首輪に当てて、奴隷術を使えるインデウムが契約コントラクトを施す。
契約の内容としては大まかに、
【奴隷への衣食住を保障すること/不用意に奴隷への攻撃をしてはならない(闇取引の奴隷ではこういうことはないらしい)/奴隷の税金を納める義務/20年継続して契約をした場合、奴隷契約は終了となり、奴隷から解放されることとする。ただし、奴隷が望んだ場合においては、以後も奴隷として仕えることを可能とする】
このあたりが大まかな内容である。
奴隷で20年同じ人物に仕えることができたら解放される、というのは犯罪奴隷以外のものに適用されるらしい。
〈20年〉という期間が経過する前に奴隷商に売られると、ずっと奴隷というまま・・・ということだ。
「俺は20年売る気はないからな。それだけは先に言っておく。期間が終了したらすきにするといい」
「畏まりました」
こうして爆乳ダークエルフメイデンがアーマルドの奴隷として随伴するようになった。
ちょっとドキドキしてるのは内緒である。
* * *
「アード・・・おっぱいですか?おっぱいなのですか!?」
マリアが食い気味に詰め寄ってきた。
「ち・・・違うよっ!確かに大きいけど・・・じゃなくて!希望してた職種がヒットしたのがこの子メイだけだったんだよ!」
俺は何を誤魔化してるのだろうか・・・
「初めまして、メイデン・アルゴナウティカと申します」
深々とお辞儀をしながらマリアに挨拶をする。
・・・胸が揺れる。
服が薄いから、やや突起も・・・
「ア・ー・ノ・ル・ド!!」
マリアが鬼の形相だ。
「怖いって・・・」
「まぁ、殿方ですから?女性を侍らせても?いいんですけど?殿方ですから?いいんですけどね?」
「そういうマリアは男の奴隷なの?」
「ちっがいますわよ!」
超怒ってるじゃん・・・
「マリア様に購入いただきました、エルフのヘルメス・トラーキアティカと申します」
ヘルメスもお辞儀をする。
プルンと揺れる。
この子ヘルメスもだいぶ巨乳だった。
・・・メイほどじゃないけどね。
「エルフとダークエルフは巨乳族といっても過言ではないな・・・」
「私だっていつか・・・」
アードとマリアが同じタイミングでつぶやいた。
お互いに聞こえることはなかったが。
* * *
翌日
マリアと待ち合わせした東部中央広場へ向かう。
もちろん、メイも一緒だ。
買った昨日?何もなかったさ。
そりゃ買った当日に何もしないし、何かをさせるなんてしないって・・・
隣で寝てはいたけどさ・・・
広場に到着すると、すでにマリアが来ていた。
「ごめん!遅くなった!」
「時間ぴったりです!私が早く来ただけなので、大丈夫ですよ」
「じゃあ、冒険者ギルドに行こうか」
「いらっしゃいませ~登録の方は右のカウンター、換金の方は左のカウンター、依頼の方は中央のカウンターへどうぞ~~」
冒険者ギルドは冒険者たちの集まっている時間ではなかったので、空いていた。
左のカウンターへ行き、
「「登録お願いします」」
2人で声をかける。
「登録ですね?こちらの用紙にお名前と年齢をお願いいたします。」
渡された用紙に記入していく。
「質問してもいいですか?」
「どうぞ~」
「奴隷も登録したいのですが、登録すると何かありますか?」
「特に何もありません。強いて言えば奴隷の冒険者ランクが上がることで、手放される際に冒険者ランクを判定してもらえるので、戦闘奴隷として重宝されることくらいでしょうか」
ふ~ん・・・メリットの方が大きそうだ。
「ご主人様・・・」
「売らないって。最初にそう言ったでしょ」
心配そうにメイがこちらを見ている。
「あとは、奴隷にも加護がありますから、その技術が向上いたします。」
「なるほど、じゃぁ、一緒に登録してもいいですか?」
「わかりました、手続きしますね・・・あら、学園の生徒さんなんですね・・・って王女殿下!?」
・・・気付くのが遅い。
「はい、私もメル・・・私の奴隷も登録を!」
「・・・いいのですか?」
不安げに受付嬢が確認する。
「はい、メルもいますし、アードとメイがいます。護衛の人数には差し支えありませんから」
「畏まりました。お2人は学園の生徒さんなので、Fランクからではなく試験を受けることが可能ですがどうしますか?」
「「受けます!」」
「では準備しますね。後のお2人は、生徒ではございませんので、FⅣランクでの登録となります」
「FⅣ≪フォー≫?」
「はい、冒険者にはランクがFからSまでございます。そのランクの中でも4階級ランクを設定しており、各ランクⅣからスタートとなります。階級の昇級に関しては、当ギルド判断にて行わせていただきますが、ランク昇級に関しては昇格試験がございます。また、CⅠクラスからBⅣクラスになるタイミング以降は試験と実績が必要となりますので、覚えておいてください。」
「実績というのはどういうものでしょうか?」
「実績は、魔物の討伐数や依頼の受注率・達成率、あとは討伐された魔物のランクでの判断となります」
「では、ランクの高い魔物や依頼を受けた方が昇格しやすいということでしょうか?」
「そういうことになりますが、個人で依頼を受ける場合、同一ランクの依頼しか受けることができません。チームで依頼を受ける場合は、ランクが一つ上の依頼までなら受注可能です。例えば、<FⅣランクの方はEⅣランクの依頼>まで、ということですね」
なるほどな、そりゃ実力に見合わない依頼は受けられないか。
ギルドとしても、冒険者の安全は確保しないといけないもんな。
メイとヘルメスは試験は不可なのでFⅣランクからで承認する。
5分ほど待っていると、ブロンズ色のカードに名前と所属ギルドが記入されていた。
あと、カードに薄く・でも大きく<Ⅳ>と記載されており、ちょっとお洒落だなんて感じてしまった。
「冒険者カードは身分証明にもなりますので、なくさないように注意してください。再発行には金貨1枚となります。他人の冒険者カードは使用できません。できないように魔法を付与しているのと、所持者以外が触ると・・・」
メイの冒険者カードをヘルメスが持つと、色が黒くなった。
ただ、ギルド職員が持っても色に変化はないようだ。
仕事をするのに不便だしそんなもんだよな。
「また、魔物の討伐数も記録されていきますので、虚偽報告はできないものと考えていただければと思います。」
これもまぁ当たり前か。
依頼達成してないのに達成したことにしたら、とんでもないことになる。
「一番大事なことはお伝えいたしました。その他の規約詳細につきましては、この<冒険者心得>をお読みになってください。そちらにカードケースもついておりますので、肌身離さずでお願いしますね。では、マルネリア殿下とキャッスルフォルト様は試験へと参りましょうか。」
受付嬢の後ろから仕事のできる執事って感じの男性が、「こちらへ」と丁寧に頭を下げて案内してくれた。
歩きながら、その執事風男性が試験について教えてくれた。
試験内容は、魔法・剣術・体術の3種類各10分すべて受けるようで、総合的な戦闘力トータルバランスを見られるようだった。
チームを組んでの総合力よりは、個人で依頼を受けたときにどう対処できるのか、という方が試験では大事らしい。
まぁ、個人でも依頼を受ける冒険者はいるだろうから、個人の力は大事だよな。
「到着しました」
執事風男性が扉を開けると、訓練場だった。
いろんな冒険者が組手をしている。
「ゴリさ~~~ん!!、学院生の試験ですよぉぉ~~~~!!!」
びっっっっくりした~~~~!
体がビクってした。マリアたちもびっくりしてドキドキしているのか、胸を押さえてはぁはぁしている。
声の主はさっきの受付嬢だった。
いつの間についてきてたんだ・・・?
この人、こんな大声出るんだ・・・
「うるっせぇぞユリ!そんなでかい声じゃなくとても聞こえとるわ!!」
ゴリマッチョの男性が返答した。
うわぁ~あの腕、俺の太ももより太いんじゃ・・・
「どうどう。はい、こちら!試験を受けに来た殿下とアーマルド君ですっ!」
急に<君>付けで距離詰めてきたな・・・
てかどうどうって・・・馬じゃないんだからさ・・・
ガルルルルルルルルルッッって唸ってるけども・・・
「へぇ、王女様が冒険者に・・・」
大声で呼ばれたとき唸っていたゴリさんことゴリウスが目を丸くした。
「よろしくお願いします!」
「そっちの坊主は?」
「アーマルド・グレース・キャッスルフォルトです」
「噂の神託小僧≪化け物恩寵≫か」
・・・呼び名がひどすぎるんだが?
化け物ってなんだよ・・・
「はいはい、とりあえず、期待の新人2人ってことで。さっさと試験を始めてくれません?」
受付嬢ユリことユリアナが手を叩きながらゴリウスを煽る。
「・・・どっちから始める?」
青筋ピクピクしてますよゴリさん?
じゃんけんして先に試験を行うのは、マリアから。
俺と、メイ・ヘルメスは観覧席へ移動する。
マリアは魔法は結構いい感じだったが、剣と体術は苦手そうだった。
合計30分の試験が終わり、次は俺の番だ。
「いつでもいいぞ」
ゴリさんは余裕綽々よゆうしゃくしゃくという感じだ。
試験だし、手を抜くのもよくないよな。
よし、やるか。
「行きます!」
まずはけん制のために小さめの火球。
ゴリさん目掛けて撃つのと同時に右に回り込む。
「詠唱なしか!しかもいい動きするじゃねぇか」
さすが元AⅡ、この程度は児戯同然のようだった。
でも、詠唱しないのは驚くんだな。
「これならどうです?」
回り込みから両手に魔力を集め、風壁ウィンドウォールで動きを封じて火と風の合成魔法で炎竜巻ファイアストームでゴリさんの周りを焼き尽くす。
「だがしかし、仕留められなかった・・・ってな!」
すげーなゴリさん。
ただの風魔法で火を上に掬ってすくってかき消してしまった。
「学院生にしては、かなり強いと思うが、お前の神託は<魔帝>だろ?本気出してもいいんだぞ?」
やっぱギルドクラスになると、個人の神託も調べられちゃうのね・・・
「・・・訓練場がどうなっても大丈夫ですか?」
「へぇ、そんなこと考えて戦ってやがったか。面白いやつだ。」
ニヤニヤしてるゴリさん、めっちゃ怖ぇぇぇ・・・
でも、俺も面白くなってきた。
学院の訓練場みたいにちょっとやってみようかな。
ふぅ・・・と一息ついて、両手に魔力を集めて胸の前で合掌のカタチをとる。
ゴリさんの雰囲気が少し変わった。
「行きますよ」
両手をゴリさんに向けて、炎魔法を撃つ。
あの時と同じ青白い炎魔法。
違うところは、火炎放射にして放つのではなく、火球にして撃つ。
・・・あの人のこと燼滅させないよね?大丈夫だよね?
轟音を響かせながら、ゴリさんに向かっていく。
「おいおい・・・」
防御魔法で応戦すると同時に爆炎が上がる。
・・・大丈夫・・だよね?
煙がはれると全身火傷のゴリさん。
うつぶせに倒れてる
ユリアナが急いで回復薬ポーションを持って行き飲ませる。
「アード君!やりすぎ!」
怒られた。
マリアもソワソワしてるしメイとヘルメスに至ってはなぜか目を輝かせてる。
「こ・・・小僧」
「はっっっっ、はいぃぃぃぃぃ!」
「お前、強いな」
・・・褒められた。
さっきまで倒れてたのに、なんだかうれしそうにしてるよ・・・
「よし、あとは剣と体術だな」
さっきよりもやる気満々なゴリさん。
「ちょっと!試験は中断したら!?」
ごもっとも。
ケガしてたし。
「いやいや、こんなすげぇ小僧と戦れるヤれるんだ、気分も高まるってもんよ」
戦闘狂かよっ!
「じゃ・・・じゃあ続きを・・・」
こっちとしては、どうしていいかわからないので、ゴリさんに合わせる。
「行くぞ!!」
試験が終わるころには、またゴリさんはボロボロになっていた。
* * *
「はい、マルネリア殿下はFⅠです。アード君はEⅠね」
マリアはメイたちと同じブロンズ色、俺はシルバーだった。
「アードは試験官に全部勝ったのに、Eなのですね」
そう、一応全部の試験でゴリさんに勝った。
まぁまぁ圧倒的に。
「実は、新人がゴリさんに勝ったことがなくて・・・。ランクも新人がAとかだと色々と・・・」
まぁ試験官に勝つ新人なんてそうそういないだろう。
日本なんて武器もない世界で生きてきた俺も神託がなければ魔法も剣もまともに使えなかったかもしれない。
神託様々だよほんと。
「あまりランクも離れていると、依頼を受けた際に苦労することもありますから、ある意味丁度いいとも言えますよ」
そうか、ランクが離れすぎてると、もしFⅠの人がEⅠの依頼を受けたときの難易度が上がるから、依頼失敗になるかもしれないのか。
そう考えると、マリアとチームを組むのに達成率もそこまで影響しないか。
「登録は異常で完了ですので、本日より依頼を受けることが可能ですがそうします?」
「今日は登録だけにしようか」
「そうですね、学校のみんなもできたか確認してから依頼を受けていくようにしましょう」
「わかりました。これからよろしくお願いします」
こうして登録が完了した。
出口に向かおうとすると、
「おいおいガキンチョ、キレイな女3人も侍らせて、うらやましいなぁおい」
変な輩5人に絡まれた。
うわぁ新人イビリかぁ、なんともテンプレ的な・・・
髪型・恰好も世紀末かよ。
あっ1人だけ良さそうな恰好だった・・・
「・・・・・」
とりあえず無視してマリアと出口を出ようとすると、3人回り込んできた。
そこまでして絡みたいかね。
こいつら暇人?
「何?自分が持てないからって僻んでんの?」
「てめぇ・・・」
リーダーらしきモブ1がイライラしだした。
「登録したばっかの新人相手に絡んで何がしたいんだか」
「冒険者ってやつを教えてやるためにわざわざ先輩が授業してやるんだよ、ありがたく思え!」
モブ2がそう言う。
こっちは別にあんたらから学ぶことなんてないんだけど。
「勉強が終わったら女を置いてきな、授業料にしてやる・・・よっ」
モブ3が言い終わるのと同時に剣を振り下ろしてきた。
ゴリさんに比べると酷すぎる太刀筋だな。
両手の人差し指に風魔法を圧縮して5人の胸当て目掛けて撃ちこむ。
風弾〈エアバレット〉ってところかな。
「ぐわっ!」「ぎゃぁ!」「痛ぇ!」「どわっ!」「!?」
・・・弱い。
ギルド内がシーンとする。
「まだやるの?」
ちょいと挑発。
「くそっなんなんだこのクソガキは!」
もうあからさまにモブのセリフを吐いたよ。
「登録したばっかの新人に負けるなんて恥ずかしい先輩だな。弱いうえに、自分より弱い人にしか調子に乗れないなら冒険者なんてやめればいいのに。迷惑な奴」
「・・・ック!」
悪態もつけずに、黙り込むモブたち。
周りにいたほかの冒険者たちも何も言わない。
この人らは、モブたちが新人イビリをしているところを見て見ぬふりをした人か、それを見て楽しんでただけの低級冒険者。
自分たちに被害が加わらないようにしているだけだった。
「・・・行くぞ!」
モブのリーダーっぽい男が走って外に出ていく。
「ご主人様、大丈夫でしょうか?」
「アード!平気ですか?」
メイとマリアが心配してきた。
「大丈夫大丈夫。ついつい強い言葉になっちゃったけど、ゴリさんレベルの人達でもなさそうだったし」
「・・・それもそうですね。それにしてもなんて下劣な。」
「冒険者なんて荒くれ集団も多いだろうし、あわよくば若くて可愛い子と遊びたいなんて考えてたのかもね」
「「「可愛いだなんて」」」
・・・3人でデレたな。
実際3人とも可愛いのは事実なんだけどね。
「今日はこの辺にして、もう帰ろうか?」
「そうですね、帰りますか」
「王城前まで送っていくよ」
「ありがとうございます!では行きましょう!」
なんだかマリアは嬉しそうだ。
何かあったっけ?みたいな顔をしていると、ヘルメスが「罪なお方ですね」とつぶやいた。
何のことだかよくわからなかったけど、まぁマリアが嬉しそうだからいいか。
帰る途中にある道具やのところで、裏路地に連れ込まれるクラスメートが目に入った。
(あれは・・・ユージンとシェリー?だっけ?)
マリアを送る前に連れ込まれた2人を追いかけてみるか。
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