第5話 自己紹介
「クラスごとに学力試験順に並びなさい!」
先生の声が廊下に響く。
S1クラスから順番に入場していく。
入学式とかの行事って苦手だなぁ・・・
話が長いんだもん。
イスの上に進行表が置かれている。
座って読んでみる。
~新入生入場~
~開式の辞~
~入学許可宣言~
~学院長式辞~
~来賓紹介~
~来賓祝辞~
~年間行事及び教育方針紹介~
~冒険者ギルド紹介~
~新入生代表挨拶~
~閉式の辞~
(はぁ、意外と長そうだなぁ・・・)
進行の流れとしては、現世と変わらなそうだが、
問題は来賓紹介・来賓祝辞である。
今年の入学生には王女であるマリアがいるため、来賓の質が今まで以上にアツい。
マリアの父である国家元首の国王にその護衛、大臣に東部所属の貴族家当主。
毎年参加している魔法師団と騎士団の隊長と冒険者ギルドの東部支部長。
それぞれが一人ずつ挨拶をするのだ。
(間違いなく、長くなること決定・・・)
周りを見回すと、錚々たる顔ぶれに在校生ですら恐々としている。
司会進行の先生も、やや緊張気味だ。
まぁ、何事もなく進行していく。
国王の祝辞の番になった。
「国王のアルバト・グレース・コーリネアルファである。新入生諸君、入学おめでとう。中等学院からは魔法に関して座学だけでなく実践訓練も行う。魔法の発動をできない者でも安心するといい。卒業までには魔法は必ず発動できるし、中等学院生なのだ。慌てる必要はない。ただ、今年度の新入生には女神の神託に恩寵を受けた規・格・外・の者が娘である王女以外にもう一人いる。きっと刺激ある学生生活を送れることは間違いない。皆で切磋琢磨し、成長できることを切に願う。それから、王女在学にはなるが、護衛は付けない。皆にも教師にも変な力が入ってしまっても仕方ないからな。しっかりと勉学に励んでほしい。」
国王の祝辞が終わった。
遠回しに俺に護衛やれって言われた気がしたけど気にしたら負け。
うん、気にしたら負け。
そして、冒険者ギルドからの説明。
12歳から登録できるので待っているということ以外に、学院所属の場合はギルド加入時に実技試験をするとのことであった。
学院に通うことのできない貧民層と違い、教育を施されていると実力が初心者以上はあるケースが多いらしい。
「・・・本格的に授業が始まる前に行ってみよ。」
「えっ、行かれるのですか?私もご一緒しても!?」
・・・声に出てたらしい。
マリアが食いついてきた。
「いやいや、マリアは別にいいんじゃないの?」
「何を仰いますか!次期国王にはお兄様、弟のヴェルもいます。私が冒険者になっても何も問題がないんです!」
「なんちゅう理論だ!」
「長子継承ですから、お兄様さえ無事ならこの国は安泰なのです!」
「・・・本音は?」
「・・・王都内外、どこにいても護衛が鬱陶しいのです。・・・ではなくて、アードと一緒のチームを組めば王都外で護衛もいりませんから!」
「・・・(えぐい本音が出たな)」
まぁ、マリアがいいならいいのか?
実質俺が護衛になるんだろうし、これは大変だなぁ・・・
「じゃあ、授業が本格的に始まる来週の初めに行こうか」
「そうですね」
こうして、入学初日にマリアがチームに加わることになった。
式も終わり、教室へ移動する。
「担任のマーカスだ。元魔法師団攻撃部隊所属だ。クラスが変わらない限り、3年間俺が担任だから、よろしくな!」
「「「「「「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」」」」」」
「ではまず、明日からの日程について説明する。そして自己紹介。その後に、魔法と剣術の実力を見させてもらう。それが終われば、今日は解散だ!」
(同年代の魔法かぁ。みんなどの程度なんだろう?)
今まで実家で魔力制御の練習や、自己流の魔法に父・兄との剣術訓練でしかまともに見たことなかったから、
自分のレベルがどの程度なのか非常に気になる。
明日からの日程説明も頭に入らず、クラスの実力が気になって仕方がなかった。
自己紹介になる。
「最初は、学試クラス1位のアーノルドから自己紹介だ」
「(俺からかよ!)・・・アーマルド・グレース・キャッスルフォルトです。伯爵家3男で魔法も剣も得意・・・だと思っています。よろしく」
「・・・神託も発表してくれ。」
まじかよ・・・
「・・・〈精霊の加護〉〈魔帝〉〈剣帝〉〈必中の加護〉です。」
クラスがざわつく。
「噂のあれか・・・」「今なんて?」「女神の恩寵の塊・・・」「規格外・・・」などなど
いろんな反応あるなぁ
「よし、次!どんどんいけ!」
「マルネリア・グレース・コーリネアルファ、第一王女です。神託は〈聖女〉で、回復などの支援系魔法が得意です。よろしくお願いします」
スカートを軽くつまんできれいな挨拶まで。
「ユージン・ハルバルト<剣闘士>。実家がハルバルト防具店です。」
「シェリー・クラインです。<弓術士>です。実家が平民向けの服飾店です。よろしくお願いします!」
緊張してるなぁ。
ユージンとは仲良さげにひそひそ話している。
「ヨーデル・ナイトリーです。<聖騎士〉父が騎士爵ですが、あくまで父が騎士爵なので、僕は平民です。」
・・・なんか寂しい感じだ。
「ロイド・グレース・ハーベス。ハーベス子爵家です。<僧侶>です」
メガネをクイっとした。
・・・似合うなメガネクイっ。
「ルイス・グレース・マンウィズで伯爵家5男。末子なのであまり訓練もしてもらえず、自己流で訓練してましたぁ。剣が得意だと思ってるけど、神託は<拳闘士>です。よろしくねぇ。」
おおぅ・・・複雑だろうなぁ。ってかちょっとチャラそう・・・。
「ロキ・プロン<魔法使い>。父が宮廷魔術師。魔法は父に習った」
へぇ~うらやましい!
「クリス・グレース・ミーサバイスで<剣士>である。男爵家である。自慢はこの筋肉っ」
バシッと決まったサイドチェスト。
・・・篤い男だ。
「ベ・・ベベ・・・べっ・・ベル・ベリー・・です。<魔法使い>です。実家がホテル経営してるので泊りに来てください・・・サービスしますので・・・」
最後のほうは声が細くなっていきほぼ聞き取れなかった。
「リーン・バーン<魔法使い>だよっ!みんなよろしくねぇ!!」
元気娘って感じだなぁ。背も低めだしまさに元気娘が似合う。
「ケインサム・グレース・イースター<魔導士>。ケインと呼んでくれ。正直ケインサムってなんか中途半端な名前で気に入ってないんだ・・・」
「全員終わったな。この学院では、貴族も平民も平等に接していく。国の方針で権威を揮うと厳罰になるからな、貴族は注意しろよ・・・って、総領じゃないからあまりそういうのもないか」
・・・うん、そんな感じする。
みんな偉ぶってない感じの挨拶だったし。
「じゃあ早速訓練場に移動して、実技を見させてくれ。それをもとに今後の授業方針を決めていく。」
「「「「「「「「「「「「はーーい」」」」」」」」」」」」
移動をしている途中で、
「アーノルド殿、アーノルド殿!神託ってさ、やっぱ魔法とか剣とか覚えるの早いんですか?」
メガネをクイクイさせながらロイドが聞いてきた。
「ん~どうなのかな・・・家庭教師がついてたから訓練はしてたけどさ、正直自分のレベル感って周りと比較したことなかったから覚えるのが早いのか遅いのかはわからないんだよね」
「そうですか・・・」
なんか残念そうなロイド。
そんなもんじゃないのかな?
「ちなみにさぁ、クリスは肉体派の見た目だけど、やっぱ剣が得意なのぉ?」
リーンが見上げるようにクリスに聞いていた。
「うむ。神託も剣士であるからして、剣が得意なのである!そして得意な魔法は身体強化なのだ!」
いちいちマッスルポーズするんだな、クリスって。
「私は剣はあまり得意じゃないからぁ、魔法をどんどんうまくなれるようにしたいなぁ」
ベルが消え入るような声で・・・
声ちっさ!
「中等学院では両方ともやるみたいだからねぇ、得意な方を伸ばして高等魔法学院か騎士学院かあと、経営学院・・・だっけ?それで選べばいいんじゃないのかな?」
おぉ、チャラ男っぽいルイスがまともなことを!
ってひどいか。
訓練場に移動して、
「じゃぁ、順番に得意な魔法を披露してもらって、その後に剣術と行こうか。順番は・・・学力試験の末からで行こうか!」
(俺は最後かーーーーーーーーーーーー)
「では、的へ思い切っていけ!最初は・・・ケインから!」
ようやく同学年の実力が見れるっ!
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