第1話 アーマルド・グレース・キャッスルフォルト

「旦那様!産まれました!元気な男児でございます!」






メイドが赤ん坊を抱えて、伯爵へ駆けてくる。






「そうか。 名は・・・アーマルド。アーマルド・グレース・キャッスルフォルトだ」






他愛もないやり取りがすぐそばで聞こえる。






精霊に気づいていたのは、ルーズベルト・グレース・キャッスルフォルト伯爵。


康介の転生後の父である






この世界は長子継承である。


次男以降に産まれる子供は冷遇されやすい。


キャッスルフォルト伯爵家では次男以降に産まれた子供にも鍛錬をして、


別の道で生きていけるようにしっかりと教育を施していく貴族家である。






康介はそんな伯爵家で第2の人生を赤ん坊からスタートさせた。






「オギャァ、オギャァ(転生って赤ちゃんからか・・・)」






(泣き声は出てるけど・・・)


赤ん坊であるため声も出ない。








(赤ちゃんでは何もできないな。徐々にこの世界のことを覚えて、


 あの女神が教えてくれた通りに5歳までは生活してみるか)




 


女神。






5歳の年の春に子供へ神託を言い渡す存在。






(魔法の自主練かぁ・・・)






転生前のことを思い出す。










*   *   *










『やっほぉ。よく来たねぇ』




目の前には眠そうな女性。




「いやいや、ここどこよ。てか、あんた誰!?」


天国なのか・・・?


初めて死んだ?わけだし、まずはここがどこか説明してほしいんだけども・・・






『あらぁ。敬語、使ってくれないのぉ?』








「誰があんたみたいなよくわからないやつに使うか!!!」


・・・まずは説明してほしいしね。




『ひっどぉぉい。これでも女神なんですけどぉ?』




頬を膨らませながらプリプリ怒る女神。






「いやいや・・・・」






目の前にいる女性はほんとに女神なのだろうか・・・








『まぁいいかぁ~。じゃ、女神からの加護を与えてぇ、転生してもらうねぇ』


急に話を進める女神。






「・・・はい?」




この女神は何を言っているのか。


そもそも何がどうなっているのか。




『君がぁ、頭にボール当たった後に言ったでしょぉ?サービスしてあげるってさぁ。』






・・・そんなこと言ってたような、言ってなかったような・・・・?






『ということでぇ、はいっ、創生の女神ネミーノからのぉサービスぅ』




パチッと指を鳴らすと・・・ガチャガチャ。






「(ネミーノって名前か?てか、名前通り眠そうじゃん・・・)っておい!もしかして・・・・」




いや~な予感。




『多分正解ぃ。女神ガチャ10連だよぉ』




この女神は本当に大丈夫なのだろうか。




『はい、回してぇ。回さないなら私がやっちゃうよぉいくよぉ』






「ちょっ・・・・」




『それぇ!』




こんの女神ぃ!


やりやがった!




ガシャンガシャン!となったかと思うと、10個の玉が。




(まさにガチャガチャのそれじゃねーか!)


内心でそんなこと思っていると、




『おっ、いいやつじゃ~んこれぇ。


 発表していくよぉ~』






康介が割り込む間も無く、とんとん拍子に話が進んでいく。


『当たったのはぁこれでぇぇす!』




①精霊の加護


②魔帝


③剣帝


④伯爵家に転生


⑤看破の魔眼


⑥はずれ


⑦男子として誕生


⑧容姿端麗


⑨頭脳明晰


⑩必中の加護






「(なにこれ、どチートじゃん・・・・)おい、これって・・・」


言いかけた途端に、






『さっすが女神ガチャ10連だぁ。こんだけチートあれば折角の第2の人生も安泰だねぇ』




爆笑し、転げまわるネミーノ。






「安泰どころじゃねーよ!なんだよこれ!色々可笑しいだろ!チートオブチートじゃねーか!


 (しかもはずれもあるし!)」




こんなチートばっかのもん、貰いたくねーよ・・・


つーか、こんなチート第2の人生で搭載しまくって何をさせたいのか説明してくれ!






『いいのいいのぉ。私ぃ、地球の野球っての好きだったからぁ、若くて才能あった子にはプレゼントしちゃうぅ~』


まだ笑っている女神。




・・・もう意味わかんない。色々と。






「・・・とりあえず、転生したらどうすればいい?」


そう、そもそも足りないものは説明。


こっちから説明してほしいことを促してやろうじゃないか!






『別にぃ何もないよぉ。魔王が10体にぃ大魔王が3体いるからぁ、倒してもいいしぃ


 弟子をとってぇ弟子に討伐させてもいいしぃ、何してもいいよぉ』




魔王、多くね?




『・・あ、あとぉ、こんだけ加護があるけどぉ5歳の年に受ける神託の儀式までは


 加護受けられないからぁ、小さいうちに魔力を集めたり放出する練習するといいよぉ』






(なるほど、神託を受けるまではチートはない・・・と)






『まぁ自由に異世界ライフを謳歌するといいさねぇ。


 ま、神託で自由はなくなるかもしれないけどぉ。』






おい・・・それって結構重要なことじゃ・・・・






「何しても自由って、5歳で神託受けるときに自由がなくな、、、」


『じゃ、いってらっしゃ~い!』




被せるようにネミーノの行ってらっしゃいの言葉と同時に足元に魔法陣が。






「ちょっと!まだ聞きたいことがあるん・・・・・」






有無を言わさず、異世界へ飛ばされるのであった。






*   *   *








(今思い出してもさっきの説明じゃ不足しまくってるし・・・


 もういいよ、言われた通り自主練するから・・・)










こうして、康介改め、アーマルドは異世界ライフを始める

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