脳内、お花畑ボーイ

こたろう

脳内、お花畑ボーイ

これが一目惚れというものなのか。僕の心を掻き立てる。今すぐ行動に移さなくては、後悔する。よし、告白しよう、と思う前に身体が彼女への元へと足を運んでいた。彼女はふらっと入った漢高の文化祭で、ファッションショーに出場していた。その姿はまさに大和撫子、目が離せなかった。こんな感情は初めてだ。初恋以上の恋。身体に電流が流れる?いや、それ以上の衝撃だった。こんな出会いは二度とないと直感的に感じ、居ても立っても居られない。僕の足は僕の意思と同調するように彼女の元へと足早に動いく。そして、眼前の彼女は眩く光るように笑顔で取り巻きの女連中に微笑んでいる。僕はその笑顔を見て、胸が締め付けられる。狼狽えるな、今から僕は彼女に告白するんだ。僕は人混みを掻き分け、彼女の前に凛と立つ。

「ひと目見たときから貴方の虜になりました、付き合ってください」

彼女は驚きの表情。そして、口を開く。

「はぁ?」

その声に耳を疑った。紛れもない、男の声だった。そう、彼女は彼女ではなく彼だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

脳内、お花畑ボーイ こたろう @cotaro4310

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ