〈12〉
僕の部屋には相も変わらずシャワーヘッドがない。
それは彼女の居場所だったところに別の誰かを置きたくないからではなく、
今の僕にはそれが合っていると思ったからだ。
「じゃがいも村にて火災発生。ただちに消火せよ!」
風呂場にいくつかじゃがいもを並べて、それらに向かってシャワーから、
勢い良く水を出した。
「消火!!」
シャワーヘッドのないシャワーは、もはやただのホースである。
しかし水の方向が分散されないので一つの的に集中する。
わりと土がこびりついているじゃがいもには、それが最適だった。
「今日もじゃがいも村に平和が訪れたな……」
そんなくだらない独り言を呟いて、ざるにじゃがいもを放り込んだ。
この間購入した、じゃがいも専用のざるである。
今日はジャーマンポテトに挑戦してみよう。
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