黒装束の正体

「おい、おっさん!裏切り物ってどういうことだよ。」

黒塗りのヘリの中で大柄な男、青年二人、美少女が大声で話し合っている。

「私も分からない。すぐ動けるように敵が動くまで上空で待機だ。」

「はぁ?どうして?攻めて攻めて敵を拷問してスパイの名を吐かせればいいでしょ?」

「俺もぉ共感だぁ。そのガキは、邪魔になるだろうがな。」

コテツが鬼斬を睨む。

「おいおい、心外だぜぇ。鬼斬くんよぉ、俺が年下でも、上官なんだぞ!」

そう、コテツは吾大中佐を倒した後、その力が認められ準少佐にまで成り上がった。

「そうねコッちゃん、上官(私)には経緯を払ってね。」

「はぁぁ?嫌だね!」

与一もその力が認められコテツよりも上の少佐にまで上り詰めた。

「はぁ、コッちゃんが小さかった頃はもっと可愛かったのになぁ」

「可愛くなくていいんだよ!」

「そろそろお喋りはやめてもらおうか、少佐と準少佐よ」

「えぇそうですね吾大中佐。もう敵陣の真上です。乗り込むのは何時にしますか?」

「だから敵が動くまで、、、お前ら構えろ!」

バァァァッン!!銃声がなる。

「今だ。飛び降りろー!」

4人が横から飛び降りる。するとヘリの運転手ごと上空で爆発した。

「嘘だろ。私たちのヘリは霊の術式で無音のはずだ。可能性があるとすればこの中に敵のスパイがいるか、発信機だ。」

霊の術式は霊鳴刀の様に物に霊の力を宿らせるもの。ただし武器としてでは無く道具として使うことを術式と呼ぶ。

「これより命令を伝える。」

「了解」「オッケー」「サッサと伝えろ!」

「私は敵陣の正門をぶち壊しにいく!コテツは西門へ、与一は南門へ、鬼斬は、、、敵陣のど真ん中に突っ込め!」

「わかってらよぉぉー!クソジジイ!」

鬼斬は威勢の声がいい返事をすると、

「爆ぜよ《炎神丸》!」

鬼斬の霊鳴刀炎神丸は刀身に炎をまとい、切っ先の方向に炎弾を放った。

ドカーンッと敵陣に爆煙が上がる。真夜中なのに昼の様に明るくなった。

「へっどうだ、炎神丸の強さは?」

スタっと地面に鬼斬が着地する。

「おいおい、今のまともに受けて生きてやがんのかよ。あぁ?」

「強い、強いぞ!だがな、」

全身真っ黒な男がこちらに突っ込んで来た、

「若いね、」

「グハァッ!」

「昔の同僚ってことで殺さないであげるよ、お前は昔から俺に喧嘩売っては、上官には敬意を払えっていっといたよなぁぁ?鬼斬君よぉぉ!」

炎神丸にはほのかに火の明かりがあり、その光が周りを明るくする。その男は、、、コテツが長年仇にしていた男、黒装束の男だった。

「特別に俺の名を教えてやるよ、」

「教えなくていいよっ!とっとと失せろ!」

「上官には敬意を払いましょうねー!俺の名は」

黒装束の男が頭につけていた仮面を外す。

その下にある顔が薄らと見えてくる。

「お前はコテツか?!」

「大せいかーい」

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