第25話 ギフティドの俺が神の生まれ代わりだと
ギフティドの俺が神の生まれ代わりだということをあいつらは知らない。高々人間の分際でこの俺を止めようとするとは……。足掻け、足掻け、俺は高見の見学をさせてもらう。
「5メートルか?」
俺は周りを見回し、先ほど叫んだ女と目があった。
この女? 俺を止めるとは……、何者だ?
都合の良いことにそいつの隣の窓際の席に目を付けた。
「今からここが俺の席な! てめえはさっきまでの俺の席に行けぇや」
その席に座っていた男に言い放つと、俺はその机の上に荷物を放り投げたのだった。
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俺、アマノザギリは、そのまま、保健室から、マンションまで連れて帰られ、今、ミキの部屋でミキとヤミの前にフローリングに正座させられている。ソファーに座っているミキとヤミの三角の布が見えていることは取り敢えず黙っておこう。
それにしても、ミキが白でヤミは黒って見た目通りだ。
「あのミキさん、ヤミさん、なんで正座させられているんでしょうか?」
「反省を促すためです」
「えーっと、何の反省ですかね?」
「あんな半端もんの斑に負けたことです」
「まったく、不甲斐ない!!」
なんで俺が責められるのわからない? 俺は被害者だと思うんですけど……。
「あーあっ、腹が立つ!!私たちじゃザギリに一発も入れられないのに!!」
「ヤミからしたら、間接的に負けたってことですから」
なるほど、それで怒っていらしゃるわけですか? 別にどうでもいいんじゃないか?
「確かにそうとも言えるけど、所詮、男と女だから直接対決する必要はないだろ。それに波紋領域内ならヤミたちが負けるわけないし?」
「直接対決できないから腹立つんです。手下が負けたんですから、落とし前つけないと……。
何かぎゃふんと云わせる方法はない?」
「ザギリに雪辱戦(リベンジマッチ)をさせればよいのです。幸い一週間の期間がありますから。大々的にボクシングで決着をつけるのがいいでしょう」
うーん、なるほど、って俺がまた戦うの? 無茶言わないでよ!
「無理だって、俺はボクシングやったことないんだから」
「そんなことはないでしょう。目は動きを捉えているんだから」
確かに右目なら、斑の魂の拳を捉えていたけど……。
「いや、見えたからって避けられるわけじゃ……」
アゴに手を当て考えていたヤミが突然立ち上がった。
(パンツが見えていたのが、ばれたか?!)
でもそうではなかったらしい。
「わかった。片目だからよ。ほら、ボクシングでも片目を腫らして、死角からのパンチが見えなくなるじゃない。それに……、ほら、あれのせいで避けられないっていうし」
「ヤミ、それを言うなら遠近感です、遠近感がつかめないためにまともなのを喰らったと云いいたいのね」
「そうそう、あたしが言いたかったのはそのことなの。ねえ、ザギリ、あなたなんで右目だけアースアイなの?」
「だから、前にも言ったけど、俺にはその前世と云うか、天界の記憶がないんだ」
「記憶さえ蘇ったら、両目がアースアイになる可能性がある訳ですね」
「ミキ、だったらやるこたぁー一つだ!」
俺の周りを腕組みしてウロウロしていたヤミの顔に閃きマーク?
バッキーーーーーン
凄まじい打撃音と顔面に衝撃。そのまま俺は後方に吹っ飛んでいた。
吹っ飛びながら見た光景。ヤミはローリングソバット(完成)の姿勢で留まっていた。
そして、鼻から噴き出した大量の鼻血。仰向けに吹っ飛んで、そのまま後頭部を強打。
気が付いた時には、正座の姿勢のまま、鼻にテッシュを詰められ手足が縛られていた。
何が起こったの? いや、十中八九ヤミにケリを入れられたんだと思けど……。
これってなんの拷問なの? 一体全体、何のために?
「気が付きましたか?」
「あっ、なんとか」
頭の上からミキの声が聞こえた。その声になんとか答えたが、まだ頭がズキズキする。
「で、思い出したか?」
「ヤミさん。いきなり何なんですか?」
「アマノザギリだった時の記憶だよ。頭を強く打った後、前世を思い出すパターン。よくあるんじゃなかったけ?」
ああっ、流行りの異世界転生ね。ってそんなに都合よくいくか~!!
「思い出せませんよ……。危なくあの世に転生するとこでした」
「そのタイミングで思い出すんだけどな~。じゃー、高熱の方で」
「高熱の方でって、なにケトルを持っているんですか? カップメンじゃないんだからそんなものかけられたら火傷するから」
「ザギリさん大丈夫ですよ。私が動けなかったんで、ヤミにお茶を入れるよう頼んだんです」
「あーあっ、ダメか~。せめてザギリがなんで片目なのか分かったらなーって思ったんだけど……」
「そうですね。両目が神の目(アースアイ)なら……。なにしろザギリは鉄壁の境界。その境界を超えられるはずないですから」
「いや、そうゆう問題じゃないような気が……。斑は光とか闇とかの属性って云うよりもっと根本的なもののような気がするんです」
「そうだよな。ザギリのオッドアイズはあたしらの裸を見るのが目的だもんな」
「ヤミ。それです! 片目が人の目のため、わたしたちは裸を見られたのです」
「なるほど」
そういいながら、ヤミは指をポキポキ鳴らしている。
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