第27話 謎解きの終了

 研究室に戻った幸は、弘に鬼之城での出来事を語った。バイテク掛軸の絵が変わったことも告げながら、リュックから取り出して見せる。

 絵を見た弘は、前回とは違い、心当たりがないようだった。

 続いて幸は、リュックから取り出したカメラを手渡した。受け取った弘は、カメラの端につく芽を引っ張った。蔓のように長く伸びた茎を途中でちぎると、その先をパソコンの端子に差し込んだ。

 「これが温羅者の古代文字?」

 パソコン画面に表示された写真を見つめながら、首を傾げる弘にも解読できないらしい。当てが外れたと、意気消沈した幸だが、思いついたと声をあげる。

 「情報役温羅者に……」

 「幸」

 弘は険しい顔つきで、幸の発言を止めた。その後、報告していく。

 「受けた謎解きの件の全てで、未知の元素を特定した。これらの未知の元素も、不安定な元素だった」

 意表を突かれた形の幸だが、すぐに頭脳を切り替え、整理していく。

 「貨物機の件から始まった全ての件は、未知の元素を使った兵器といえ、犯行声明にあった大量殺人兵器といえる。また、生命が奪われたのは、最初のパイロット二人だけということから、犯行声明にあったように、まだ試験の段階ということになる」

 結論付けた幸に、弘は確認する。

 「これで俺らの謎解きは終わりってことだな」

 幸の返事を待たず、弘は意味ありげな目付きで言った。

 「俺たちはもう、これ以上の依頼は受けていない。だから、後は、依頼人と管理役温羅者が解決するってことだ」

 はっとした幸が、悔しさで口元を歪ませた。仕方が無いと分かっていながらも、頭の中では謎解きの続行を模索する。

 パソコンに向き直った弘は、依頼人に渡す回答書を作成していく。回答は、依頼者の希望があれば随時依頼者に報告されている。今回はそうだった。だが、依頼の終了を告げるものとして、依頼者が保管できるものとして、簡潔で平易で的確に纏めあげた回答書の作成は必要不可欠だ。

 弘はキーボードを叩きながら、パソコン画面を見つめたまま、ソファに向かっていく幸に言った。

 「謎解きが終了ということは、どの役温羅者も当てにすることはできない。ということだが……」

 暗に謎解きの続行を承諾する発言に、幸は驚いたように振り向いた。パソコン画面と対峙する弘の横顔を見て微笑む。

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